ー7ー 子どもと彼。どうするか。考える。
その後、具体的な解決もないまま
一方的に彼より
「別れるのはやめておく。俺の嫌なことはするなよ。」
そう言ってその場は終わった。
その後も、彼より
「病は気からだよきっと治るし、体調も戻るよ」
そう言われた私はとんでもなくムカついた。
LINEで‘‘病とは、つわりのことを指してますか?‘‘
と送った。
彼は
「別にそう言うわけじゃなくて、メンタルも落ちるんだろうけど、自分でも負けないって気持ちも大事だよって事そんな深く考えないでよ。つわりの症状は妊婦さんなら誰もが通ってる道なんだからさ。まーた言い方キツイわ。そこはそうだね。とかでいいじゃんよ」
「元気付けようとしただけだよ変に突っかからないで、元気にさせようとしてくれてるんだなって解釈して欲しかったわ」
そう、返された。
言われた通りに、‘‘うん、そうだね‘‘ と返した。
男性にはどうしたって分からないもんだよね。
でも、それでも寄り添って欲しかった。
‘‘俺が傍にいるから、大丈夫だから。支えるから。‘‘
そう思ってしまう私は浅はかなのだろうか。
6月いっぱい、私は妊娠悪阻により休職させてもらえることになった。
彼の家で過ごさせてもらえないか打診した。
‘‘今が一番きつくて安定期まで保ちそうにないこと‘‘
‘‘本当は毎日傍に居てほしいこと‘‘
‘‘休みの日も寝ているから家事をやってほしいことも言えないこと‘
‘‘自分の身の回りのことすらやるのがしんどいこと‘‘
彼はこう答えた。
「俺がそっち行くよ。」
「それは分かるけど、うちは無理。
そんなスペースないし段ボールだらけだし。」
「俺がそっち行くよ」
そう彼が言った。
彼が、そう言った。
彼が私の家から仕事に行く日が始まった。
その中で、私は彼を見送ってから
色々な機関に相談した。
妊娠相談ほっとライン
保健福祉センター
助産師のオンライン相談
NPO法人
あとはインターネットの掲示板で現状を
つらつら書いたものを投稿し、先輩ママさん達の意見を貰った。
そこで、モラハラであることに気づいた。
これが、されている間は本人は分からないってやつか。
彼と一緒になっても自分と赤ちゃんがしんどいだけだろう
そういう未来しか見えなくて
1人で産んで育てるか
別れて堕胎するか
私の中でその二択になった。
悩んでいたところに、‘‘もう無いな‘‘
と思った出来事がひとつ。
私は大嫌いな両親に妊娠したことを伝えて、
両親からの思いがけない言葉に精神的に不安定になった。
彼が休みの日に、夕方に来ると言うので、
私は
‘‘精神的に不安定になっているから今までの私の家のことを聞いて欲しい‘‘
そうお願いした。
彼は了承し、「俺が癒してあげるね」
と言ってくれた。
彼は前々から映画『ドラゴンボール』を見に行きたいと言っていて、
私は全く興味は無いけれど、あまりにも彼が見に行きたそうだったので、
調子が良かったら行こうか、と話していた。
その日、彼が買い物して家に入るなり、映画の話になった。
たまたま私の体調がいつもよりは良かったので承諾した。
彼はすぐさまその場でレイトショーのチケットをとった。
ーーーーーその後。
彼が冷蔵庫に食材を入れているところ、職場の後輩に借りたスケボーで擦りむいた膝を床についてしまい、痛がっていた。
私は理由が理由なだけに笑ってしまった。
そしてまた地雷となる言葉を言ってしまった。
‘‘治りが遅いのは歳のせいじゃない?‘‘と
無言の彼。
彼はその後椅子に座り、足を組んだまま、
座っている私を見下ろす形でこう言った。
「聞いて欲しいって言ってたこと(私の家の話)今言いなよ。
どうせいつ言ったって変わらないんだから。」
優しい口調なんかじゃなかった。
私にだって言う雰囲気とタイミングがある。
でも彼はお構いなしに強要してきた。
‘‘私にも言うタイミングがある‘‘と伝えて何も言えなくなった
私に対して、彼は
「まず買い物に対してありがとうって言うだろ。言えないのは感謝の気持ちがないからだ。俺が歳かどうかは俺が決めることだ。プライドが傷ついた。」
そういうつもりではなかったこと、謝罪した。
けれど、彼は矢継ぎ早に
仕事の時の話を持ち出して、俺は周りにこんなに尊敬されているだの、若い子に混じってやれているだの、
そんな話に流れた。
謝罪は受け入れてもらえなかった。
その後、映画に出かける時間が近づき、
私は精神的に行ける状態ではなくて意を決して言った。
‘‘私、もう無理。映画、1人で行ってきて‘‘
彼はなんて言ったと思う?
「もうチケットとったし、行くこと決まってるから。
行かないとか逆に怒るから。」
怖かった。とにかく怖かった。
私は着替えも出来ずにうな垂れていた。
絶望を感じていた。
時間が迫り、彼は強制的に私を立ち上がらせて
準備を急かした。
そして、バイクでタンデムして映画館に向かった。
道中、吐きそうだった。
いつもなら乗る時に差し伸べてくれる手もなく、
いつもはインカムで繋げて喋りながらいくのだがそれも無く。
ゆっくり走ってくれることもなく。
終始無言。
映画館での時間は苦痛でしかなかった。
彼はたまには外に出ないと、と言っていたが
苦痛だった。
‘‘ありがとう‘‘を求めてくるのであれば、
私も‘‘映画に付き合ってくれてありがとう‘‘
そう言われたかった。
でも、帰ってからも無言だった。
ーーーーーその翌日。
彼は昼まで寝ていて、起きた後はずっとテレビを見ている状態。
私には夕方まで一切声を掛けてこなかった。
夜中少しずつ細切れにしか眠れなかった私はずっと
ベッドに横たわっていた。
外が暗くなり始めた頃、やっと彼は私に声を掛けてきた。
「ずっと横になってたら筋肉落ちるよ、体内時計おかしくなるよ
日を浴びた方が良いよ。」
私が朝方ゴミ出しに外に出て、日を浴びてきたのなんて
知らないくせに。
彼は無理矢理、私の腕を引っ張ってきたので
‘‘痛い‘‘と反抗した。
トイレットペーパーが無くなってしまったので、
彼は買いに出ていった。
帰ってきたときは語尾の荒い「ただいま」
あぁ。‘‘ありがとう‘‘が欲しいのね。
でも私ちゃんと、言えたよ。
彼も使ってるトイレットペーパーなのに。
その夜中。無理矢理。
性行為を求められ、された。
ゴムもつけないまま。
本当にあの雑誌読んでないんだな。
お腹の子のことも、私のことも考えていないんだな。
そう思った。
悩んで悩んで悩みぬいた1か月だった。
いくら相談しても、最終的に決めるのは私自身で。
母親がキリスト教のカトリックであることから、
(私も実はその洗礼をうけているので同じなのだが)
堕胎は禁忌だという教えが刷り込まれていた。
そして少しづつ膨らみを感じるようになり、
もう、私は愛着をもっていた。
お腹の子に、
‘‘大丈夫。死ぬときはママも一緒だから。‘‘
そう、約束していたの。
なのに。ごめん、ごめんねじゃ足りない。
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