大人へ絵本memo ~恐竜好きと復刻版~
息子が生まれた1999年。本屋さんで一目惚れした絵本。いつしか絶版になり、絵本好きの間では復刊を願う声が常に上がっていました。
『ほね、ほね、きょうりゅうのほね』
バイロン バートン (著) かけがわ やすこ (訳)
2017年 ポプラ社 (1990原著)
最初の出版社からは1998年に出版されたので「子どもの時に読んだ!」と言う方もいらっしゃると思います。
我が家では4歳になった長女が、弟に向かって何度も読んであげていたのが、この絵本との交流の始まりです。息子は鮮やかな色合いの恐竜たちに言葉のわからない時期から親しんでいました。その後4人兄弟姉妹になり、上が下に読み、時には下が上に読み、幾度となく活躍してくれました。背表紙はパックリと剥がれてビニールテープで留まっていて、家の絵本で一番劣化が激しいです。子ども達が何度もめくった跡があり、学校での読み聞かせに幾度も開いた証です。
そんなささやかな思い出が詰まっているからなのか、子ども達が手に取らなくなってもなぜか手放せないでおりました。
それにしても、4人の誰かが恐竜好きになったわけではないし、私も特に興味があるわけではないのに、この絵本が親しまれるのはなぜだろう。
確かに読み聞かせの導入(心を掴む一冊)にもぴったりです。
クラスで開くと必ず誰かが恐竜の名前を言います。
普段は意識していないけれど
「確かに存在していた生命というもの」への興味がある。
そんな子どもの心を満たしてくれるのでしょう。
でもこの本の魅力はそれだけではないみたいです。
登場人物が国籍を問わずに協力しながら
一心に骨を探して綺麗に並べる様子。
壮大だけれども
ともすれば単純な作業を
大人が精一杯に取り組んでいる姿。
それらがわかりやすい画から伝わってくるのです。
絶版はどうなったか・・・
そして先日・・・本屋さんでこの絵本が並んでいるのを発見しました。
「うわー!!」と言って中を覗いたのは言うまでもありません。
そこには新しく「ポプラ社」の文字が。
そして出版は、なんと2017年。
実に20年近くもかかって、やっと復刊が成されていたのです😭
感動しました。
復刻版を出して欲しいと運動されていた皆さまの姿を想像し、本当に、本当に良かったですねと心から思うのでした。
この年になると、一つのことに費やす時間を考えてしまいます。絵本を愛してやまない人たちが、復刻のために情熱を注いだ年月のおかげで、これからの子ども達も、バイロンバートンの世界を味わうことが出来ます。
愛情溢れる生命への眼差しと
労働の喜びを分かち合う素晴らしさ。
言ってしまえば単純だけれど
とても大切な想いが描かれている絵本。
これが、魅力なんだな。
我が家の子ども達は年の差が大きいので、足かけ24年絵本を読み続けています。
そんな中で出会う
ステキな絵本の裏の物語。
届けて下さる方々に
ここでお礼を言わせて頂きます。
素晴らしい絵本をありがとうございます。