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人材紹介の「量」と「質」を考える

皆さん、こんにちは。カタリストエージェントの勝田です。
先日、大手スカウトサイトが無制限で送信できる通常タイプのスカウトを廃止し、通数制限がある特別なタイプのスカウトのみにするということが発表されました。

これは今、人材業界の人と話すと必ず話題になるテーマであり、とても皆さんの関心も高いと思います。また、今後の人材業界を考える上でもかなりインパクトがある出来事だと感じています。

そこで今回の記事では、この事例を元に人材紹介の「量」と「質」について考えていきたいと思います。


「量」のモデルの終焉?

人材紹介の世界には、昔から「量」か「質」かという議論があります。量とは、成果を上げるためにはとにかく各プロセスの行動量を担保していくことが重要と考え、例えばスカウト数や面談数、推薦数、面接数などの各プロセスをとにかく最大化し、1件でも多く実施することで業績を作っていくことを指します。

これが助長されると例えば、「この求人の中から20社は受けてください」とか「面接にも10社は行ってください」というような本人にとっては単なる時間の無駄としか思えないような事態も実際に発生しており、よく聞く話です。(ここまでくると完全に「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」の世界です)

また一方で、このような「量」のモデルで人材紹介を捉えている企業や経営者、マネジメントの人はとても多いのも実態で(私もその1人でした)、実際に成果を出しているプレイヤーはこのような圧倒的な量をこなせる人であることが多いのも事実です。

こうした考えを反映し、大手スカウトサイトにおいても職歴を読み込んで1件1件丁寧にスカウトを送るというよりは、一定の検索条件に合う候補者がいれば無条件でスカウトを送るというような事が横行しています。その証拠にスカウトサイトの職歴に何も記載がない人や「あ」とか「詳細は後日」というような記入がある求職者にもかなりの数のスカウトが送られています。

この傾向はRPAなどのシステムを導入することで一層助長され、多い人では数日で数百通のスカウトメールを受信している人もいます。

そのような中、今回発表された大手スカウトサイトによる無制限で打てるスカウトの廃止は今まで「量」をベースに動いてきたエージェントやコンサルタントからすれば戦い方の変更を迫られるとても大きな変換点になると思います。

「質」とはどういうことか?

それでは逆に、人材紹介における「質」とはどういうことなのでしょうか?これは「量」のモデルとは対極にある考え方で1件1件のプロセスを丁寧に行い、顧客に対する「個別感」を大事にしていくアプローチです。よりその顧客に対してピンポイントな対応を行い、深く入っていくイメージです。例えば、エグゼクティブファームなどの会社をイメージすると分かりやすいでしょう。

これをスカウトの場面に置き換えてみるとむやみにスカウトを送るのではなく、各求職者の経歴や志向をしっかりと読み込み、それを踏まえて個別感のあるメッセージを送っていくというのが質重視のアプローチとなります。

尚、このような質重視の行動が成り立つのは当然、業界や担当企業のこと、あるいは求人内容やスキルの専門性などについていずれも深い知識を持っていることが大前提となります。

今後は質重視の方向へ

以上のように人材紹介における「量」と「質」の考え方をスカウトを例に見てきました。それではそのどちらがいいのでしょうか?

私の考えは、「量」重視か「質」重視かはそのモデルにおいては、優劣は全くないということです。

担当する業界や職種、あるいは企業によってそれぞれ適したやり方があると思いますのでそれに応じて選択をしていけばいいと思います。

また、ある程度の「量」を伴わない「質」はないとも思いますのでこれは究極の二者択一ではなく、相互に関連し合う部分もあるのが実際だと思います。

とはいうものの、今後の人材紹介は「質」重視の方向へ進んでいくのではないかと考えています。なぜなら、量による売上の追求ができるのは実際は、(求人などのアセットが潤沢にある)極一部の大手企業に限られるのと、やはり量を追求するあまり顧客満足度が犠牲になりやすいという点はどうしても否めないからです。

その意味で今回の大手スカウトサイトの通常スカウトの廃止はその傾向を更に一層強めていくのではないかと思います。

今回は大手スカウトサイトの通数制限の無い「通常スカウト」の廃止のニュースから人材紹介の「量」と「質」について見てきました。実はこのテーマにはもう一つ別の大変重要な問題があります。次回はそれについて扱っていきたいと思います。お楽しみに。

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