『教師が30代で身につけたい24のこと』堀裕嗣(2016)明治図書

かつて読んだブログに
「本から全てを学ぶことは不可能だ」
といった内容が書かれていました。

また,そうした読み方をすることが読書を困難にするとも書かれていました。

本書にもあるように,
「話し手と聞き手双方のコンテクストに共通性があるからこそ,聞き手がその話を理解し共感するための認識の枠組みをもてたのだということなのです」(p104 CHAPTER7 コミュニケーション能力を高める 03コンテンツを広げ深める)

自分に引っかかる表現から学び,自分に引っかかるところから自分の認識の枠組みをメタ認知していくことが,豊かな読書につながっていくのだと感じています。

本書は「24のこと」とありますが,結局全てを網羅することは難しいのです。逆説的に言えば,これら全てを網羅できるような人間は,この本を必要としないのでは,そんな気さえしてきます。
だからこそ,この本を必要とする自分に引っかかる箇所を今後の教員人生で意識化できるようにまとめておきます。

CHAPTER1 得意分野で勝負する 03自らをメタ認知するpp18-22

教師には「特別活動系の教師」と「学力形成系の教師」がいる
両者を5つの傾向から分類している。
自分は圧倒的に学力形成系教師。ただし,授業力の無さが致命的。ここをメタ化することによって自分の特徴をふまえた学級づくり・授業づくりを考えたい。

CHAPTER3 費用対効果に敏感になる
01周りに配慮しながら提案する
「要するに,健康に留意しながら仕事をやっている先生や,子どもが小さかったり介護を必要とする親がいてなんとか時間をやりくりしながら仕事をしている先生の気持ちが理解できないのです。」p40
03効率性を重んじる
「一つは,自分の裁量で職員室全体を動かすタイプの仕事,要するに企画系の仕事については,〈費用対効果〉を徹底して考えるということです。」p49
「もう一つは,あふれる仕事群をどういった優先順位で処理していくのかということを常に考え,その時々に判断しながら仕事に取り組んでいく癖をつけることです。」p50

思い返されるのはこれまで出会ってきた先生方。尊敬する先輩方は全てこれを体現されていたのだと思えば,途方もない距離を感じていたものが,急激に現実味を帯びてくる。

己を知り,行末を案じることが,子どもにとっても教員自身にとっても常に大切なのではないか。相変わらず堀先生の教師人生の厚みを感じられる良書でした。




この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?