ー9ー 話し合い後。
話し合いが終着した。
牧師さんが、最後に彼にこう伝えた。
『女性にとっては、心と身体を引き裂くような体験になってしまうということ、ちょっと想像してみてくださいね。自分のこととして。足の痛みどころではない。今後経済的な問題も絡んでくるのは分かりますね。』
その後少し、彼の申し出で、2人きりで話す時間があった。
彼は
「普通に病院行って、同意書書いて、おろすっていうことでしょ。」
‘‘入院して、中絶して、死産届だして、火葬して、埋葬するっていう‘‘
そんな話しか無かった。
謝罪も何もなかった。
そして、法的、経済的な問題があるのか確認する為に、
退席していた協力者を席に戻した。
そして、司法書士からざっくり費用がどのくらいかかるのか
説明をしてくれた。
そしてとりあえず20万円の支払いを彼に求めた。
彼は何故この場で支払わなければならないのか?と渋った。
まるで子どもが駄々をこねるように何度も。
「え?なんで今じゃないといけないんですか?」
「別に良くないですか?」
と。
渋々彼は司法書士と一緒にコンビニのATMに行き、
戻ってきた。
そして堕胎の同意書にサインを彼に書いてもらい、
20万円を受け取った。
最後に牧師さんにお祈りをしていただいた。
牧師さんは、私は勿論、彼の心と身体のことも
しっかりとお支えください、と
お祈りしてくださった。
彼を見送る際に、
‘‘来てくれてありがとう‘‘
と私は伝えた。
彼は無言で去って行った。
その後車で自宅まで送ってもらった。
私はずっと涙が止まらなかった。
家で1人とひとり。
涙はずっと止まることは無く、何もすることが出来なかった。
私から彼にLINEをした。
‘‘今日は来てくれてありがとう。話も聞いてくれてありがとう。
あなたの子でもあるので、手術はいつになるのとか火葬がいつになるのとか、は知りたいですか?‘‘
彼は
「精神的にも体力的にも負担掛けてしまったし、本当にごめんねとしか言えない。俺が無責任だし、追い込んでしまって、精神的に負担掛けて怖いと思わせてしまって。」
「手術も火葬も言わなくて大丈夫。でも、落ち着いたら行かなきゃなって思ってる。(私が)普段の私生活に戻れたら、また会ってくれるなら会ってもう一度謝りたいと思ってるよ。」
もう一度?
あの場で彼は謝罪ととれるような言葉は一切なかった。
あぁ、もう。本当に。
口だけだ。
そして、手術も火葬にも立ち会わない彼の考えも
私には理解できなかったし、
彼の勝手なタイミングで謝罪されに来られても
私は受け入れられる気がしなかった。
ーーーーーーーそこで終わった。
これから、私と子どもの
1人とひとりの、奮闘が始まる。
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