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神様ゲーム

『神様ゲーム』 麻耶雄嵩

「神様なんかに関わらなきゃよかった。」。。。

物語は主人公の10歳の少年の目線で語られ、言葉も、文章の体裁も児童向け文学のそれである。

しかし。

父親や同級生との子供らしいやりとりに異物が混ざるように、所々で毒々しい描写が顔を出す。
猫を狙った凶悪事件の詳細や、マガジンで連載中の、主人公が「アリを潰すように女生徒を殺しまく」るという漫画。
そして、なんだか禍々しい転校生の存在。

嫌な予感が、最初から若干漂う。
だがその予感は、なんとなく程度のもので、やや毒気の強い部分はあるけれど、まあ普通の児童向け小説、という趣きでしばらくストーリーは進む。

心臓の強くない方はこの辺りで本を閉じるのが無難かもしれない(ここまで来てしまっては、物語の引力に逆らうのはとても難しいが)。
なぜならこの先、作者は児童向けのボーダーをほんの一足で飛び越え、さらに目を背けたくなるほど衝撃的なシーン、タブーにまで容赦なく突き進んでいくのだから。

「鬼婆屋敷を見ると、今まではただ古いだけと感じていた黒ずんだ外観が、夕日の逆光になり、本当に人の血を吸っているかのようにおどろおどろしく、赤黒く映えていた。」
物語の中程に出てくるこの印象的な描写は、主人公、そして読者である私達の心情そのもののようだ。

なんとも心臓に悪い、そしてたまらなく面白い小説である。

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