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Drift(ドリフト)-I SEE STARS【歌詞和訳】

Title / Drift(2023)
Artist / I SEE STARS
Included / Single[Anomaly / Drift(2023)], Single[Are We 3ven?(2023)], Single[D4MAGE DONE(2023)]



 

 ①LYRICS


I SEE STARS-Drift(ドリフト)


You’re drifting far out of focus
 いったいどこに向かってるんだ
You’re whispering something cautious
 何やら小さく警鐘を鳴らしてるようだが
This feeling of feeling nothing
 何も感じられないこの感じ
Void stricken with the door wide open
 全開のドアから虚無が流れ込んでくる

I’m not the key just a war now
 俺は巻き込まれてるだけなのに
And the wheel keeps turning round
 勝手に操舵は切られ続けるんだ
My sight won’t pardon the grandeur
 もう話が大きすぎてわけが分からない
As I wait to crawl back down
 這いつくばって待ってる俺に分かるわけない

Your eyes they glow
 眼がギラついてる
Seditious, it’s seditious
 不穏だ。正気じゃない
You reached the moment of no return
 あっちの世界に行ってしまったんだな
And now you wanna wander off alone
 もはや独りでに彷徨おうとしている


You’re drifting far out of focus
 いったいどこに向かってるんだ
You’re whispering something cautious
 何やら小さく警鐘を鳴らしてるようだが
This feeling of feeling nothing
 何も感じられないこの感じ
Void stricken with the door wide open
 全開のドアから虚無が流れ込んでくる


I’m not the key just a war now
 俺は巻き込まれてるだけなのに
And the wheel keeps turning round
 勝手に操舵は切られ続ける
My sight won’t pardon the grandeur
 もう話が大きすぎてわけが分からない
As I wait to crawl back down
 自分のことで精いっぱいなんだよ

The signs go rogue
 暴走し始めてる
Ballistic, it’s so suspicious
 危険だ。おかしすぎる
Hear me out, thе lies
 聴いてくれよ、みんな嘘なんだ
Will wither down your spine
 背筋が凍るほどの嘘なんだよ
I think thе wave will be the last one
 それが波になって、最後をもたらすのが見える

You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus

 ズレていく、ズレていく
 ピントが合ったりボケたり上滑り
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out

 ズレていく、ズレていく
 ズレ続けて惑い続ける
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus

 ズレていく、ズレていく
 ピントが合ったりボケたり上滑り
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus

 ズレていく、ズレていく
 ピントが合ったりボケたり上滑り
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus

 ズレていく、ズレていく
 ピントが合ったりボケたり上滑り
You’re drifting, you’re drifting
 ズレていく、ズレていく
You’re drifting in and out
 そしてあてもなく惑う




 ②About this song

  曲の話の前に前置きです。前回の『Anomaly』翻訳記事では、特別項を設けてI SEE STARSの2016年からの動向を漁ってみました。なんですけど、途中で「I SEE STARSってどんなバンドだったんだ?」っていう問題にぶち当たり、結局デビューアルバムから現在までの彼らの軌跡を辿ることになり、とてもとても長い旅にみなさんを付き合わせることになりました。なのでこの記事はなるべく短く……とかいう甘いことはしません。ははは。まあ少なくとも意識的にはしません。
 
 一緒に、今度のアルバムを受け止める準備を完了させましょう。

 もしかしたら、アルバムリリース後にこの記事にリーチしてくださった方もいるかもしれません。いえーい。そういった方も、I SEE STARSをより深く知ることで、アルバムへの没入度、曲への理解を次のステージへ進めることができること間違いなしなので、ぜひ読んでみてくださいね。

 さて、前置きはこんなとこで、『Drift』の話に移りましょう。先にこの②の項で、この曲の大きなコンセプトに関して触れて、それから③の項で、歌詞でうたわれている具体的なフレーズの解釈について訳を補完していきます。正直、歌詞は補完ありきで訳したので、まだ歌詞の意味をいまいちつかめなかったという方は、次の③の項に飛んで読んでいただければと思います。

 この曲は今度のアルバムにおいて、とても重要な曲です。まず、この曲に関してのインタビューがあるようなので見ていきましょう。ボーカルDevin Oliverは、この『Drift』という曲について次のように述べています。

