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ため息62:筆頭株主の不可解な発言

この会社は、儲かっていたときは、年度の初めに全社員および株主、社友など来賓を招いて温泉旅館で1泊2日のイベントを開催していました。

筆頭株主が特別講演をされるのですが、2回連続して一般社員には不可解な発言がありました。2社の合弁企業なので、筆頭株主以外にはもう1社しかいないのですが、そのもう1社について、名指しで批難としか思えない内容を、筆頭株主が発表しました。信頼できるパートナーではないとか、わけのわからないコンピュータ屋とかいう内容のもので、来賓や役員の中にはその会社の幹部がいるのですが、その彼らを前にしての発言でした。

発言の趣旨は到底理解できるものではありませんが、口からでた言葉は、パートナーにとっては明確に敵対的で不愉快なものでした。

その後、批難されたパートナー会社から出向していた幹部社員(幹部社員しか出向していません)が、出向を解除され、すでに転籍していた社員は部下を引き連れて会社を去っていきました。その結果かどうか、年末には50億円程度の売上がどこかの会社に移りました。

経営者同士が不仲になったのか、経営方針が合弁を維持できないほどに変わったのか不明です。それまでは御用聞きをするだけで、パートナー会社から150億円のシステム開発案件が転がり込んでいました。蓄積された技術力と実績で新規案件、継続案件が確保されていた会社運営が、営業力強化を迫られることになりました。現場では「パートナー会社は発注停止した」とささやかれていました。

今振り返れば、株式公開、親会社からの自立という合言葉を実行するために、筆頭株主自らが退路を断って、全社員に向けて、「俺がやるから、お前たちもやれ」と大号令を発したのでないかと想像されます。

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