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敦賀気比 vs 市立船橋 どこよりも詳しく見どころ解説

第104回 全国高校野球選手権大会
大会8日目 第4試合
敦賀気比(福井) vs 市立船橋(千葉)

敦賀気比打線の好投手・森本攻略法は!?

敦賀気比、市立船橋初戦は打撃戦を制し、2回戦に進出した。

とくに市立船橋は0-5の劣勢から試合をひっくり返し、9回裏に死球による押し出しでサヨナラ勝ちと勢いに乗っている。
千葉県勢は春に出場した木更津総合が2回戦の金光大阪戦にサヨナラ死球で敗れていた。奇しくも同じサヨナラ死球という結末で、今回は勝利を収めた形になる。

ともに打線が好調なだけに投手陣の出来が試合を大きく左右しそうだ。

初戦の勝ち上がり

敦賀気比は1回戦で高岡商(富山)と対戦。
両チーム合わせて30安打という打撃戦の末、13-3で勝利した。
この試合点差は10点と大差になったが、試合はどちらに転んでもおかしくない内容だった。事実安打数は敦賀気比16安打に対し、高岡商も14安打している。高岡商の13残塁というデータからも、敦賀気比投手陣が打たれながらも粘り強くピンチをしのいだと言えるだろう。

敦賀気比打線は16安打したものの長打は春山、上加世田の3、4番の二塁打2本のみで、あとは単打。東監督は試合後「まだまだフライアウトが多い」と注文を付けたが、コンパクトに振り抜き、強く低い打球を打つ意識が印象的だった。初回エラーで走者を出した後の全て単打の5連打で4得点を先制したシーンが特徴的だ。

一方で投手陣はエースの上加世田が11安打を浴び5回途中3失点で降板。
この試合の勝因は何と言ってもリリーフのサウスポー清野の好投だ。決して球速は速くないが変化球を丁寧にコーナーに投げ分け、3安打無失点に抑えた。エース上加世田の乱調が懸念点ではあるものの、福井大会で調子を落としていた清野の復調はチームにとって明るい材料である。

市立船橋は初戦で興南(沖縄)と対戦し、9回満塁から死球によるサヨナラ押し出しで勝利した。試合序盤から市立船橋の内野陣にエラーが続出し、苦しい戦いとなった。3回には先発の右腕・坂本が4安打を集中され、エラーと四死球が絡んで一気に5点を失った。しかし3回からリリーフした森本(哲)が好投を見せ、徐々に流れを取り戻していった。

そして生盛投手の球数が100球を超えた8回に4番・片野のホームランを含む4安打を集中させて同点に追いつき、9回に満塁のチャンスからサヨナラ死球で勝利した。

最大の勝因は何と言っても3回途中からマウンドに上がり、4~9回を1安打に抑えた森本(哲)の好投である。特に5回以降は打者15人連続アウトをとる安定感が光った。140キロ台のストレートと鋭く曲がるスライダーのキレが素晴らしく、興南打線に攻略の糸口さえ掴ませない見事な投球だった。

この試合のポイント

両チームともに打線が活発なだけにロースコアというよりも、ある程度得点が入る試合になると予想される。

打線は「単純に安打を打つ打撃技術」で比較するとやや敦賀気比に分があるだろう。特に敦賀気比の浜野、春山、上加世田の打撃は非常に柔らかくバットコントロールが上手い。
市立船橋の強みは各打者が自分の役割をこなして簡単にアウトにならず、「線」になる事に徹底する点だ。興南の好投手・生盛をチーム一丸で攻略していく粘りは見事だった。

一方で投手力に関しても、リリーフ陣が好投したという点で共通する。
ただ内容は少し異なり、敦賀気比はエース上加世田が痛打を浴び、市立船橋はエース森本(哲)が好投した。

敦賀気比のエース上加世田はインタビューで「調子自体は悪くなかった」と話し、東監督は「高岡商さんが上加世田を徹底的に研究されていた」と語った。両者のコメントからは上加世田が著しく調子を落としているというわけではなさそうで、市立船橋戦もおそらく上加世田が先発するのではないだろうか。

この試合の1番のポイントは市立船橋の投手陣を敦賀気比の強力打線がどう攻略するか?になるだろう。

具体的には、市立船橋の森本(哲)のスライダーを見極められるかに注目したい。

千葉大会の戦いぶりから想定すると、市立船橋は初戦同様に坂本投手の先発の可能性が高く、通常であれば5回か6回から森本(哲)にリレーするのが基本線だ。

森本が初戦の興南戦のような出来であれば、なかなか手のつけようがない。ただ千葉大会でも千葉学芸戦、中央学院戦でほぼ完璧なリリーフを見せたものの、拓大紅陵、木更津総合には打ち込まれると調子に波がある。そのバロメーターになっていたのが「スライダーを振らせられるか」だった。

インステップ気味のフォームからの鋭いスライダーなだけに見極めが難しいが、森本攻略には必須の条件となる。

それだけに過去に数々の好投手を攻略してきた敦賀気比・東監督の手腕が試される一戦になりそうだ。

甲子園ラボ


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