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次に起きること(聖書預言ネタ)

 今回は小ネタを一つ。

 今、イスラエルをめぐって、米国クリスチャンの間では、四つの聖書預言に関する内容がホットな話題となっています。「以下の四つの聖書預言のうち次に成就するのはどれでしょう?」というのが質問です:

#1.携挙

50 兄弟たち、私はこのことを言っておきます。血肉のからだは神の国を相続できません。朽ちるものは、朽ちないものを相続できません。 51 聞きなさい。私はあなたがたに奥義を告げましょう。私たちはみな眠るわけではありませんが、みな変えられます。 52 終わりのラッパとともに、たちまち、一瞬のうちに変えられます。ラッパが鳴ると、死者は朽ちないものによみがえり、私たちは変えられるのです。 53 この朽ちるべきものが、朽ちないものを必ず着ることになり、この死ぬべきものが、死なないものを必ず着ることになるからです。

1コリ 15:50-53

 クリスチャンなら誰でも待ち望んでいるのが、主の再臨。とりわけ"空中再臨"と呼ばれる出来事です。ノアの時代同様、地上で起きている不穏な動きや自然災害、恐慌などから身を避けるために神が用意してくださった、救いの方舟です。

 ちなみに、携挙が起きると一時的に、地上に残された信者は"ゼロ"になります。その後、信者は爆発的に増えますが、携挙直後は地上の信者はゼロ状態です。マタイ 24:12-13には「不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えます。しかし、最後まで耐え忍ぶ人は救われます」今でも十分、不法が蔓延っていますが、携挙を合図に、不法があからさまになり、最早隠そうともしません。携挙は、反キリストが現れる引き金となります。

Image of alien corpses diplayed at Mexico Congress and representational image of UFO. Photograph:(Reuters)

 一部のクリスチャンの間では「携挙が起きると、奴ら(宇宙人)が姿を現す(L.A. Marzulli: When We Go Up, They Show Up)」と噂されています。携挙が起きると、世界中でパニックが起きます。携挙は一度に大量の人間が消失する現象なので、大騒ぎになることは必至です。すると、これを搔き消すような大事件が起きます。UFOをはじめ、未確認生命体が人類の目の前に姿を現すというのです。これによって、携挙の喧騒は掻き消される、と。

 各国政府やマスコミは、この大量消失事件に関する"現実的な"説明を求められます。そこで彼らは、これは聖書に記された携挙ではなく、突然姿を現した宇宙人による大量誘拐…と結論付けるというのです。これに関しては"単なる憶測"に過ぎませんが、あり得るシナリオです。いかがでしょう?笑

#2.詩篇83章

4 彼らは言っています。「さあ 彼らの国を消し去ってイスラエルの名が
もはや覚えられないようにしよう。」 5 彼らは 心を一つにして悪を企み
あなたに逆らって 盟約を結んでいます。 6 エドムの天幕の民とイシュマエル人モアブとハガル人、7 ゲバルとアンモン、それにアマレク、ペリシテ、さらにはツロの住民。 8 アッシリアも 彼らにくみし、 彼らはロトの子らの腕となりました。

詩篇 83:4-8

 かつて、イランのアハマディネジャド大統領は「イスラエルを地図から消し去る」と豪語しており、文字通り、4節の文言を掲げて、大統領に就任、彼以降の大統領ハメナイ師もこの姿勢を崩していません。ここでイスラエルに敵対する民族/国は、エドム(現ヨルダン/サウジアラビア)、モアブ(現ヨルダン)、ハガル人、ゲバル(現レバノン)、アンモン(現ヨルダン)、アマレク(現ヨルダン/サウジアラビア)、ペリシテ(現ガザ地区)、ツロ(現レバノン)、アッシリア(現シリア)となります。

 ただし個人的には、この預言は、1948年~1973年の第一次~第四次中東戦争で既に成就していると考えます。ペリシテ人が住んでいたガザ地区が含まれているので注目されても仕方ないと思います。が、ここにリストアップされた国はすべて、イスラエルに"隣接している"国々と言えます。

 2024年8月6日現在、イスラエルと戦争になりそうなのは、国境が隣接していないペルシャ(現イラン)です。そしてこの戦局は未だ発達途上で、今後トルコやスーダン、リビア(あるいはソマリア)、果てはロシアを巻き込んで繰り広げられるエゼキエル戦争に繋がっていくと考えられます。

 ですから、個人的に詩篇83章のシナリオは「選択不可」になります。

#3.イザヤ17章

1 ダマスコについての宣告。「見よ。ダマスコは取り去られて都でなくなり、瓦礫の山となる。

イザ 17:1

 ダマスコはシリアの首都ダマスカス。この街は古代から繁栄した都市、美しい街として有名で、聖書でも多く登場する街です。歴史上、この街は廃墟や瓦礫の山とは無縁でした。したがって、この預言は将来いつかの時点で成就する出来事といえます。2011年に起きたシリア内戦により、シリア国内は死体の山、瓦礫の山が築かれました。ただし、これは部分的な破壊にとどまっていて、都市としての機能を失ったわけではありません。