 『Drift』は今度のアルバムのコンセプトを示す曲ですね。この曲は双極的な状態になるように書かれています。つまり、自分の思考や感情の浮き沈みに身を委ねるしかない状態をもたらして、ピントが合ったりボケたりを繰り返す状態を引き起こす。この曲が浮き彫りにしているのは、僕らみなが服従している歯車(がもたらす朧気な感覚)のもとで新たに見出す、明瞭な感覚です。そして、朧気なトリップの中と外を眩く。もやもやした心の奥底や精神の未知の領域を探らせるように駆り立てる朧気なトリップを出たり入ったり眩き続けるんです。

from DISTORTED SOUND "I See Stars release new songs ‘Anomaly’ and ‘Drift’ (2023/05/23)" reported by James Weaver

 『Drift』は次のアルバムのコンセプトを表している……。いったいどんなアルバムになってしまうんだって感じですよね。driftドリフトって言ったら、タイヤが上滑りして「キキーッ」ってなってるやつですね。Devinはそのドリフトのイメージを精神状態や思考の乱高下、そしてシステムの暴走に重ねています。そしてこの曲は、一種のトリップ状態を引き起こすことが狙いで、それは精神の冒険を誘うもの。この曲は(次の)アルバムの中へとおれたちを誘っているのかもしれません。

 リリース後にXに投稿された『Drift』のイメージショート動画です。右のガードレールと左の岩肌の間を車がドリフトしてます。酔っ払い運転みたい。ハイウェイかってくらいスピード出てます。酔っ払い運転にハイウェイといえば、ボーカルDevin Oliverが被害にあった悲惨な事故が思い出されます。2022年に、Devinは酔っ払い運転の車に高速道路で追突されて大怪我を負い、1年にわたる治療を余儀なくされました。彼はどんな辛い出来事もアートに昇華する生粋のアーティストなので、酔っ払い運転からなにかしらのインスピレーションは受けたのだと思います。今度のアルバムは2021年の頭に既にレコーディングが完了しています。なので、この曲はアルバムの完成後に、アルバムのコンセプトを方向づけるものとして書いたのではないかというのがおれの推測です。アルバム全体を眺めたときに、制御不能になってドリフトしている車が浮かんだのではないか。

 そこで、ドリフトしているアルバム方向づけるためにあえてこの『Drift-ドリフト-』を書いた。
 
 
こうやって考えたらおもしろいなーって一人で妄想してます。3分いかない曲で、比較的短いし、リーチを広げるためにあえて抽象的で普遍的だし、あながち間違いないのではと思うわけです。

 このイメージ動画、右に左にドリフトしてます。どっちなんでしょう? というのは、車が壊れているのか、運転手が壊れているのか。いや、そのどっちもですね。歌詞も演奏も、その危うい状態を演出しています。

 

 -A.まず演奏に関して。

 曲の雰囲気はBreakcoreにありそうな感じです。まず特徴的なのは、要所要所で入ってくるノイズ。最初の「ガガガガガガガガ……」って何かがスタックしているような特徴的な音。このガガガガ……は曲のいたるところで出てきますね。壊れたエンジンのアイドリング音のようです。今にも勝手に走り出しそうな感じ。あと、ギターか何かわかんないけど、「ゴォーギュイー」っていう歪み音。不穏です。この曲はとにかくdark(おぼろげ)で、乖離的で、亡霊のように耳元で不気味に囁きかけてくるような、そんな不安な感覚を覚えさせられます。

 前回の記事で触れた、Devinの兄のAndrew Oliver(現キーボード&クリーンvo)のプロジェクトであるDream Beachですが、そのAlbum『Volcano!(2023)』を聴いたとき、おれはすぐさまこの『Drift』を想起しました。Breakcore要素は彼の提案かなって思います。2:00過ぎのlast oneのあとのとことかモロに。

