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CAST 創業5年目突入記念 役員対談 「創業後の最大の成果とは」

薄型・耐熱・フレキシブルなセンサーをコア技術に、配管減肉モニタリングシステムを展開している株式会社CAST(以下CAST)。これまでに3度の資金調達を実施するなど着実に歩みを進め、2023年9月26日より創業5年目を迎えます。

節目を記念し、創業からこれまでの歩みや次の5年の目標について、役員の中妻啓さん(創業者・代表取締役社長)、深山蘭さん(2021年入社/取締役)、浦田拓さん(2023年入社/取締役)にインタビューしました。


▼創業までの道のりはこちら



「創業融資・社員の入社」で起業を実感した創業当初

——CAST創業から5年目に突入しました。改めて創業時を振り返って、思い出すことはありますか?

中妻(敬称略):
会社を立ち上げたとき、起業した意識はほぼなかったんですよね。会社の登記は書類を作ったり資本金を振り込んだりと、事務的な処理だけですから。実感が湧いたのは、のちに創業融資を受けたときと、最初の社員が入社したときでした。

創業融資を受ける際、借りたお金を返済できなかった場合に備えて、自分名義で個人保証を付けたんです。保証人欄に自分の名前を書くときは、責任の重さで手が震えてしまって(笑)ようやく、「自分が会社の代表者なんだ」と実感していました。

また、創業して約1年後に2人の社員を迎えたのですが、どちらも前職を辞めてCASTに入社してくれたメンバーで。「覚悟を決めて入社してくれた社員のためにも、きちんと経営しないと」と身の引き締まる思いでした。


——創業当初はどんな目標を掲げたのでしょうか?

中妻:
今と変わらず、「あらゆる場所にセンサーを」というミッションを掲げていました。「耐熱性のあるフレキシブルなセンサー技術を産業界に広め、IoT化を推進するためのインフラになる」という想いで事業を始めたんです。

ただ、創業当初はコア技術が確立されていただけだったので、「どのような製品を作るか」「どうすれば使いやすいものになるか」を考えはじめたのは創業後でした。


——製品開発自体は順調に進んだのですか?

中妻:
2020年8月に初めてセンサーの試作品を納品しました。ですが、輸送段階でほとんどの試作品が壊れてしまって。当時の試作品は、現在と比べるとクオリティが低かったんです。製品設計をブラッシュアップして、2020年12月には現在とほぼ同じ設計が完成しました。


最大の成果は「人」

——創業から現在までの最大の成果は何でしょう?

中妻:
「5年目を迎えるまで会社を続けられたこと」
自体、大きな成果ですよね?

深山(敬称略):
ベンチャー企業は、創業から5年間で多くの会社が撤退する傾向にあるようですからね。生存率15%という調査結果もあって。
(出典:日経ビジネス

浦田(敬称略):
僕は金融業界にいたのでよく分かるのですが、ベンチャー企業が1年で事業撤退に追い込まれるのは、資金面はもちろん、内部の人間関係の影響もあるんです。創業後にメンバーの想いと経営方針にズレが出て、社員が退職していくのはよくある話でした。

中妻:
創業前から「1年ももたないでやめちゃうかもね」とメンバーで話していたくらいなので、正直「続けられる」と確信していたわけではありませんでした。それでも5年目を迎えられたのは、理念に共感した仲間が加わってくれたことが大きいと思います。

深山:
これまでCASTはミスマッチが起きないよう、じっくりと時間をかけて採用を進めてきました。この採用方針が、結果的に「社員が退職するリスク」を回避していたように思います。


——役員・社員は現在9名。人数が増えたことで、変化した部分はありますか?

中妻:
当初は何も制度が整っておらず、“大学の研究室の延長”のような組織でしたが、社員が入ったことで必要な制度が作られてきました。企業なら当たり前にある勤怠管理や給与テーブルの制度などを、社員の意見も取り入れながら、形を作るようにしています。

浦田:
組織が形作られるのと同時に、少しずつ役割分担ができるようにもなってきました。管理部なら管理部、営業なら営業と、各々がそれぞれの分野で事業拡大に向けて動けるようになっていると思います。

深山:
私が入社した当時(2021年)は、まさに制度も役割分担も整っていなかったので、ようやく組織らしくなってきたなと感じています。

また、毎月全員と面談を行っていますが、最近は「あの人のおかげでうまくいってるよね」「あの人にあの仕事をやってもらえたらいいんじゃない?」と、ほかの社員についてのコメントが増えてきました。

以前は一人ひとりがフル回転していましたが、各自の役割分担がはっきりしてきた今、チーム視点で物事を考えるようになったと思います。


——「人は最大の資産」といわれますが、地道に資産を増やしてきたからこそ、会社経営を継続できたのですね。

中妻:
「人」の観点でいえば、資金繰りや開発・営業面で支援してくださるパートナー企業が多くいらっしゃったことも、会社を続けてこられた理由の一つです。

浦田:
前職時代にCASTをそばで見てきましたが、創業当時からパートナー企業に恵まれていますよね。各フェーズで「パートナーシップを組みたい」と思う企業と出会い、確実に関係性を築いていった印象があります。

