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【G】巨人軍、盟主も遠くなりにけり

 あの巨人が最下位に沈んでいる。絶望的に打てないという訳でも、投手陣が火だるまの如く炎上している訳でもなく、ただ淡々と負けている印象を持つ。世間では原辰徳監督の采配が限界を迎えているという意見もあるが、果たしてどうなのだろうか。

長期政権の悪しき伝統

 通常、NPBの監督というと5年ほど務めると長期政権と呼ばれるのだが、巨人に限ってみれば10年ほど監督をしなければ長期政権とは言われない。90年近い伝統を持つ球団史の2/3程を、水原茂、川上哲治、長嶋茂雄、そして現在の原監督の4氏が指揮を執っているからである。巨人というチームが栄華を極めてきた背景には、チームの首脳陣が安定していたという事が最大の理由としてあるのだ。

 しかしながら、そんな長期政権の次の監督は苦難を強いられることが多いこともまた事実だ。川上氏の後の第1次長嶋政権、第2次長嶋政権の後の堀内恒夫氏、そして前回の原政権後の高橋由伸氏は前任の監督を支えたベテラン陣が一挙に衰えたことで苦難の中指揮を執ることとなってしまっているという事は様々な書籍や当時の中継映像の中の実況アナウンサーと解説者の掛け合いから伝わってくるものだ。やはり皆、手塩をかけて愛情を込めた選手はガタが来ているということが分かっていても外せないものなのだ。それでは、今回の原政権はどうだろうか。

老将の最後の役目は

 果たして、ゆうに還暦を過ぎた原監督の最後の仕事は何だろうか。前述の諸氏の二の舞とならぬよう、後進の指導者、若手の育成をすることはもちろんのことではあるものの、僕は坂本勇人を外すことにあると考えている。

 もちろん、坂本が嫌いなのでこういうことを言っている訳では無い。週刊誌の報道は度外視として、僕は坂本の攻守走全てに心酔した1人だ。NPBの歴代の選手でベストナインを挙げろと言われたら、遊撃手の守備番号「6」の隣には必ず「坂本勇人」と書くものだ。しかしながら、今季は攻守に全くダメである。瞳からは何か燃えたぎるものが無くなっており、スタメンとベンチを行ったり来たりという中途半端な毎日が続いているのだ。

 これは1ファンとしての意見なのだが、僕は彼のこんな姿は見たくないというのがホンネだ。野球少年のように縦横無尽にグラウンドを駆け回り、三振や併殺打を打っても表情のひとつひとつが絵になる姿はまさに巨人ファンが追い求めるクラシックな巨人のスター選手そのものであった。しかしながら、昨季の後半戦から全くと言っていいほどにそうした坂本らしいプレーを感じられないのだ。まるでタチバサミで電気ケーブルをちょんぎられてしまったかのように。

 原監督にはぜひ、このようになってしまった坂本の後進を育成してから次の監督にバトンタッチをして欲しいものだ。彼が尊敬している長嶋氏は、彼自身を支えた主戦投手である斎藤雅樹氏、槙原寛己氏の後進を遂に育てることなくユニフォームを脱いでしまった。ミスターに憧れた若大将の最後の指名は、ミスターと同じ道を辿らないことだろう。

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