 あと、歪んだボーカル。スクリームはありませんが、虚ろな歌唱部分にはボコーダーが当てられて、ぼやーっとした声になってます。この曲の乖離感をより強調してます。

 -B.次に歌詞に関して。

 さて、具体的にフレーズを見ていく前に、まず歌詞全体を眺めてみましょう。重要なワードは、Devinのインタビューでも言及があった、the wheelということばです。the wheel(車輪、歯車、ハンドル)ということばは、我々に服従を強いる無慈悲な世界、そして、抗いがたい自己の化学的性質(精神状態)を重ね合わせて表現しています。ちなみに、この曲は短い歌詞なんだけどtheが多いです。the door、the key、the wheel、the grandeur、the signs、the lies、the wave。一見一聴しただけではtheの指し示す先がどこかわからず、どこから文脈を引っ張ってこればいいのかわかりませんでした。とても抽象的なんですよね。キャッチーでわかりやすい『Anomaly』を聴いて自意識というものにぐぐぐーっとフォーカスを向けられたままこの『Drift』を聴いたとき、「ん? なんだこの曲は?」ってなりましたね。ドリフトしまくってる車のイメージが前提にないと、歌詞全体がrun(機能)しないんですよね。逆にいうと、車のメタファさえ掴めば、歌詞はするするーっとわかるようになります。車のdoor車のkey車のwheel車のsignなどなど、あとの残されたtheはそれらに連なっていくだけなので、文脈がはっきりします。ただ、この抽象性が、いま世界で起きているいろんなものを想起させます。細かいことはまた後ほど触れます。
 
 で、とにかくyouyouって言ってます。youというのは誰のことでしょう? これはやはりthe wheelを指しています。自分の乗ってる(乗せられてる)車-乗り物-のことを指しています。当然人間のことも指してる。乗り物っていうのは、自分のことでもあるし、他人のことでもある。自分は自分の心を乗せる車だし、自分は他人に乗せられてしまうし。で、他人世間は世界なのでね、これは世界の話でもある。車は自分を乗せる。で、世界は自分を乗せた車を乗せる車。まず世界が揺れて、車が揺れて、やがて自分の心が揺さぶられる。逆もあるかもしれない。なんだかマトリョーシカみたいですけど。そうやって整理していくと、車の中にいる自分が振り回されているイメージがしやすくなると思います。あ、『D4MAGE DONE』のMVはこの曲とリンクしてます。まあつまりは『Drift』と『D4MAGE DONE』が深くリンクしているということですね。

 映像内では、ドリフトし続ける車にDevinが揺られてるシーンがたくさん出てきます。誰もいないのにハンドルがひとりでに切られているシーンもある。薄暗い電車で歌ってたりもしますね。redditで興味深い投稿があったんですけど、「このDriftはアルバムで絶対D4MAGE DONEの次に収録される。D4MAGE DONEのあとにDriftを続けて聴いてみてくれ。この2つの曲はセットでつくられた」ってね。で、『D4MAGE DONE』を再生して『Drift』を「次に再生」押して続けて聴いてみたんです。うん、どうだろうな。おれにはわかりませんでした。

 でも、この2つがリンクしていることは確かです。I SEE STARSは『Filth Friends Unite』などで、テクノロジーに支配される人類を批判する曲をつくってきました。『D4MAGE DONE』では、スマホによってもっと深刻化した社会状況に焦点を当てています。もはやスマホはおれたちを支配して振り回すひとつのシステムです。だから、『Drift』が『D4MAGE DONE』のテーマにもリーチしていることは確かです。というか、Devinは『Drift』が今度のアルバムのコンセプトを表してるって言ってましたよね。ただ、ここで言われているコンセプトというやつ、すごく手強い。

 ドリフトしていく。上滑りしていく。自分は壊れた車に激しく揺られて、身を委ねるしかない。そんな状態にあったとき、人間には何が可能か。どうやってそこから抜け出すのか。いったい何を見出すのか。この『Drift』では、I=俺は最終的にこの世界の重大な嘘に気づいて、みんなに知らせようとします。でも同時に、それが無意味に終わって、嘘の嵐によって世界が終わる景色も同時に見てしまう。

