にぶんのいちの春。
フィルムが現像されて、データとネガになってコトンと郵便受けに入れられる。
赤いバイクの立ち去る音を聞いてから、そっと玄関のドアを開けてそれを確認すると、胸が高鳴る。
期待していた分、待ち望んでいた分、すぐに見るのは怖くて、ちょっとの間テーブルの上に寝かせておいて、しれっと「何も期待なんてしてないけど」風に封を開ける。ツルツルとした透明な袋も、硬い紙に固定するためのセロファンテープも剥ぎ取って、黒いDVDケースを開く。裏返されたコンタクトプリントが目に飛び込んでくる。そっと手に