インスタントカメラの中の思い出たち


 デンマーク留学中にインスタントカメラ(「写ルンです」)で撮影した写真を現像したものをやっとこさ今日取りに行った。現像をお願いする段階でプリントアウトするかスマホにデータ送信するか選ぶことができる。私はスマホにデータ送信できるほうにした。

実はこの写ルンですは、友達が誕生日プレゼントにくれたものだ。誕生日からそう遠くない日に私がデンマークに行くことを知っていた友達は、写ルンですの特別パック(写ルンです本体に取り付ける写ルンですのデザインのシリコンカバーつき。これがまた愛嬌があるのだ。)と、ムーミンのポーチとチョコレート(余談だが私はムーミンの大ファンである。)をくれた。ポーチはデンマークにもっていって、机の上に置いておいた。チェコやドイツに旅行したときに買ったこまごまとしたお土産たちを、そのポーチに入れていた。その友達の誕生日も私の誕生日と近いため、私も確か誕プレを買ったが、何をあげたのか忘れてしまった。他の人がどうなのかはわからないが、私はもらったものはずっと覚えているけれどあげたものは忘れてしまうことが多い。


現像した写真は、半分くらいは何を撮ったのかわからなかった。室内でフラッシュをたかずに撮影していたため、室内で撮影したものはほとんどぼやけてしまっていた。それでも、滞在中の思い出は、iphoneで撮影した写真や動画とはまた違ったかたちでちゃんと残されていて、とてもよかった。アプリで加工はしていないのに、写ルンですの独特の色合いが絶妙に良い味を出していた。

ベルリンのブランデンブルグ門をバックに撮影した友達、ベルリンのフリーマーケットの出店でカリーブルスト(カレー粉をまぶしたソーセージ。ドイツ、ベルリンのB級グルメのようなもの。ポテトを付けることができる。)を食べている友達。デンマークで、どうしても一人で散歩したかった日、海辺を歩いてぼーっとしているときに撮影した、透き通る海の色と浜辺。

同じ留学生クラスのみんなで、旅行中にごはんを食べながら写真を撮った瞬間。デンマーク、オーフスの街の公園で木登りをしている友達、エコビレッジを訪れたときにネコをなでる友達、気持ちよさそうに伸びをするネコ。


これらの写真を見ていて、私は、また絶対旅に行こう、旅行に行こう、海を越えよう、と思った。最近、例えばニンジンを切っていても、そういえば滞在中の研修旅行(帰国日の前日まで、二週間の間、研修旅行に行ったのであった。私の滞在していたフォルケホイスコーレの生徒で、半年間のコースの子たちは皆それぞれ参加した。私のクラスは留学生クラスで、デンマーク国内をまわった。デンマーク人の子たちは、クラスによって、アメリカのハリウッドやロスに行った子たち、メキシコ、タイ、ミャンマーを訪れたクラスもあった。)で食事の当番だったとき、友達と一緒に野菜をせっせと切ったなあとか、学校で先輩が話しながらふとしたしぐさが、デンマーク人の友達のしぐさに似ていてふとその子のことを考えたり、ふとしたきっかけで滞在中の濃密な時間や瞬間を思い出す。忘れたくない記憶なのだと思う。その時の日の光や香りまでも思い出したくなるほどの記憶なのだと思う。


何が言いたいのかわからなくなってきたが、写ルンですはおすすめです、ということと、本当に幸せな記憶や過去は、今の自分を助けてくれるのではないかということを最後に言いたい。留学中、私は幸せだった。日本では感じたことのない感情だった。日本でも充実感や楽しさや安心は感じることはたくさんあったが、そこにはいつも周りの目やしがらみを感じている自分もいた。それらから解放されているような感覚もあったのかもしれない。

それから海外で過ごす時間は、思った以上に濃密であるということ。もちろん留学か仕事か、期間や国など、人によって状況は大きく異なると思う。けれど、新たな視点や気づきは間違いなく与えてくれる。


まとまりが全然ないけれど、心が少し疲れている就活真っただ中の自分を鼓舞する投稿なのであしからず。

読んでくださって、ありがとう。






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