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45. メンタリングとコーチングの違い

日本では「キャリアコンサルタント」という資格の名称からか、キャリア支援=コンサルティングというイメージが先行しがちです。
しかしながら、キャリアコンサルティングを行う環境、対象によってメンタリング(mentoring)やコーチング(coaching)の知識や技法を用いる必要があるということを最近大学院の授業で学びましたので、これらの違いや特徴についてごく簡単にまとめてみました。

〇メンタリングとは
メンタリングとは、Roberts(2000)の定義を引用すると「知識・経験の豊富な人が、経験・知識の浅い人の内省と学習を手助けし、その人のキャリアと個人的成長を促進する支援プロセス」であると言われています。

メンターは、特定の分野・スキルに限らず、幅広い話題について相談を受けることになるため、企業内でメンタリングを行う場合、その企業の文化やシステムを幅広く理解している上司や先輩社員がメンターとなるケースが多いでしょう。

メンタリングにおいてメンターは、非指示的な姿勢で助言を行ったり、メンティー(メンタリングを受ける人)の課題発見、目標設定のサポートを行います。

〇コーチングとは
国際コーチング連盟と欧州メンタリング・コーチング協議会の定義によると
コーチングとは、「クライアント(コーチングを受ける人)の目標に到達するために、障害となっているものを改善し、有効なものを育成するために、専門的な手法や技法を用いて、クライアントの学習プロセスを促進すること」です。

そして、ここでいう目標とは、ある特定のスキルやパフォーマンスの向上を指す場合が多いです。そのため、コーチングにあたっては、プロコーチなど社外のリソースを活用するケースも一般的です。

また、コーチングの特性は、ティーチングと異なり、質問を通じてクライアントが目標達成にあたり障壁になっていることを分析したり、目標達成までのステップを明確にする手助けをするところです。

つまり、メンタリングとコーチングの主な違いは
・メンタリングがメンターとメンティーの関係性や絆を通じて学びを促すものである一方、コーチングはスキル・パフォーマンス向上にフォーカスした支援プロセスである。
・メンタリングでは、メンティーの仕事や職場、業界に関する知識が豊富な人、つまり職場の上司や先輩写真がメンターを務める場合が多いのに対して、コーチングはスキル・パフォーマンス向上の支援に長けた人材(プロコーチなど)がコーチを務めることが多い。
という点にあると言えます。

しかしながら、最近ではメンタリングとコーチングのカバーする範囲がどんどん広くなり、両者の明確な境界が曖昧になってきている傾向にあります。
そのため、どちらか一方だけの知識・技法に固執することなく、メンタリング・コーチング両方について学び、支援する方の希望や状況に応じて、これらを使い分けることが大切なのだと思います。

参考文献:
Brockbank, A. & McGill, I. (2012) Facilitating reflective Learning: Coaching, Mentoring & Supervision. 2nd ed. London: Kogan Page.
Roberts, A. (2000) Mentoring revisited: a phenomenological reading of the literature. Mentoring and Tutoring 8(2): 145–70.

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