CASTは「あらゆる場所にセンサーを」を軸に組織を作ってきた一方で、社外の頼れる相談相手とも関係構築していました。社内外の仲間のおかげで、5年目を迎えられたと思います。


それぞれの視点で語る、CASTの歩み

——5年目を迎えるまでに、最も印象に残っている瞬間や出来事を教えてください。

中妻:
2021年3月に愛知工場の稼働式を行ったときは、「もの作りができるようになったんだな」としみじみ感じました。また、一番最初の売上が振り込まれた瞬間は特に印象的で、今でもはっきりと記憶に残っています。

深山:
私は「本当に入社してきてびっくりした」と、2021年にジョインした際に言われたことですね(笑)当時はまだ知名度もなく、先に入社していた2人のようにCASTとの関わりはほぼなかったので、「わざわざ仕事を辞めてまで入社してこないだろう」と思っていたようです。

その後自分自身が採用担当となり、新入社員を受け入れる側になってみて初めて、うれしい反面同じように驚いてしまいました。「自分にも会社を維持する責任が生まれた」と改めて思うとともに、大きな重みに少し戸惑ったことを覚えています。

浦田:
僕の前職は無形商材を扱うサービス業だったので、自社製品が実際に設置されている様子を目にすることが日々新鮮でした。クライアントに製品を褒められたり、「期待しているよ」と声を掛けてもらったり、直接反応をもらえたときはうれしかったですね。


——これまでを振り返って、お互いに変化を感じる部分はありますか?

浦田:
製品開発の進捗状況を報告する際、以前と比べて、中妻さんのプレゼン内容が少しずつ変わってきているなと。

中妻:
最近「経営者としてどう立ち回るべきか」を考えるようになりまして。

深山:
経営者として求められていることを意識してプレゼンしたり、社員に話したりしてますよね。はたから見てても、「社長の風格が出てきたな」と感じていました。

中妻:
どんな姿勢で、どんな言葉を使って社内外へ発信すべきかを、試行錯誤しているところなんです。

ちなみに、私の二人に対する印象はそんなに変わらないですね。普段からあまりびっくりすることがないので…。

深山:
中妻さんは上にも下にもぶれない、仙人みたいなところがありますもんね(笑)


強い組織とファン作りを通し、事業を続けていく

——次の5年の目標を教えてください。

中妻:
これまでと同じく、「事業を続けていくこと」が最大の目標です。5年目に突入した今、これまでを振り返ると、「もっとうまくやれたんじゃないか」と思う場面がいくつもあります。至らなかった経験は次の5年に生かして、経営者としてできることを増やし、会社の成長スピードを上げていきたいです。

また、センサーは工場の現場ごとに設置条件が異なるため、クライアントの要望に合わせてカスタマイズしています。今後さまざまなクライアントに導入いただくことを考えると、どんなご要望にもフレキシブルに対応できるような組織作りが必要です。

CASTは今「良いチーム」になってきていますが、もう一段階上の「強い組織」に成長していきたいと思います。

深山:
中妻さんがいう「強い組織」作りは私のミッションでもありますが、土台として会社を居心地の良い場所にし、社員が心身ともに健やかに・気持ちよく働き続けられる環境を作りたいと考えています。

CASTのセンサーは、産業界の現場で大変な思いをしている方たちの仕事を、楽にできる製品です。センサーを利用した「苦役からの解放」と表現することがあるので、「製品を作る側の仕事が苦役になってはいけない」と思っています。

浦田:
中妻さん・深山さんには「強い組織」作りをしてもらう一方で、私に求められている役目は、社内外にCASTのファンを作ることだと認識しています。

次の5年間は、創業前から積み重ねた技術を、少しずつ世間に認知してもらうフェーズ。「あらゆる場所にセンサーを」のミッションを実現するため、センサーを設置いただくクライアントを増やす。一緒に営業先に足を運んでいただける、パートナー企業を増やす。資金調達の際の支援者を増やす。すべてはCASTのファンになっていただいた結果、できることだと思っています。

今までにない製品をわかりやすく、かつ魅力的に伝えていくことに力を入れていきたいです。


——最後にこれまでお世話になったみなさまへ、メッセージをお願いします。

中妻:
創業当初は輸送中に壊れてしまうようなものでしたが、センサーの可能性を信じてくださったクライアント、営業や資金面で支援してくださったパートナー企業のおかげで、今日まで事業を継続できました。

現在のセンサーは試作段階でもあり、まだ100%理想の状態ではないと思います。一日でも早く、みなさまの期待に応えられるよう事業を成長させていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

浦田:
現在お付き合いいただいている方々は、今のCAST・技術を評価しているというより、今後の伸び代に期待してくださっていることをひしひしと感じています。みなさまの期待に応えられるように、役員3人で悩み考え、ときには軌道修正を加えながら前進していきたいと思います。

深山:
クライアント・パートナー企業の期待するところは、CASTがある程度の規模と知名度をもつ会社になることだと思います。今後さらに飛躍するためにも、「強い組織」を作り、基盤を固めていきますのでご期待ください。


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企画・編集:小溝朱里
取材・執筆:ヤマダユミ



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