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大人へ絵本memo ~北海道の~

美唄市で育った1950年生まれの作者が20年前に描いた景色は、今も鮮明に心を動かす。眺めているだけでなぜだろう。今もあるのだろうか。この景色。


家族は忙しい。

少女は一人で風や匂い、家族や生き物を見ている。

がらんとした納屋も薄暗い家の中とも会話をしている。

そこには生命がある。


自然の中にいる方。そこで育った方。或いは触れてみたい方。

或いは雪国で今、子どもの方へ。


小泉るみ子「四季の絵本」
野菜農家の生活の中で少女が感じた春夏秋冬。
折々の景色と香りが絵本の中いっぱいに広がっている。

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『わたしの好きな場所―なつの日納屋で』
小泉 るみ子 (著)
2000年 ポプラ社

今日から、なつ休み。わたしは、畑の中の道をいちもくさんに走る。そして、かくれ家の納屋へ――。

納屋の空気やにおい。ほし草の上のうとうと・・・トマトの収穫。おやつのぐみの実。なぜだかちょっと泣きたくなる。(本文より抜粋)



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『秋は林をぬけて』
小泉 るみ子 (著)
2001年 ポプラ社

父の使いで炭鉱の町まで野菜を届けることになった少女の秋物語。大地は実りであふれている。匂いや香りも漂うような景色を眺めて欲しい。



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『ふぶきのあとに』
小泉 るみ子 (著)
2001年 ポプラ社

今朝も雪。
少女一家の北海道の冬の生活。
「こんな日もいくのか?命がけで学校へいくこともないべ。」とお父さんが言う。

作者の言葉
子どものころ雪がきれい、などと思ったことは一度もありませんでした。馬そりが活躍し、テレビもまだない時代の話です。(あとがきより)



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『カッコウが鳴く日』
小泉 るみ子 (著)
2002年 ポプラ社

北海道の春。雪はまだたっぷりあるけど、風でわかる。雪のにおいでわかる。木のまわりがまあるくとけだす。(本文より抜粋)



母が旭川生まれです。19歳まで育った家のことを、雪が大変だったから帰りたくないとよく言っていました。この四季のえほんを見ながら、少女と母を重ね合わせました。

母の故郷。父の故郷。私の故郷。

みんな違うから。



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