 Devinのインタビューの通りであれば、次のアルバムは、これまで膨大な表現者が挑戦してきた(I SEE STARSももちろん挑戦してきた)、「不条理」をテーマにしてつくられたものになっている。ただ、この「不条理」とか「実存」とかいうやつは、ずうーっと太古の昔から取り組まれてきた哲学の命題で、答えが出ない(何を言っても暫定的な教訓にしかならない)という厄介なものです。それと、ひとつのアルバムで真っ向から向き合うというのは、とても雄大で、果敢な試みです。しかも、それをやる。現代に、にそれを提示する。今それが必要な人間は、おれだけじゃないはずです。I SEE STARSの次のアルバムは、この『Drift』が示す通り、とてもメッセージ性の鋭いものになるでしょう。既にシングルで出ている3曲でも、それは明らかです。

 『are we 3ven?』は、自分のことを一方的に搾取してくる人間との、不公平な関係性をうたった曲です。ぜひ歌詞を参照しながら聴いてみてください。

 ちな、予告してきた通り、次は『D4MAGE DONE』の和訳を投稿します。今出ている最新シングル『D4MAGE DONE(2023)』はそれで4曲全部訳したことになるので、今度のアルバムへの準備はそれで完了です! あとはアルバムを待つだけだー!

 

 

 ③歌詞の補完。歌詞をもう一度、意味を補完しながら見直していきます。

 この曲はやっぱり抽象的なので、どのように訳すべきか迷いました。もうドリフトする車の具体的なイメージで一貫して、即物的な車の歌詞にしようかとも思いました。開き直って長々とした訳にしようかとも思いました。ですが、普遍性を残すことに決め、車のメタファは後ろに引っ込めました。結果、抽象的な部分が残ってしまったので、どうしても補完が必要な不完全な訳になってしまい、己の力不足を痛感しています。ここでは、補完しながらもう一度、歌詞を見直していきます。では、最初から。和訳歌詞の横に説明を補完していきます。

 確認しておきますが、この『Drift』でうたわれるドリフトする車のメタファは、同時に自分と世界(他人、世間)を重層的に意味しています。すべては心を乗せる乗り物です。車=世界=自分。それを踏まえたうえで情景をイメージしてみてください。


You’re drifting far out of focus
 いったいどこに向かってるんだ(You=車<-自己の内面-世界>はドリフト-上滑り-しまくって制御不能。もはやルートを外れている。どこに行くかもわからない。)
You’re whispering something cautious
 何やら小さく警鐘が鳴ってる(You=小さく悲鳴をあげ始める車。故障しかけている。)
This feeling of feeling nothing
 何も感じられないこの感じ(その悲鳴に耳を傾ける余裕はない。車の中で揺られるしかない自分。激しく揺られ続けてもはや感覚が麻痺している。何をしても無駄だと悟っている。)
Void stricken with the door wide open
 全開のドアから虚無が流れ込んでくる(Void=虚無=高速で突っ走る車の開ききったドアから流れ込んでくる風。ドアはヒンジが外れそうなほどに跳ねながら開ききっているのに、外から誰かが手を差し伸べてくれるわけでもない。ドアから入ってくるのは、ただの風。)

I’m not the key just a war now
 俺は巻き込まれてるだけなのに(俺は車のキーを回した覚えはない。そもそもキーを持ってない。キーがないからおれはエンジンをかけられないし、キーがないからa war=狂った世界=暴走するエンジンをとめられない。a war=暴走する車の中で、ただめちゃくちゃに揺られて揉まれ続けているだけだ。)
And the wheel keeps turning round
 勝手に操舵は切られ続けるんだ(the wheel=車のハンドル=世界の操舵輪。俺の意思とはまったく無関係に、勝手にハンドルが切られ続ける。無慈悲な世界=車輪は俺を無視して加速しながら回っていく。)
My sight won’t pardon the grandeur
 もう話が大きすぎてわけが分からない(the grandeur=壮大な話=俺の意思とは無関係に、勝手にハンドルが切られていく重大な事態=自分にはもはやリーチできないほどに大きな問題と化している。もはや自分ひとりでは何もできない状態にまで、事態は深刻に悪化していることは明らかだ。どうすればいいのかはわからない。)
As I wait to crawl back down
 這いつくばって待ってる俺に分かるわけない(暴走する車=狂った世界から放り出されないために、しがみついて耐えているだけで精一杯なんだ。どうすればいいのかわかるはずがない。)

