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第188号(2022年8月22日)ロシア・ウクライナ戦争開戦の舞台裏と「これから」
【今週のニュース】ロシア軍大演習に中国も参加…なのだが
武器展示会で5000億ルーブルの国家発注契約を締結
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モスクワ郊外のクビンカでは毎年恒例の武器展示会「アルミヤ」が15日に開幕し、21日に終了した。ショイグ国防相によると、この期間中に結ばれた国家発注契約は約5000億ルーブルであったという。
また、ショイグ国防相はこの際、海軍向けに開発中の極超音速ミサイル「ツィルコン」が年内にも量産に入ることを明らかにした。
米が新たな対ウクライナ軍事援助パッケージを発表
米国防総省は8月19日、ウクライナに対する新たな軍事援助パッケージを公表した。同月8日に公表された10億ドル分の軍事援助パッケージに続くもので、今回は7億7500万ドル相当としている。内訳は以下のとおり。
・HIMARS用追加弾薬
・105mm榴弾砲16門と弾薬3万6000発
・スキャンイーグル無人偵察機15機
・地雷除去システム(地雷除去ローラー付きのMaxxPro耐地雷装甲車40両を含む)
・追加の高速対レーダーミサイル(HARM)
・TOW対戦車ミサイル1500発
・ジャヴェリン対戦車ミサイル1000発
・カールグスタフ等の対戦車ロケット用砲弾2000発
・その他(ハンヴィー軽装甲機動車50両、戦術保秘通信システム、不発弾処理、暗視ゴーグル、赤外線画像システム、光学機器、レーザー測距儀等)
「ヴォストーク2022」演習に中国が参加表明
『RIAノーヴォスチ』2022年8月17日
中国国防部は、今月30日から始まるロシア軍東部軍管区大演習「ヴォストーク2022」に人民解放軍が参加すると発表した。ただし、部隊の派遣規模は明らかにされていない。
第186号でも紹介したように、「ヴォストーク2022」に外国軍が参加するという情報は開始1ヶ月前になってようやく発表されたものであり、しかもその時点では具体的な国名が伏せられていた。それから二週間経って(ということは開始まで二週間を切った時点になって)中国からようやく参加表明がなされたという事情であるから、直前まで相当に揉めたのではないか。
もう一つ、今回の中国国防部発表で奇妙なのは、自国の他にインド、ベラルーシ、タジキスタン、モンゴルが参加すると述べている点である。ベラルーシの参加を除くと、残り3カ国の演習参加についてはこれまで明らかでなかった*。普通、こういう話は主催者であるロシアが公表するものであろうが、一参加国に過ぎない中国の公式発表で最初に知るというのはどうにも違和感の残るところである。
*開戦後、ロシア国防省の公式サイトが外国からは閲覧できなくなっているため、こちらには事前に何らかのアナウンスがあったという可能性はある。ただ、ロシア国内の在外公館やマスコミ支局はロシア国防省サイトくらい当然チェックしているであろうから、これまで報じられていなかったということはやはり公式発表はなかったのだろう。
【インサイト】ロシア・ウクライナ戦争開戦の舞台裏と「これから」
プーチンは何故判断を誤ったのか
今回の戦争がプーチンにとって誤算であった、ということは既に広く指摘されています。短期間で、なおかつほぼ無血でウクライナを占領できると考えていたにもかかわらず、実際にはうまく行かず、かといって全面侵攻に切り替えても首都キーウ(キエフ)が落ちなかった。そこで東部に集中することでようやくある程度の成果を収めることができた…というマイケル・クラーク英国防大学教授の見解はこうした経緯をわかりやすく説明しています。
では、当初のプーチンは何故、甘い見通しを抱いてしまったのか。これについても以前からなんとなくのことはわかっており、連邦保安庁(FSB)で旧ソ連を担当する第5局の情勢判断がおかしかった、その責任を取らされたベセダ局長が拘束された、といった情報が伝わっていました(詳しくは第176号を参照)。
さらに今月に入ると、より具体的な情報が米『ワシントン・ポスト』から出てきました。問題の記事によると、FSBはウクライナ人がロシアの侵略に対して激しく抵抗するであろうことを世論調査を通じて気づいていたが、国内に抱えていた多くの内通者*によってゼレンスキー政権を転覆させることは可能であると見て「簡単に勝てる」「ウクライナ人はロシアの統治を歓迎する」という報告をクレムリンに上げていたとされます。
さらにFSBはこの見通しに基づいて占領統治を監督する任務を負ったFSB第5局(記事中では別名の「作戦情報局」が用いられている)のイーゴリ・コワレンコ(ウクライナ政府の手配書によると同局第9課長 )をキーウに送り込むつもりであり、拠点とするアパートまで決めていたとようです。
『メドゥーザ』によると、FSBはウクライナ保安庁(SBU)内にさえ内通者を抱えており、チョルノービリ(チェルノブイリ)原発が簡単に陥落したのはこうした人物の手回しによるものであったようです。
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