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良いには良いのだが・・・シャルル・デュトワ/新日本フィルハーモニー交響楽団@すみだトリフォニーホール

昨日は錦糸町のすみだトリフォニーホールで、シャルル・デュトワが指揮する新日本フィルの演奏を聴いた。

2024年6月8日(土) 14:00 開演

プログラム:
ハイドン:交響曲第104番 ニ長調 Hob.I:104「ロンドン」
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1911年原典版)
 ピアノ:阪田知樹
ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲

指揮:シャルル・デュトワ
ピアノ:阪田知樹
新日本フィルハーモニー交響楽団

デュトワの得意なストラヴィンスキーとラヴェルがメインな上に、後半の「ペトルーシュカ」で人気ピアニストの阪田知樹が加わる(※ソリストではなくオケの中の楽器の一つとして)こともあり、チケットは完売。
同じプログラムで週明け火曜にサントリーホールでも公演があるが、そちらも完売とのこと。



ロビーにデカデカと。

新日本フィルは聴きたい公演と自分のスケジュールがいつも合わず、なかなか定期演奏会を聴く機会が無い。オペラ公演でピットに入った時の演奏を聴く機会のほうが多いくらい。
ただ、今シーズンは運良くスケジュールが合ったため、完売するであろうこの公演(とサントリーホール公演も)は早々にチケット・マイプランで押さえておいた。
このデュトワの2公演と、年末引退予定の井上道義との最後の2公演(11月)をしっかり確保した半年前の自分を褒めたい。

さて、期待していたデュトワ指揮の公演だが、タイトル通り、良いには良いものの、正直言って「隔靴掻痒」という感が抜けきれなかった。

演奏の出来で言うと
ラヴェル>ストラヴィンスキー=ハイドン
という具合かしらん。

引き締まって見通しの良い中からオーケストレーションの面白さが伝わるハイドン、ダンサーが踊っている情景が見えるかのようなストラヴィンスキー、音色がガラっと変わったラヴェル(デュトワの一番好きな曲なんですかね?)、それぞれを描き分ける名指揮者の芸を楽しんだ。

一方で、指揮者が要求しているものをオーケストラが表現しきれていないのでは、という感覚が常に付きまとう。

実はつい先日の火曜に、E.インバル/都響の演奏(生誕200周年のブルックナー:交響曲第9番(2021-22年SPCM版*第4楽章付き)日本初演 かつ 第1000回定期演奏会)で、指揮者の苛烈な要求に対して文字通りオーケストラが全力で音を出し切った演奏を聴いたばかりだった。
その特殊な状況の演奏と比較するのは酷かもしれないが、新日本フィルは精度にしてもダイナミックレンジにしても音色の多様さにしても、指揮者がどんなに煽ってもあるレベルで頭打ちしてしまってそれ以上のものが出てこず、あと一息、という苛立ちをどの曲でも感じてしまった。ラヴェルの最後の曲で、ようやくオケが指揮に追いついたかな、というところで終演。

座席位置(3F後方)が良くなかったのかなとも思ったのだが、過去にも何度か近い席で聴いたことがあるし、トリフォニーホールは3F後方席でもしっかり音が届くので、それが原因ではない気がする。
やはり、私が勝手に期待し過ぎていたのが良くなかったのだろうか。

終演後のブラボーや拍手は熱狂的だったが、どうにもスッキリしなかった。


カーテンコールにて

火曜のサントリーホールでは、反対側のP席からデュトワの指揮姿を堪能する予定。
トリフォニーホールでは今ひとつ乗り切れなかったが、今度は2日目で異なるホールということもあり、演奏も細かな修正をかけてまた変わってくると思うので、その比較もしつつ楽しみたい。



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