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The Chalk Man

 C・J・チューダーという人の2018年の作品。邦題は「白墨人形」。Kindle版が安かったので読んでみました。209円。ホラー推理小説です。

 ボクにとって最大の謎は最後の「letter hole」でした。色々ググった結果、主人公のエディも父親と同じようにボケ始めてしまったのを匂わせている、という説が有力のようです。ボクは納得できませんが。

 物語の途中で、エディの父親がアルツハイマーになって、その兆候として「door handle」を「door hanger」と(間違えて)言ったと書いてあります。これに引っ掛けて、エディも自分では知らずに「letter slot」を「letter hole」と言っている、つまり読者にこの人もボケかかっているのだと知らせているというわけです。かわいそうにね、と。

 ボクのこの説に納得できない理由は3つです。

【1】letter hole とも言うのではないか?
 letter hole でググってもちゃんと出てきます。

【2】hole がイタリック体なのはおかしい
 一人称、つまりエディの視点で書かれている物語でイタリック体ということはエディ自身がhole に特別な意味を込めている、少なくとも何か自覚していると解釈すべきではないか。

【3】いちいちその物を意識するか?
 誰かと会話していて「letter slot」という言葉が出てこない、というのはわかるが、引越しの最後に一人で家を後にする時、自分でドアのカギを放り込むのに、その穴のことを何と言うか考えるだろうか。

【ボクの解釈】
 最終章は主人公エディの見ている夢である。この伏線として、物語にはエディの見ている悪夢がたびたび登場する。大部分の読者はだまされています。エリーサの頭部はエディが持っていたわけでもないし、エディがボケ始めたわけでもない。夢の中で、妄想の自分を客観視しているというわけです。

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