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不登校支援における家庭内でのゲームやスマホとの付き合い方/認知行動療法カウンセリングセンター沖縄店

こんにちは、私は認知行動療法カウンセリングセンター沖縄店担当です。今日は不登校支援における家庭内ルールの設定についてお話しします。特に、ゲームやスマホの使い方に焦点を当てて考えていきたいと思います。


家庭内ルール設定は悪なのか

ネット上で、ゲームやスマホ時間を決めるなどの家庭内ルールの設定についてさまざまな意見を見ることがあります。その中でも、「支援者にルール設定をしろと言われたが子どものことを分かっていないしありえない」といった想いを語られる方も多い印象を受けます。疲弊しきり不登校になってようやく家庭で安心して過ごせるようになったのに、ルールで縛ると安心できる環境ではなくなってしまうではないかとの想いも見聞きします。おそらく支援者と家族との間でさまざまなズレが生じてしまっているのだと思います。家庭内ルール設定に限った話ではありませんが、ある人に役立つ対策が別のある人には役立たないばかりか傷つけてしまう場合もあります。相談者にとって役立つ支援を行うためには、相談者のことをしっかり理解すると同時にコミュニケーションを通した意思疎通が必要になるのです。そのことを考慮せず、意思疎通が不十分なままに行われる「ゲームやスマホのルール設定」はうまくいかないばかりか相談者を傷つけてしまいます。

支援におけるズレ

1.そもそもケースフォーミュレーションができていない
支援者が相談者の現状を把握できていないにも関わらず、書籍などに書かれていることを理由に「ルール設定」の提示をしている場合です。目の前で困っている相談者の想いを組まない対策は誰の役にも立たないばかりかかえって傷つけてしまう場合もあります。まずはしっかりとケースフォーミュレーションをすることが大切になります。

2.支援者なりの理由はあるが意思疎通ができていない
相談者の現状を把握し何が今の状態を維持しているか明らかであり、「ルール設定」での対策が役立つであろうとの仮説はたてているものの、そのことについてしっかりと意思疎通ができていない場合です。相談者からすれば、突然自分の想いとは異なる提案をされショックを感じてしまうかもしれません。自由に意見を出し合える環境において支援者としての考えと相談者の考えの整理をすることが大切になります。

理解不足コミュニケーション不足は支援を行ううえで大切なポイントです。自分自身も専門家としてしっかりできていることもあれば意思疎通ができていない場合があると思います。決して他人事でなく今一度自身の臨床を振り返っていきたいと思います。

家庭内ルール設定は結局必要なのか

不登校と一言でいっても実際は十人十色です。何をもって解決なのかも人それぞれなのです。それゆえに唯一無二の正しい支援というものは存在しません。ゲームやスマホとの付き合い方についても、まったくダメな支援なのかというとそんなことはありません。役立つ場合もあるのです。ただし、誰しもに役立つ方法ではありません。相談者の現状をしっかりと把握し、意思疎通がなされその方法が腹落ちしてはじめて意味をなすのです。
また不登校は単一の問題ではなく複雑にさまざまな問題が絡み合っている場合が多いです。なので、まずはやはり何が起きているかしっかりと理解することが大切になります。

ゲームやスマホとの付き合い方

支援者から「家庭内での居心地が良いが、学校の居心地が悪いから不登校状態が維持されています。そのため、家庭内での居心地を悪くするためにもゲームやスマホの時間設定をしましょう」といったようなことをいわれた方もいるかもしれません。私が相談者の立場でこの台詞を聞くとなんだか自分たちが悪いように感じてしまいます。まるで不登校なのは家族のせいだと言われているような。おそらく支援者にはそんなつもりはありません。ですがそう受け止めてしまいます。何かを伝える際には、伝え方にも注意をする必要があります。

居心地が良いというのは素晴らしいことだと思います。そもそも居心地が悪い場所にわざわざ我慢して行き続ける必要はあるのでしょうか。支援は無理して居心地の悪い場所に行き続けるためのものではないように思います。安心して自由に過ごせる場所の拡大が大切だと考えています。ただ、自分一人だけの想いを大切にしてしまうと他の誰かがしんどさを感じてしまうかもしれません。みんながそれぞれに距離感やルールを守ってこその「安心して過ごせる場所」になるのではないでしょうか。私が「スマホやゲームを含む家庭内ルール設定」を対策として行うことがあるとすれば、安心して過ごせる場所を作るためです。学校復帰を考えるのであれば学校が「安心して過ごせる場所」になるよう、そこでの過ごし方を明確にしていくのもその一つです。そしてこれらは、支援者が勝手に決めるのではなく全員で意思疎通を通して行うことが大切になります。注意が必要なのは、私がここで書いた対策もまた万能的なものではなく、しっかりとケースフォーミュレーションがなされた状態で用いなければ意味はありません。

終わりに

今回は敢えて詳細な対策を述べていません。その理由は、ここで述べた方法がある人には有益である一方で、他の人には適していない可能性もあるためです。もしご自身にあったやり方について、お知りになりたい際はお気軽に認知行動療法カウンセリングセンター沖縄店までご連絡頂ければと思います。







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