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ユニフォームを観察しよう!【近鉄篇】

 球界再編の悲劇から20年が経とうとしている今なお、関西の野球ファンには近鉄ファンがいることと思う。今回は、「オリックス・バファローズ」の源流となっているいてまえ軍団のユニフォームのうち昭和50年代から大阪ドーム移転までの間に使われたものと、大阪ドーム移転から球団消滅まで使われたものの2つを観察することとしよう。

草魂からトルネードまで

 野球が好きな人なら、「近鉄」と聞くとこの年代に使われた真っ先に紺色、白色、赤色で構成されたド派手な帽子を思い浮かべるのではないか。猛牛マークの周りを囲むようにして「KINTETSU BUFFALOES」とアーチ状に並ぶアルファベットはまさに流行りの「昭和レトロ」にあたるのではないか。事実、NHKドラマの「舞い上がれ」では、お好み焼き屋の店主を演じる山口智充氏がこの帽子を被っているのだ。オリックスは是非、この流れに乗って今季この藤井寺・日生ユニフォームを復刻して欲しいものだ。今季は帽子のメーカーがニューエラとなったので、この猛牛帽子はより一層人気が出るはずだ。

 それでは話をユニフォームのシャツの部分に移すこととしよう。このユニフォームの最重要ポイントは赤い袖なのではないかと感じる。こうした奇抜な色を使いながらも、バラバラにならずきちんとまとまったデザインとなっていることこそがこのユニフォーム最大の魅力と言えるだろう。当時はユニフォームに華美な色をつけることが容易になりつつあったこともあり、ごちゃごちゃとしたユニフォームを打ち出す球団もあったのだが、こうして「ええ加減」に留めた近鉄のユニフォームには関西人の素晴らしいセンスを感じることが出来た。

左奥の物が藤井寺・日生ユニフォームだ。それでは、右手前の大阪ドームユニフォームに話を移そう。

2人の巨匠がデザイン

 大阪ドームへと本拠地を移すと同時に、近鉄はユニフォームを一新した。下町の球場から重厚感溢れるドームへと移転したチームを表すかのごとく、それまでの奇抜な色を使いながらもどこか可愛らしさのあるものからボタンや襟、ラインのついた高級感に溢れるユニフォームへと変わっていることが分かるだろう。岡本太郎氏の手がけたマークを、コシノヒロコ氏がデザインした贅沢なユニフォームだ。

 また、帽子のデザインも落ち着いたものへと変更されている。ユニフォーム同様に奇抜だったものから、「KINTETSU BUFFALOES」のアーチ文字を排除して濃紺一色としたことに関しては賛否両論あるのではないか。ただ、街中で落ち着いた服装に合わせるのならばこのドーム移転後のデザインであることは間違いのないことであろう。

プチ復活した「令和の猛牛マーク」

 数年前、新しい形の猛牛マークを胸、帽子につけたサード・ユニフォームが使われたことを覚えていらっしゃる方も多いのではないか。

右奥が令和2年に使われたサード・ユニフォームである。
古の阪急ユニフォームのようなデザインに、猛牛マークと源流の球団を継承していることが分かる。

 この新猛牛マーク、是非とも帽子のコメカミの部分に刺繍して欲しいのだ。今季より西武の帽子の同じ部分にジャングル大帝のレオがシルエットで描かれているので、個人的にオリックスがそれに続くということを期待してやまないのである。前述の通り、オリックスの帽子メーカーがニューエラとなったので、大リーグで言うところの「サイドパッチ」のような形での復活を切望している。

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