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【自由詩】桜色の、秘密の午後〜シロクマ文芸部〜

桜色のドリームマップを作ったよ
いつになく真剣なあなたに
思わず茶化して言った
薔薇色じゃなくて?
おいおいね
あなたが笑った
うっそりと笑った
何かが揺らめく
ぞっとするような
うっとりするような
そんな何かが背筋を撫でて
思わず早口で私は返す
ネタバレはダメよ
あなたが笑った
揺らめきが一段と大きくなった
大丈夫
まだまだ先があるんだ
色はどんどん変わるんだよ
私の視界いっぱいに
あなたの瞳が広がって
なんだか飲み込まれそう
これ以上聞いてはいけない
だから止せばいいのに
もう止せばいいのに
唇はたやすく私を裏切った
あなたの瞳のその空色も
もしかして変わったり?
とたん喉が干上がって
たまらず唇をちろりと舐めれば
どこかで鮮やかな音が聞こえた
戻せないスイッチが入ったような
せっかちな君も悪くない
空色がぐっと深みを帯びて
私の世界を覆い尽くす
桜色がどんな色だったのか
もう思い出せない
それは
それは二人だけの午後
狡いくせに素直なあなたの
桜色から生まれた秘密の午後


王道の、儚げで清らかで
幻想的な桜色の世界も
書いてみたいとは思ったのですが……。
とにもかくにも楽しみました。
小牧さん、今週もありがとうございました。

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