見出し画像

リノベーション

 リノベーションの仕事をしていると、「ここをリノベーションした場合、大体どの程度の金額がかかると思いますか?」と言った質問を受けることが多々ある。
その都度、「まあご利用になるマテリアルによりますから。。。」と、答えを濁すと、「では、最低限のマテリアルを使用したとして、どの程度でしょう?」と再度、質問される。その際は、平米から大まかに「大体〇〇から〇〇の間かと思います。」と、常に幅のある金額を伝えるようにしている。
 なぜ幅のある金額を伝えるのか、と問われると、それは実際に壊してみないとわからない部分が多々あるからだ。
 築2〜30年程度の構造物であれば、そこそこきちんとした図面が残っているので、それほどイレギュラーなことはないのだけれど、40年、50年、それ以上となると、ほぼ100%確実にイレギュラーなことがあるのが、ここイタリア。
 例えば、以前レストランのプロジェクトをしていた時、施主の希望で、フローリング・タイルを張り替えることになったのだが、古いタイルを剥がした途端、タイルの下に、マンション全体の電気配線が、まるで幅50cmぐらいの小川のように綺麗に並んでいたことがあった。もちろんそれは違法建築で、そのまま知らぬ顔で工事を進めるわけにはいかない。マンション全体の電気配線は、きちんと管に入れて、地下の天井を通さなければならないのだが、それは私たちの仕事ではなく、マンション全体の仕事となる。そのことは、また別の記事に書くこととして、兎にも角にも、イレギュラーなことが、多々あるのが実情だ。
 施主の希望。作業中に発見されるイレギュラーなこと。変更を余儀なくされるプロジェクト。納期が遅れることもしばしば。それでも、紆余曲折を経て、完成まで漕ぎ着けると達成感は半端ないリノベーション。私はリノベーションが大好きだ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?