Your eyes they glow
 眼がギラついてる(Your eyes=車のヘッドライトが点灯した。目つきが変わった。)
Seditious, it’s seditious
 不穏だ。正気じゃない(seditious=扇動的=今度はとんでもない何かをやらかそうとしている。おかしくなっている)
You reached the moment of no return
 あっちの世界に行ってしまったんだな(You=おかしくなった車=狂って壊れた世界。もはや後戻りできない一線を越えた。どうやら車は故障してしまったらしい。向こう側へ行ってしまった。もう修復できないと諦めてしまった。)
And now you wanna wander off alone
 もはや独りでに彷徨おうとしている(you=ひとりでに走ろうとする故障した手遅れの車=壊れた救いようのない世界。めちゃくちゃに暴走しようとしている。それを冷たく眺めている。)

You’re drifting far out of focus
 いったいどこに向かってるんだ
You’re whispering something cautious
 何やら小さく警鐘が鳴ってる
This feeling of feeling nothing
 何も感じられないこの感じ
Void stricken with the door wide open
 全開のドアから虚無が流れ込んでくる


I’m not the key just a war now
 俺は巻き込まれてるだけなのに
And the wheel keeps turning round
 勝手に操舵は切られ続ける
My sight won’t pardon the grandeur
 もう話が大きすぎてわけが分からない
As I wait to crawl back down
 自分のことで精いっぱいなんだよ

 The signs go rogue
 暴走し始めてる(危険な兆候が見えている。暴動の予感を感じている。)
Ballistic, it’s so suspicious
 危険だ。おかしすぎる(ballistic=弾道=軌道→世界は俺を乗せてどこへ向かおうとしている? suspicious=怪しい、疑わしい=何かに気づこうとしている。)
Hear me out, thе lies
 聴いてくれよ、みんな嘘なんだ(the lies=狂った世界に潜む大きな嘘。それにやっと気づいた! 明らかにおかしい方向にずれていく世界は、大きな嘘によって暴走している。みんなに知らせないといけない。)
Will wither down your spine
 背筋が凍るほどの嘘なんだよ(必死に伝えている。事は重大なんだ。でもみんな無関係だと思っている。巧妙に騙されている。背筋が凍るほどの重大な事実なのに。世界という名の車が暴走しようとしていることに、気づけていない。)
I think thе wave will be the last one
 それが波になって、最後をもたらすのが見える(the wave=嘘の高波。みんな騙されていることに気づかないまま波に襲われて、そうやって世界が終わるのがわかってしまう。)

You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus
 ズレていく、ズレていく(世界は回る。世界は回る。世界という名の車はドリフトし続けている。常にぼんやりブレてズレ続ける)
 ピントが合ったりボケたり上滑り(ぼんやりブレた視界で、あっちこっち行ったり来たりして、左右に激しく揺られながら、ドリフトしながら世界は回り続ける)
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out
 ズレていく、ズレていく(車は揺れる。車は揺れる。世界という名の車はドリフトし続けている。)
 ズレ続けて惑い続ける(ドリフトしながら、世界という名の車はルートを出たり入ったりして走っている。世界はゆらゆら惑いながら進んでいく。)
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus
 ズレていく、ズレていく
 ピントが合ったりボケたり上滑り
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus
 ズレていく、ズレていく
 ピントが合ったりボケたり上滑り
You’re drifting, you’re drifting
You’re drifting in and out of focus
 ズレていく、ズレていく
 ピントが合ったりボケたり上滑り
You’re drifting, you’re drifting
 ズレていく、ズレていく
You’re drifting in and out
 そしてあてもなく惑う

 このようになります。いかがでしょうか。頭の中でイメージが再生できたかと思います。以上、歌詞の補完になります。


  てなわけでね。あざした。

 あ、googleで歌詞検索したら上に出てくる歌詞。musixmatchってサイトの引用ですけど、あれところどころ間違ってるので他サイトを踏んで見てください。てかこの記事をみてください。

