見出し画像

後悔 ~GIFT~

 手紙などを読み終えて、一段落したところで、
 母親が「連絡してあげて心配しているから」と言ってきた。

 九州にいる妹のことだと、すぐにわかる。
 彼女は大学を卒業した後、イギリスに留学したり、
 行動的で、私とは正反対のような性格だ。

 今は、地元で結婚して、二児の母でもある。
 実は彼女も以前、大病を患った。
 
 今も後遺症のようなものに悩まされているらしい。
 らしい、という表現なのは、あまり病気のことを聞いていないからだ。

 決して、無頓着なわけではなかったが、
 数年前に病気になったときも、私は何か彼女にしてあげられただろうか。

 自分の生活で精一杯だったような気がする。

 妹もどれだけ苦しく辛かっただろうか。
 東京で一生懸命、仕事と家庭生活を送っていたため、
 ほとんど母からの情報しか耳にしていなかった。

 逆に妹の方は、私が病気になったと知って、
 自分のことのように嘆き悲しんだと母から聞いていた。

 電話で妹と話すことなど、
 滅多にない。少し緊張する。

 今日までのことなど、簡潔に話した。
 妹は安心したのか電話口で泣いていた。

 想えば、私が十八歳で上京したこともあり、
 妹とは十五年間しか暮らしていない。

 兄妹でも、様々な形があると思った。
 
 妻の妹などは、私の家から数分のところに住んでいる。

 同じ空の下、誰かが誰かを想う気持ちはきっと伝わる。
 病気になって思い知らされることはたくさんあった。

 この先も病気がもたらしてくれた、「GIFT」を痛感させられるのだった。
 

※副題は「Mr.children」の「GIFT」より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?