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すきなことを、またひとつ。

キラキラした飴玉みたいな「すきなこと・もの」がたくさんたくさん詰められて、いろんな色の飴玉が入った瓶が自分だなと思うことがあります。
もちろん嫌いなことや、嫌な部分もあるけれど、どのひとにも、そういう「すきなこと・もの」詰め合わせ瓶があるんじゃないかと、想像したりします。

帰りに大きな本屋さんに寄って、小説を3冊買いました。何だか本を買うのは勿体無いと、何度も読み返したいものだけを買おうとしていたこれまででしたが、

高校の帰り、予備校に行く途中、大学の生協で、私は本屋さんでふらっと買う文庫本や、新刊が大好きで、それを電車で読んで、その勢いのまま帰宅してお風呂に入り、しわしわになるのも厭わずに読みふけり、寝る前までかじりついて読むのが本当に好きだったとふと思い出したのです。

春で、ぴかぴかの社会人の人や、新入生であろう学生さんをよく見かけたのもきっかけかもしれません。いつでも通学のカバンに文庫本を入れていて、なんとなく表紙やタイトルのフォントで選んだ本が、面白かった時の胸の中に広がるじわ〜っとした喜びを、友達にたくさん話していろんな本を読んでいたのでした。

それが子供を産む前のつわりの時期から文字を読むのが辛くなり、産後のぼーっとした寝不足の頭や、子供達のスタッカートのように繰り出される要求に答えているうちに、文字からすっかり離れていました。読めるものと言ったら漫画かエッセイ、そして絵本。そうこうしているうちに子どもとの図書館通いが始まり、本屋さんで本を買うのは勿体無いかな、、と思うように。

でも今日はなんだかとっても読みたくなって、三冊をえらんでえいやっとレジに持って行き、ほくほくした気持ちで駅までの道すがらに抑えきれずに読み始め、電車でも、帰ってから(いろいろ家事をして)お風呂に入っても読み、さっき二冊目を読み終えました。いまもまだじんわりと余韻。

カピカピのひび割れた土に、水が吸い込まれるように、文字が自然に入ってきて、景色や人々が立ち上って会話しているのが感じられて、その匂いや光まで触れられそう。そうそうこれが好きだったんだ!と嬉しくなりました。

人に新たに出会う、というのはちょっと難しくなったけれど、本を、また読むことができるようになった、やっと、読めるようになったことに気づいて、とても嬉しく思っています。

ここに至るまでにリハビリのように児童書を娘に読み聞かせるようになったことも大きく、「エルマーのぼうけん初めて読んだ!おもしろい!」とか、「世界のむかしばなし、なかなかシュール」とか、限られた挿絵で文字から想像力を働かせて楽しむ、ということを経験できたのも良かったのかもしれません。

とかいいつつ、今日読み聞かせた毛利まさみちさんの「ももの里」という絵本の完成度の高さ、簡潔さ、物語の余韻にはうなりまくりましたが。渋めな表紙なのにすんごい絵本なの、読んでみて欲しい。

これも春に見つけた好きなもの。

今日選んだのは、なんとなく気になった本。「いまのわたし」が選んだ等身大の本がおもしろくてたまりませんでした。いつのまにか時間が惜しくて、ちょっと気取ってみたくて、インスタで見かけたりするおすすめの本ばかり読んでいたけれど、平積みされた旬の本のもつパワーってすごいものがあるのだなと感じた1日でした。

ちなみに読んだのは
「成瀬は天下を取りに行く」宮島美奈著
「夜明けのすべて」瀬尾まいこ著

の二冊。めちゃくちゃ良かったです。あんまり書くとネタバレになってしまうし、そんなものを見ないで読んで欲しいけれど、どちらの本からも感じたのは、可能性を探ることの自体の面白さ、や、真摯さ、みたいなものかなぁ。

すきなことをまたひとつ、見つけられた春でした。
過去の自分の方が好きだと思えることもまだまだ多いのだけれど、今の自分も悪くないなーって思えた本たち。月に数冊は本を買った方がいいな、選ぶや見渡す、といった体験も含めて、図書館とは全く別の体験だなー楽しいなと思えたのでおすすめです。


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