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週報プークス11月 空腹を満たす息

前回の週報はこちらから。




11月20日(月) 銭湯は癒し

そろそろ生理はじまりまっせ、とiPhoneヘルスケアが言っているので、それに合わせた銭湯スケジュールを組む。
SNSで、女湯には生理用品がどこもかしこも散らばっているんだ!と、どっかのぼんくらが言ってたわけだけど、女性の話は女の言うことだから、と聞かず、何も知らないのに無知を認めず、でも女の話をファンタジーベースでしたがる人々って、ほんとうに何をしたいのか分からない。

踏切を渡り終えてしばらくして、声が聞こえたので振り返ると、少年は傘を持っていた。渡っている途中で、警報が鳴り出したのであわてて小走りになったときに落ちてしまったらしい。礼を言って受け取る。
後ろからの声がけは大体スルーしてしまうので、気がつけてよかった。
(音として認識してはいるが、自分宛とは気がつかないことがよくある)



11月21日(火) 今日もさむさむ。

足元をしっかりと布団で巻くと、あたたかいが肩周りが冷えるので、縮こまったみのむしになりがちな今日この頃。肉の凝り固まりをラクにすべく、銭湯に行くたびに、脚のどこかしらをギュッギュと指で押している。
整体のYouTubeで見た方法で、かかとから足首へかけてと、足の両サイドをかかとから指へ向かって。
そして温冷浴を何往復かして、ホコホコになって外に出ると、寒風で勝手に「ととのう」ので、初めて「冬って、いいことあるんだな」と思えた。
なにしろ雪国では、雪かきがしんどい以外の感情が沸かず、灰色の雲が重苦しく、寒い間はシンプルに気分が落ち込む。冬季うつの症状が当たり前なので、兵庫出身の弟(血縁はもちろんない。友人のひとり)は、2年ほど富山で暮らしてみて、この落ち込みようのおかしさに周りが誰も共感してくれなかった、とこぼしていた。年々、除雪の機会が減っていくのは歓迎しているが、地球にとっては優しくないわけでもどかしい。



11月22日(水) 夜廻り猫と居酒屋ワカル

深谷かほるさんの新刊が届く。


予約したときは発売日以降に到着、の表示だったから思いのほか早くてうれしい(楽天ブックスで買いました)。
子どもの頃から付け狙われやすかった、と半生のたくさんの時間にあった性加害と、肩肘はらねば生きてゆけなかったかつてを振り返る老齢の女性が、今やっと安堵することに、平蔵が頭を下げて労いの言葉をかけるコマに泣いてしまった。
その話の扉絵に「終わるといい、終われなかったひともいる」という世情を慮るセリフもあり、また宝物をもらった気分。

一転して、「居酒屋ワカル」は、「夜廻り猫」のキャラクター、ワカル(たまご色の仔猫)が居酒屋でお客をもてなし、自分のわがままを聞いてもらったりするので、緊張のしどころがなくていい。わたしは「夜廻り猫」で初めてワカルを見たとき、なんてかわいくないやつなんだ!と思っていた 😂
今ではその感想の源泉が何だったか分かる(ワカルだけに)。
ワカルは、時に子どもとして、存分にその時間を謳歌してるんだよね。それがうらやましかった!

実家はワンオペ育児に実親2人の介護、遠洋の父が帰ってくればその世話も、母にのしかかっていた。子どもに割ける時間は少ない。
その必要ないからもう恨んでないけど、たいていの理不尽な躾はあったから、死んだ今でも母のことは嫌い。ただ、母こそ「夜廻り猫」に出てきそうな苦境の人だよな、と最近思う。
さっちゃん(野良のワカルを迎えた昭和の乙女)に甘えてるワカルは、さっちゃんと住む家のグレードアップのために、みんなの夢のような「入りやすく、なじみやすく、通いやすく、好物がなんでも出てくる」居酒屋を始めた、ってのもいい。
とにかくお腹が空く。
ポテサラが食べたい。あと、ホワイトシチューも。



11月23日(木) 赤と白の地層

思いがけず、ひと様のお役に立ちホクホク。

読み物の途中で「ラザニア」という単語が出てきて、わたしとラザニアのなれそめを思い出すなどする。
ラザニア、とは板状のパスタとミートソース、ホワイトソースを重ねたイタリア料理で、「きのう何食べた?」でもクリスマスの定番料理として出てくる。デパ地下惣菜で見つけるとうれしくなるやつだ。
幼少の頃、実家はWOWOWに加入していて、夕方は海外アニメの時間だった。毎週月曜が「ウォーリーを探せ」、火曜日は「ガーフィールド」をやっていて、我が家は「ガーフィールド」にどハマりしたわけである。

