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金言761:清貧は他人事

清貧思想というのがあります。
その心は、清貧の暮らしを目指すというのではなく、他人の清貧は潔いという思いのような気がします。
昔、春風亭柳昇さんが弟子の婚礼の仲人をした際、新郎友人として列席したことがあります。新郎は、故圓楽さんより1~2年先輩でしたが、真打になって数年後、噺家を廃業し、沖縄に移住しました。噂によると、苦楽を共にし真打昇進まで連れ添った奥様と別れ、現地でフィリッピン妻と暮らしているそうです。廃業すると聞いて、真打にまでなってなぜ辞めるのか本人に聞きました。答えは明快でした、噺家では食えないとのことでした。
噺家として周りに担がれても、人並みの収入が伴わないので暮らしていけないということでした。芸一筋に清貧に甘んじて生きることを望んでいる後援者たちは、実は自らは清貧を望んではいないことに気がついたようです。
ただし、長年の修行で習得した話芸を活用して、ネットワークを生かした権利ビジネスに活路を見つけたそうです。

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