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【T-Bs】白熱の攻防、これぞ頂上決戦

 3戦目となり、決戦の舞台は大阪から西宮へと移った。結果は最後の最後までもつれる1点差ゲーム。これぞ野球の醍醐味という見応えのあるものであった。今回は、そんな日本シリーズ第3戦を振り返ってみよう。

東晃平、快投乱麻

 東と書いて「アズマ」と読むので、一瞬オリックスは横浜から投手を借りてきたのか?と思った。冗談はここまでとし、彼は素晴らしい投手であった。兵庫県出身の投手ということもあり、地元でと言う意識があったのかもしれない。

 彼の投球は「カメレオン投法」とでも名付けようか。150キロ前後の直球を軸に、中日の髙橋宏斗のようにフォークボールを多投して三振をとったかと思いきや、ヤクルトの小川泰弘のように110キロ代のチェンジアップでタイミングを狂わすような投球をする。この投球術をどちらも使いこなせる投手はセ・リーグでは見当たらない。この投手が昨年の夏まで育成選手であり、通算でも7つしか勝っていないというので驚きである。来季は山本由伸に代わるエースとなる予感が漂う逸材だ。

阪神、投打に苦しんだストライクゾーン

 ここからは阪神の敗因を見ていくこととしよう。それはズバリ、ストライクゾーンが試合の最後まで掴めなかったということだ。投打ともにイン・ザ・ホールのカウントが続き、苦しかったことだろう。

 まず先発の伊藤将司が苦しんだ。彼は左腕でも140キロを超えるので十分に速さはあるが、投球スタイルは技巧派。他球種を操り凡打の山を築くことを信条としている投手である。当たり前のことを言うが、技巧派の命綱は制球力。この試合の伊藤はそんな命綱が切れていたのだ。球審との相性も関係しているだろうが、常に不利なカウントとし置きに行った球を痛打されていたのだ。寒空の下の屋外球場ということもあり、半袖で投げる彼にとっては酷な環境だったのかもしれない。試合をまとめることに長けた彼が、4失点を喫してしまったのだ。

 打者もストライクゾーンに苦しんだ。前述の東が投げるフォークボールやチェンジアップの変化がかなり独特なもので、バットがヒラヒラとまう蝶を取りに行くタモのように空を切っていた印象だ。最終回までそれが続く。オリックス救援エースの宇田川優希、そして抑え格の平野佳寿が投じるフォークボールに対しても、最後まで対応できなかった。関西ダービーも3戦目が終わり、オリックスが2勝。これで京セラドームへと戻り、再びダブルエースの山本由伸と宮城大弥が投げられることとなった。完全にオリックスのペースとなったのではないか。

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