オレンジ色の縞猫、ガーフィールドは漫画家のジョンの飼い猫。基本的に怠惰でよく眠り、非常にシニカルで、月曜日を憎み(サザエさんシンドロームの上位互換)、「猫らしい」ふるまいをする仔猫が大嫌い。同居しているビーグルの仔犬、オーディーと人間をおちょくることに関しては熱意を掛ける。アメリカの新聞で連載されていたコミックが原作である。
その愛すべき皮肉家のガーフィールドの好物が、ラザニアなのだ。
出生がイタリア移民のレストランで、店のありとあらゆる食べ物を食い尽くして、追い出された。という逸話のある大喰らいなのだけど、12歳のわたしからすれば、次々と出てくる料理……ピザにローストターキーや、フルーツのパイ、何段にも重ねられたカラフルなケーキ、マッシュポテトアイス(これはキャンプ回のハズレだが)……は、どれも日本の田舎では見たことないもので、掃除機のように吸い込まれていく様子も気持ちがよかった。
もちろん本当の猫の餌とは程遠いが、それは「夜廻り猫」も同じで、ちょっとだけ人間に添ってくれることとは、同じ食べ物を分かち合うことなのだと思う。

あるとき我が家の食卓に、ラザニアが出た。
家族の間でも「ガーフィールド」の話はしていたので、おそらく母は子ども達のために作ってくれたのだと思う。
ソースをふたつも作り、まだ日本にイタ飯ブームも来てない頃に、ラザニア用のパスタを田舎でどうやって入手したのかは覚えがないが(もちろん通販だって今ほど発達してなかった)、当時を思えばハイカラで豪勢で、手の込んだ料理と言える。「きのう何食べた?」同様、ハレの日のメニューを、わたしはどうして食べていたんだったかなぁ……。



11月24日(金) おや?

予定日を過ぎたが生理が来ない2日目。
下腹部に膨満感はあるので、そのうち出るとは思うが、なんだか落ち着かないもんで、こればかりは何もしようがなく、仕方ない。
量がぐんと減ったし、早めの閉経に備えてはいるのだけど。例えば、生理用ナプキンの寄付先を探したり。
買い置きしているナプキンは、新品未開封でも買った日付が新しくないことには、寄付できないので今は買い控え中。
これからは都度買いだなー、といつか来る閉経の日を楽しみに待っている。



11月25日(土) 映画館のボリューム

だいたいNERVアプリの週間予報を見ているんだけど、雲マークのうしろに隠れていた雪マークに、果たして。と思いながら傘を持って出かける。
青い空が雲の隙間から見える晴れで、平野部に降雪なし。
しかし、やっぱりばっちり寒い。

今週は寒いし、寝るしかなくて時間があれば横になり、こまぎれにショート短編の夢を一晩で何話も見る、みたいなことになっている。
覚えようとするけど、はっと目が覚めて、うとうとしてるうちに忘れ、話数を重ねるごとに古いものは忘れ、起きたら完全に忘れる。
おぼろげに覚えているものでは、ホテルに泊まっていることが母にばれて、部屋の電話を取ろうとしたタイミングで、入り口に鬼の形相の母が待ち構えているとか、そんな夢を見るくらいなら、もっとおもろい夢見たらええのに、とコントロールの効かない自分の脳みそに思う。



11月26日(日) 時代はみじん切り。

気持ちよく晴れているので徒歩で遠出。
スーパーで「きざみ野菜」が半額になっていた。餃子のたねに使うキャベツとニラのみじんぎりである。

以前の週報でも書いたように、素の麺類が好きで、焼きそばも極力、具がないほうが好き。というのも、キャベツ……あんまり合ってないんでは?と思っている。肉やもやしはソース色に染まっているのに、キャベツだけは染まってない気がするのだ。
で、うちに3玉108円(税込)の焼きそばがある。
フライパンに酒を敷き、麺を入れて強引に揺すってほぐし、水気がなくなるタイミングで油をかけて、よく混ぜ、パチパチと音が鳴る頃合いで、粉ソースをまんべんなく行き渡らせる。
皿に移した麺に、スプーンで何杯か「きざみ野菜」をふりかけてみたら、麺によく絡み、シャキシャキの食感が瑞々しく、味を邪魔しないので非常に食べやすかった。
咀嚼の間に歓喜した。またやろ!
ざく切りのキャベツよ、さようなら。



今週も読んでくださり、ありがとうございました!

chicca

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