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映画「初恋」に三池崇史をみとめた(感想・ネタバレあり)

 三池崇史監督最新作「初恋」を鑑賞した。三池色全開のバカ笑えてバカ最高な作品だったので感想を書く。

◆あらすじ

 余命いくばくもないボクサーのレオ(窪田正孝)と父の借金の肩代わりを余儀なくされたモニカ(小西桜子)の偶然の出会いをきっかけに、ヤクザとチャイニーズマフィアと狂った女(ベッキー)による血みどろバトルが巻き起こる・・・・・・。

◆一言で言うと

 シャブ漬け女と諦念観にまみれたボクサーのカタルシス映画である。また、「生命力」がテーマだろう。

◆人物相関図

映画_初恋_人物相関図.001

・葛城レオ(窪田正孝)
 ボクシングの試合で格下の相手に負けて一応医者に行ったら「脳腫瘍あるよ」って余命宣告されて絶望にくれる本作の主人公。親に捨てられた過去を持ち、全体的に諦念観。

・モニカ(小西桜子)
 身体を売って父の借金を返すシャブ漬け女子。よくパンツ一丁の変態父と初恋の相手を幻覚で見る。ある日幻覚の父から逃げている時に死の宣告をされて自暴自棄になっているレオに助けられる

・加瀬(染谷将太)と大伴(大森南朋)
 弱体化したヤクザさんチームの手下の加瀬と悪徳デカ大伴は組のシャブを持ち出そうと画策する。また持ち出した罪をモニカになすりつけようとする。ただし、レオの出現により計画が狂っていく。

・ジュリ(ベッキー)
 加瀬によって彼氏(三浦貴大)を殺されてサイヤ人化し、死に物狂いで加瀬を追いかける。

・ヤクザさんチーム(塩見三省・内野聖陽・村上淳)
 オールドスタイルな武闘派ヤクザさん。組の弱体化を憂いている。

・チャイニーズマフィアさんチーム
 全体的に外野。ドンパチ要員。

◆感想

生命力ハンパねーな
 一番初めに持った感想は「強烈な原体験を持つ奴らの生命力ハンパねーな!!!」ということだった。刑務所から出所してオールドスタイルヤクザを貫く権藤や、彼氏殺されてバーサーカーになるジュリや余命宣告されて死に物狂いでモニカを守るレオ。みんな自分の「仁」に馬鹿力ぶっこいててサイコー。とても生きる活力が湧く映画です。

・初恋の意味が分かるシーンがエモいな
 「初恋」とはモニカが学生の頃、モニカの父を殴ってくれた初恋の相手のことだった(モニカとレオが初恋というわけではない)。ヤクザとマフィアの大バトルに巻き込まれひと段落した後、モニカとレオはその初恋の相手にたまたま再会する。しかし、彼にはもう妊娠中の嫁がいたのだった。彼女がずっと心に思い続けていた初恋の相手の今の姿を知ってしまい、彼女の初恋は終焉を迎える。そして、「私、生きるね!」と前向きになるモニカ。ドラッグを尋常ではない努力で絶ち、新たな人生を歩みだした姿が非常によい。

・実は脳腫瘍じゃなかった、というギミックが良いな。
 俺はどうせ死ぬから、とヤクザたちの戦争に積極的に巻き込まれて銃や体術を発揮していたレオだが、医者から留守電で「ごめん、診断間違ってた、お前の脳はピンピンやねん」と伝えられる。なんやねん……俺、なんでじゃあ人撃ってんねん……と意識喪失しそうになるも「いや、死ぬ気になれば、馬鹿力出せるってことじゃねーか」と意味付けして生命力を復活させ、モニカを守りきる。あーーーマジで私も明日からまた生きんぞ!!!!ってなった。

・ベッキーと染谷将太がMVP
 彼らの名状しがたい怪演が最高なので、これだけでも1800円払う価値あるよ。ベッキー大好きや。

・頭と腕がぶち切れるのは通常運転。
 染谷将太、将来大杉漣みたいになりそうだな。


ということでめちゃくちゃオススメ!!!
全員観て!!!!!

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