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映画「夜明けのすべて」を観に行って

新しくすすきのにできた映画館に市電で行く。
着いたのは上映時間の10分前だった。
その日、2月の札幌にしては異常な暖かさで、電停までの道路はシャーベット状の雪や水たまりになっていた。

短い丈のゴム長靴を履いてすすきのに行くとは、なかなか私も度胸がある。おかげで悪路も靴下を濡らさずに済んだ。


「夜明けのすべて」は主演が男女二人なのだが、男性のほうは知らない俳優で新鮮だった。
藤沢さんという女性の主人公を見ていると、「そんなに気にしなくていいのに…」と感じることが多い。普段から余計に気を遣って行動していると、少しずつ負荷がたまって、月に一度爆発してしまうのではないだろうか。

自分を見ているようにも思える。
藤沢さんも、ゴム長靴をはいて出かけたりしそうな素朴な子。暖かそうなマフラー、お母さんが編んだ手袋。みかんを食べながら外を歩いている場面もあった。

症状がよくなるようにだろうか、ノンカフェインのお茶を飲む。ヨガに通う。足湯をする。けれどもPMSは良くならない。
実際、そうなのだ。
私の場合ピルも効果はなかった。


もう一人の主人公、山添くんのパニック障害は困難が多いだけでなく、食べ物も美味しく感じなくなると知った。
電車やタクシーに乗れない彼が、あるきっかけで街や公園を自転車で走る場面は気持ちよくて爽やかだった。

山添くんを心配する元同僚の女性が、藤沢さんから御守りのおすそ分けを受け取ってくれたのがうれしかった。「結構です」と言われてしまうと思ったから。


そんなにいろいろ気にしなくても大丈夫だと、藤沢さんを通して私にも言えることだった。

藤沢さんも山添くんも病気とはまだこれからも付き合って行くだろう。それでも誰かを救おうとして自身もどこか救われていく、優しい世界が描かれていた。




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