ダマスコ(ダマスカス)

 ダマスカスは、昨今のイスラエル=イランの軍事的緊張により、空爆の対象となってきました。これはイランからヒズボラへの武器・弾薬供給の拠点となっているためで、武器弾薬を積んだコンテナなどがイスラエル側のミサイルの標的となっています。このため、ダマスカスの空港や倉庫などが破壊され、時間を経るにつれ、街が破壊されています。

 いつかの時点で、ダマスカスが壊滅的な破壊を被ったとしたら、現在のロシアとシリア現行大統領の良好な関係を鑑みるに、ロシアが軍隊をイスラエルに仕向けることは、十分に考えられます。これを引き金に、一挙にエゼキエル戦争の様相が濃厚になってきます。そういう意味では、今起きても不思議ではない事象であることは間違いないでしょう。

#4.エレミヤ49章

35 万軍の主はこう言われる。「見よ。わたしはエラムの力の源であるその弓を折る。 36 わたしは天の四隅から、四方の風をエラムに吹きつけさせ、
彼らをこの四方の風で吹き散らす。エラムの散らされた者が入らない国はない。 37 わたしは、エラムを敵の前に、そのいのちを狙う者たちの前にうろたえさせ、彼らの上にわざわいを、わたしの燃える怒りをその上に下す。
──主のことば── わたしは、彼らのうしろに剣を送って、彼らを絶ち滅ぼす。 38 わたしはエラムにわたしの王座を置き、王や首長たちをそこから滅ぼす。──主のことば── 39 しかし、終わりの日になると、わたしはエラムを回復させる。──主のことば。」

エレ 49:35-39

 エラムに関する預言です。エラムは現代のイランの一部(下地図参照)。この預言の何が問題になっているかというと、エラムの力の源であるその弓を折るの箇所。このその弓とは何を指しているのか?という点です。

エラム ELAM とは現代のイランの一部

 現在、イランには多くの核開発施設があり、ここでは数年前から濃縮ウランが蓄積されているとされています。命令があれば、わずか数週間で核兵器レベルまで濃縮率を上げる技術があると報告されています。上記のその弓が核兵器を指す言葉だとすると、将来いつかの時点で、天の四隅から、四方の風をエラムに吹きつけるような事態が起きる。

 預言を現代の世界情勢に引き寄せて解釈すると、その弓は核兵器を指す言葉と受け止めることも可能です。実際、多くの信者がこの箇所を現代のイランに当てはめて、一体いつ起きるんだ?と、不安な目を向けているわけです。今回(2024年8月)、イランは報復を予告、イスラエルは国に対する砲撃があれば「イランの核施設を攻撃する」と警告しています。もし本当にイスラエルがイランの核施設を空爆、あるいは核施設の防御システムを破壊した場合、電力喪失だけでも燃料漏れが懸念される状況に陥ります。そうなると、彼ら(エラム人)をこの四方の風で吹き散らす(イラン人の海外退去)こともあり得ます。

イランの核開発計画について示したもの。(c)AFP

 エレミヤが記した、この箇所はとても難解な箇所です。ユダヤ教のラビたちも様々な考察をタルムードに残しています。※あるラビは、この預言の成就をハマンの時代になぞらえています。 ハマンの策略からユダヤ人の救出に至った一連の出来事は、それ自体は自然なことであったとはいえ、神がご自身の主権を示されることによって作り出されたものだった、と。~注釈書はさらに、王と王子たちの死は、エステルの時代に死刑にされた王妃ワシュティと他の貴族たちのことを指すと記している。(※参照:フルクテンバウム博士『エレミヤ書注解』) 歴史上、イランが上記のような状況に陥ったことはなく、今後起きる出来事として記された言葉である可能性も否定できません。実際に起これば、イラン人が世界中に離散させられることになります。

 また、最後で終わりの日(in the latter days)になると、わたしはエラムを回復させるとあるのは、患難時代ではなく、千年王国の時代を指す言葉。そもそも大半のイラン人は、イスラエルの敵ではありません。敵対関係にあるのは1979年のイラン革命以降、政権を握っている過激なシーア派イスラム教組織だけです。

まとめ

 ちなみに筆者が選んだのは「#4.エレミヤ49章」でした。一方、米国クリスチャンたちのアンケート結果は下のとおり「#1.携挙」でした。そりゃそうですよね、クリスチャンが一番待ち望んでいるのは、メシアの空中再臨(携挙)であるべきです。苦笑 実際はどれが一番最初に来るかは、その時にならないと分からない、というのが、一番誠実な答えです。

アンケート結果

 ちなみに、エゼキエル戦争になったとしても、これが直接、第三次世界大戦とはなり得ません。何故なら、エゼキエル戦争はあくまで"地域紛争"だからです。本格的な世界大戦は聖書によると、反キリストが登場してから。つまり大患難時代に突入してから、ということになります。(了)

※引用、および参考:

”Commentary Series: Jeremiah and Lamentations”:by Dr. Arnold G. Fruchtenbaum

文中聖書引用:
聖書 新改訳2017 ©2017 新日本聖書刊行会



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