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このところ「おてつたび」を利用している話

ここ半年ほど、私は「おてつたび」というマッチングプラットフォームを利用して、日本各地に赴き、住み込みで働く生活をしています。
このnoteを執筆している現在も、北海道枝幸町で養蜂のお仕事を手伝わせていただいているところです。

このnoteでは「おてつたび」とは何かを紹介した上で、「おてつたび」の魅力について、私なりにこれまでふわふわと考えていたことをまとめてみたいと思います。


「おてつたび」とは

私は昨年の冬にニュースの特集で「おてつたび」を知ったのですが、その頃に比べてもメディア露出が増えているため、すでに知っている人も多いかもしれません。

「おてつたび」は、お手伝い(仕事)と旅を掛け合わせた造語で、地域の短期的・季節的な人手不足で困っている農家や旅館などの事業者と、「知らない地域へ行きたい!」「仕事をしながら暮らすように旅したい」と、地域に興味がある若者をマッチングするwebプラットフォームです。

おてつたび公式

実際に行って体験するとよく分かることですが、農業では1年の中で収穫期などの限られた忙しい期間に、かなりの人手を必要とします。
私はまだ経験がありませんが、宿泊業もそうなのだろうと思います。

だからと言って、その時期のために普段から大人数を雇っておくことは現実的ではありません。

また、地元で一時的な人手を確保する手段として「デイワーク」や「タイミー」といった日雇いのマッチングサービスがあるにはありますが、そもそもの人口、とりわけ若年人口が少ないために、地域の中では十分な働き手を得るのが難しいという問題があります。

こうした課題を抱える事業者に、旅を志す全国の若者を送り込もうというのが「おてつたび」のコンセプトです。実に画期的なアイデアだと思います。

「おてつたび」に登録している旅人はおよそ半数が20代(=大学生)のようですが、体感として、大学の休業期間外は30代以上の方がほとんどを占める印象にあります。
それでも、就農者の平均年齢が70歳に迫ろうとしているいま、各地域では60歳であっても歓迎すべき"若者"なのです。

「おてつたび」の魅力

「おてつたび」とは、マッチングサービスの名前であると同時に、同サービスが提供する"新しい"旅行スタイルの名前でもあります。

それは、賃金をいただいてお仕事をする傍ら、休みの日には周辺観光をするなどして、数日〜数週間(〜1ヶ月超)にわたって1つの地域に滞在する旅のあり方です。

厳密には、同じようなマッチングサービスは他にもあるのですが、遠隔地バイトの「旅」という側面に焦点を当て、カジュアルに打ち出したのが「おてつたび」の新規性であり、いま支持を集めている理由だと思います。

まとまった時間が取れないと参加できませんが、だからこそ、普通の旅行とは異なる魅力があるように思います。

その魅力をいくつか挙げてみましたので、順に説明します。

1. 暮らすように滞在できる
2. 滞在費をその場で稼ぐことができる
3. 社会経験/社会貢献ができる
4. 自分では行かないところに行ける

1.  暮らすように滞在できる

有名な観光地であっても、道を一本外れただけで急に生活感あふれる空間に様変わりしたりするものです。そういうとき、誰しもそこにある生活にどこか心惹かれる思いをしたことがあるはずです。

ここではどんな人がどんな暮らしをしているのだろう、と。

「おてつたび」とは、そうした街の生活の側面に触れる旅だと思います。
客人として旅人を迎える街の顔はどこかよそよそしいものですが、その街で働いたり、その街のスーパーで日々の買いものをしたり、そうやって接した地域とは、何だかより深い関係になることができる気がします。


TikTokやYouTube ショートなどの流行を見ると、現代はコンテンツに短絡的な「分かりやすさ」を求める時代になってしまったように感じます。

旅行についても、今どきは旅行雑誌やインスタグラムを見ればたくさんの情報を調べることができて、誰かのおすすめに沿って事前情報通りに楽しむ、という消費的な旅行が多いのではないでしょうか。

そうした旅を私もしますし、確かに楽しいのですが、それぞれの街にはSNSで共有できるような「分かりやすい」魅力ばかりではなくて、ある程度の期間その地域に根ざして滞在することで初めて気づく、奥ゆかしい魅力もあると思います。

その街の空気感であったり、人の温かみであったり。

人によって見出すものは違うかもしれませんが、あらゆるものを誰かと共有できる時代だからこそ、誰とも共有できないものとしてその街を体験するのは非常に貴重な機会のように思います。

その土地が「旅先」から「郷土」になる、そんな感じです。

そういうわけで、暮らすように滞在するという「おてつたび」のあり方は、今後ますます素敵な旅の選択肢になり得るのではないかと思うのです。

2. 滞在費をその場で稼ぐことができる

「おてつたび」では、各都道府県が定める最低賃金以上の賃金、それから宿泊場所(水道光熱費含む)の提供が保証されています。

往復の交通費、現地での生活費(食費など)、休日の観光費は自分で出すことになりますが、そこまで倹約している訳ではない私でも、これまでの「おてつたび」で赤字になったことはありません。
概ね1週間に1万円程度の黒字になるかな、というのが私の体感です。

「おてつたび」先によっては、賄いを出してくれたり、車を自由に使わせてくれたりするので、よりお得に滞在や観光を楽しむことができます。

3. 社会経験/社会貢献ができる

「おてつたび」でのお仕事は楽な作業ばかりではありませんが、多くの学生や社会人にとって普段経験できない目新しいもので、お仕事ながらも新鮮な気持ちで楽しむことができると思います。

お仕事を通して地元の方と仲を深めることができますし、普段自分が消費しているモノ・サービスの裏側を覗くことで、非常に勉強にもなります。


一方で、どの地域に行っても本当に若い人が少なく、切実に人手を欲しているんだなということを感じます。

タメになる楽しい経験ができる上にお金までもらえるとなると、なんだか旅人ばかり得をしている気分になりますが、実際のところ、旅人の側も地域に対して多大な貢献ができているはずです。

そのことがまた自分の旅に付加価値を与えてくれるように感じさせるところが「おてつたび」のニクいところです。

4. 自分では行かないところに行ける

私はほとんど一次産業の「おてつたび」にしか行ったことがないのですが、暮らしてみると素敵なところでも、観光という点ではなかなか脚光を浴びることのない地域である場合が多いです。

そうした街は旅行の行き先に挙がる以前にまず認知されていませんし、何かのきっかけで知ることがあっても、自分でお金を出して行くほどの動機を得るのは少し難しいというのが正直なところです。

「おてつたび」ではお金を稼ぎながら滞在できるうえ、これまでに書いてきたように観光以外の付加価値があるため、どんな地域でも「行ってみようかな」という気になります。

そして、一度足を運んでみると、案外そういう街の方が旅人を温かく迎え入れてくれたりするのです。

「おてつたび」にコアなリピーターが多い(もう何回も利用していますという人に会うことが多い)のは、その辺りのことが関係しているのかもしれません。

おわりに

「おてつたび」の魅力が少しでも伝わったでしょうか。

今回は「おてつたび」の魅力について一般的な視点から考えをまとめてみましたが、今度はもう少し私の個人的な事情に紐づけて、私が「おてつたび」を利用する理由についてまとめてみたいと思います。

それでは。


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