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【G】辰徳、跡を濁さず

 史上初の2年連続Bクラスに終わった巨人が、歴史的な大改革を行った。かねてより噂はされていたものの、原辰徳監督の退任は非常に驚きである。今回は、そんな原監督の今季を振り返ると共に、今後への期待を書いていくこととしよう。

第3次政権、繋ぎを全う

 原監督はのべ3回巨人を指揮したが、その3回全てで優勝している。西暦で00年代、10年代、そして20年代の全ての期間で優勝しているのだ。これこそが彼が最も評価されるべきポイントなのではないか。「時代が違う」という言葉をよく耳にするが、時に時代に合わせ、時に強い芯を持って采配を振るっていた証拠と言えるのではないか。また、今回の第3次政権はいきなり連覇したあと、坂本勇人、菅野智之ら投打の主役をになっていたベテランが衰え、若い選手が台頭するという苦しくも能力のある監督でないと結果が出せない時期に指揮を執った。野手では秋広優斗や門脇誠、投手では戸郷翔征、山崎伊織と若い選手を見事に育て上げた。

 特筆すべきはセンターラインの主役に堂々と鎮座していた愛弟子の坂本が怪我がちとなるとスパッと三塁手へとコンバートしたことだ。長期政権の監督というと、大体が手塩にかけた選手達を重宝してしまうものだ。平成の中期に栄華を極めた落合博満監督の中日は、8年間ほとんどメンバーを変えずに若手を育成することが出来ず、そのメンバーが衰えると共に沈んでしまったことは記憶に新しいだろう。実際に、昨年までの巨人はその中日と同じようなチームであった。違うことはFAで選手を取ってきて衰えた選手のポジションを埋められることくらいか。そのFAも近年では他球団の横浜やパ・リーグが待遇を改善し始めたことによって、あまり人材を期待できるものでは無くなっていたので、「おごる巨人久しからず」と言った感じで沈んでいくものだと思った。しかしながら、ここに来てスパッと繋ぎの監督を全うし、満を持して後任の阿部慎之助監督へと襷を渡したのだから、平成の知将は素晴らしい。

「弱いチーム」率いて欲しい

 原監督も65歳。阪神の岡田彰布監督の1つ下にあたるが、ユニフォームを来て現場に立てるのはあと数年ということになるのではないか。そうであれば、監督として、またはGMなどの球団首脳陣として弱いチームを率いて欲しいのだ。

 原監督といえば、常に国内最高級の設備や人材が揃っている巨人というチームを率いてきた。万全な軍団の長を務めたら、結果を出せることは既に証明しているのだ。であれば、低迷を続ける球団に入閣したり、設備や人材が不揃いな独立リーグなどのプロとアマチュアの境界線に立つような球団を指揮して欲しい。「読売巨人軍」という聖域の中で苦しみ続け、球史に於いて最も叩かれたであろう男が、開放的な場所ではどのようなパフォーマンスをするのかがとても気になるのだ。

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