 最後に自由に語ろうと思います。語らせてください。

 この曲はまー酷評されてます。『Drift』は『Anomaly』とカップリングされて、7年ぶりの新曲としてともにリリースされました。『Anomaly』はキャッチーだし、悲痛をうたう歌詞はうんうんってうなづきながら聴ける。没入感が高めの曲です。『Drift』はやはり掴みどころがなくて、歌詞の抽象度も高くてわかりにくい。「7年間待ってこれかよ!」って言いたくなる。まあわかる。もっと刺激が欲しいんだよな。ただ、おれは好きでこの記事書いてるので擁護しかしませんよ。redditでお前らが酷評してるんなら、おれはnoteでいいところを見つけることしかしねえからな。まずこの曲雰囲気めっちゃいいから。ドリフトしてる自分。車のドリフト。ドリフトしてるお前。世界のドリフト。いろんなものがぼんやりブレてドリフトしながら制御不能になってる。この曲は酔う曲。聴いてたら酔っ払ってくる。まるで酔っ払い運転をしているような、あるいはその危険な車に乗せられているような気分にさせる。それがこの曲の意図するところだと思う。Devinもインタビューでそれらしいこと言ってたし。やっぱこの曲は他の曲と同じようにヤバいほどの作り込みで出来ています。あと、これはアルバムで輝く曲ですね。Devinもインタビューで言ってる通り、アルバムのコンセプトのようなものだと。だから、彼らバンドは、先に『Drift』をリリースして次はこんな感じでいくよって示した。何がくるのか、本当に楽しみでたまらんです。

 こんなこと言っても何にもなりませんけど、歌詞に関して補完という形をとってしまったことには、申し訳ないなという感じです。おれの記事は、自我を持って喋り出すととにかく長くなるので、というか記事を経るごとに長くなっていくという原因不明の怪現象におれ自身も悩まされている状態で、そういう煩わしい長文を読まずに済むように、①のLYRICSの部分だけでひとまず完結させる、ということを目指すようにしています。歌詞のとこだけ曲聴くときに使ってもらって❤押してもらって閉じてもらう。そんだけで、おれの記事の役目はほとんど果たせてるのでそれを目指しているんですけどね。なかなか難しい。まあ、「これがI SEE STARSのすごいところなんだ」って開き直ることもできます。「車が絶え間なくドリフトしてるイメージ」、「もう俺には何もできないんだって感覚」、「なんかお前おかしいよズレてるよっていう叫び」、「自分が隷属するしかない世界が制御不能に陥っている状態」。これらすべてをカバーする重層的な歌詞を書くのがDevinの素晴らしい文才です。ほんとうに毎回素敵な学びをもらいます。

 アルバムに関してなんですけど、7月21日がヘッドラインツアーの最終日なので、それが落ち着いたら、というか、最終日に何か情報落ちるんじゃないかな。この夏の間にアルバムリリースあると思います。もともと春でのリリースを仄めかしてたようなので。どのみち次ヘッドラインツアーをするには新しい曲が必要になりますから。

 問題はそのレングス。長さですね。彼ら、かなり曲を溜め込んでるようですよ。次に何をリリースするのか、そんでアルバムを長くするのか、リスナーの反応を見ながら決めてたのかなー、と思います。インタビューでは、16曲レコーディングしたんだっていう話もあるくらいです。じゃあなんでこんなに遅れたんだという話ですが、まあ彼らの長い困難とその道筋については前回の超絶長い『Anomaly』の神記事を読んでいただいてね。ま、タイミングってやつですね。本格始動できるタイミングを探っていた。

 去年の秋はBad Omensのツアー回ってたし、今はI SEE STARSヘッドラインのツアーをAnberlinとかHawthorne Heightsとかと一緒に回ってます。ずっと子どもの頃から憧れてたバンドだろうし、彼ら超絶嬉しいでしょうね。PALAYE ROYALEとのツアーが秋からあります。9月16日から北米ツアー、11月からヨーロッパツアーです。PARAYE ROYALEHappy Togetherカバーしてたんでハッとなったんですけど、10月11日には『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』公開。いやまったく関係ないですけど。まあとにかく2024年後半、楽しみしかないわけです。おれはわくわくが止まりません!

 The sunlight and the moonlight on our lives even if there are clouds.

 雨と曇と熱暑の時期です。異常気象。地球はドリフトしまくってますね。まあ、どんなときでも、どんなものにでも恵みを見出すことができるのが人間の強さです。ドリフトを続けながらも、なんとか生きていけるのがその強さだと思います。

 次は『D4MAGE DONE』を訳しますよー!

 ではでは!


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