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【企画作品:散文】「私のこと好き?」についての考察

タイムラインでお見かけした企画作品の数々。
ちょっと心くすぐられてしまったので、
参加させていただきました。
三羽さん、よろしくお願いいたします。

私のこと好き?
と聞いた(言った)ことがない。
あなたのことが好き、
と言ったことはある。

私はいつも好きでいたい派だ。
好きな人がいるとそれだけで幸せ。
好きな人がいないとだめになる。
まあ、
いわゆる恋愛体質の一つだろう。

だから、
相手に好きと言うのが喜びだったりする。
そして、
好きだと思い続けたいから聞かない。

私のこと好き?
なんて聞いて好きじゃなかったらどうする。
そんな恐ろしいこと、
だったら聞かない方がいい。
私が好きなままでいい。

さらに、
追いかけられると萎える派で、
好き好き言われると引いてしまう。

そしてまたおかしいくらいに
好きな人には好きと言われない。
それはすなわち、
好きな相手が
好き好き言わないタイプだと言うこと。
よって私の恋の舞台は
自分の好きで成り立っている。

しかし、
そうはいっても疲れはする。
そしてそんな時に
苦手な好き好き攻撃が発動されると
さすがにぐらりとし、
たまにはいいかで場面転換。
恋の終わりというわけだ。

けれどこの新しい舞台、
束の間のMCみたいなそれは
私の恋にはカウントされない。

そしてしばしののち、
また新しい恋の幕は上がるわけだけど、
こうして好きなままで終わった相手は
振り返って思い出した時も、
ああ、やっぱり好きだなあって思える。

楽しいことより辛かったことの方が
断然多かったはずなのに、
思い出すのはその
ちょっぴりの嬉しさばかりで
それどころか泣いたことさえ愛しく思えて
ああ、彼を好きでよかった、なんて思う。

それでも、
そんな彼にもう一度会えたとしても、
私のこと好き?
とはやっぱり聞かないと思う。
あなたのことが好き、
とはやっぱり言うだろうと思うけど。

と言うわけで、
本気の「私の恋」において、
俺のこと好き?
と聞く彼には恋をしない私には
それに答えるチャンスはないだろうけど
もしももしもチャンスがあったら
私の方がもっと好き、
なんて、らしくもなく恥じらってみたい。

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