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正しい、正しくない。の前に、まずはその状況に対して感じた気持ちに寄り添おう。

ここシンガポールのコンド(マンション)にはほとんどと言っていい程、プールや子供が遊べる遊具エリアがあり、更にうちのコンドには生活に必然な物が買える小さなマートやクリーニング屋も入っていて(ヘアサロンもあったが閉店)、コンドの敷地から外に出なくても生きていける程快適な住居空間なんです。

実際気がついたら3日間、コンドの外に出ていなかった。という事もあったくらい。

そして今日は土曜日。

朝から階下のプールは賑やか賑やか。

うちの子供達も友達と一緒に楽しそうに泳いでいて、そんなほんわかノンビリした中、事件は突然起きました。

幸い私はその一部始終を見ていたからよかったのですが。

うちの息子(9歳)と娘(7歳)と、友達の男の子(6歳)が競争しながら泳ぐものの、誰一人まっすぐ泳げず、ふらふらお互いにぶつかりながら泳いでいるうちに、どうやらその6歳の男の子の手が娘のビキニパンツに引っかかり、娘はビキニパンツをずり降ろされれそうになったらしい。

パッと泳ぐのをやめた娘は、男の子を止めてバシャバシャと顔に水を浴びせながら、

「パンツ降ろそうとしないでよ!!」

と半分泣きながら怒鳴っていました。

男の子は何が何だか分からず、ただただ呆然としていて、

一緒に泳いでいたうちの息子も、一体何が起きたのか把握できないが水を浴びせられてむせている6歳男子をかばいつつ、

「何?どうした?....ちょっと、やめろよ!」

と仲裁に入っている。

私はその場を見ていたし、仲裁役がいるという事もあったので、そこからどうなるのか暫く観察する事にしてみました。

とにかく気がおさまらない娘は、やった事に謝れ。と泣きの抗議。

男子2人はその気迫に押されながらも、まあまあ落ちつけよ、アクシデントだったんだから。となだめるが全く効果なし。

そのうち男子2人はやれやれ。となり、違うところへ泳いで行ってしまいました。

目を三角にしたまま娘は私の座っている所に来て、ドスっと横に座る。

どんな一声を発するのかと待ってみても、遠くをギラっと睨みつけたまま黙っている娘。

「.....ママね、最初から全部見てたよ。多分わざとじゃなくてアクシデントだと思う。でも嫌だったんだよね、ショックだったんだよね。嫌な気持ちになったんだよね。」

と娘に言うと、

「.....うん」と一言。

そう、アクシデントだったかもしれないが、娘は「ビックリ」と「恥ずかしい」のと「ショック」で、総合的に「嫌な思い」をしたのだ、それは間違いない事実なのだ。

実は私にも似たような経験が娘と同じ歳くらいの時にありました。

私の場合は偶然やアクシデントではなく「狙われていた」という点で大きく違いますが、「プール」と「あれ、もしかしたら触られた?」という「ビックリ」「恥ずかしい」「ショック」はリンクしているわけで....

あれは小学校2年生の頃だったと思う、家の近くの町民プールに友達と行って遊んでいた時の事です。

男子同級生のお兄ちゃんがやたらと私達のグループの近くを一人でウロウロしていて、振り返る度に私の後ろ近くにいて、

なんだか嫌な気持ちがしていたけれど、それを友達に言うのも恥ずかしい気がしてそのまま遊んでいたら、

「...あれ?.....なんか今触られた....?」

という瞬間があったんです。

そしてハッと振り向くとやはりその男子が後ろにいて私を見ていて....

...き、気持ち悪い。どうしよう...でも誰かに言うのは恥ずかしい。ましてや本人に言ったら叩かれてしまうかもしれない。

と、友達と遊びながらも頭の中はグルグルグルグル廻っていて、とにかく平然を装い「後ろ」を作らないように必死に頑張っていました。

帰る時間になったものの、着替えて女子ロッカーから出るのが怖くて、最後の最後になってしまったのですが、なんとその気持ち悪い男子は窓から覗いていたらしく、係のおじさんに「何やってるんだ!帰りなさい!」と怒られていた。

あのおじさんが見つけて一喝してくれてなかったら。あの後一体どうなっていたんだろう....

小さい頃から声が大きく勝気だった私も、あんな状況では何も言えず、何も出来ず、何かの間違いだよね。と自分に言い聞かせる事しかできなかったのに対して、娘はちゃんと声を大にして自分を守れる事にある意味安心したというか、誇れる気持ちだった。

(冤罪はこうやって起きるんだよ。という意見があるのは重々承知ですが)

娘も幾らアクシデントだからといって、嫌な気持ちをしたという事をないがしろにされてはたまったもんじゃなかったわけで、その気持ちに寄り添う事だけで、自分の感じ方は間違ってない。と腑に落ちたんだと思います。

もちろん相手の男子にとってはとんでもない濡れ衣な訳だから、そこは娘が落ち着いてから双方を集め話しをしました。その後はまたいつものように遊び始めたから一件落着。めでたし、めでたし。

幸い今回はその場に居合わせたからミスジャッジなく事を終えられたわけですが、常日頃から気をつけなくてはいけないのは、その物事が正しいのか、正しくないのかと言う前に、「その時に当の本人がどう感じているか。」だと思っています。

その場の雰囲気を壊したくないから、事を大きくしたくないから、と大人の都合で子供の感情や感じ方を抑えたり、変えてしまうのは良くないしやっぱり間違っていると思うんですね。

ケガをした子供に「あ~、大丈夫、大丈夫。痛くない。痛くない。」と言いがちですが、いやいや、実際子供は痛いから泣いていて、本人じゃなかったらその痛みがどんなものだかは想像しか出来ないわけですから、「あ~、痛いよね。きっと痛いよね。」がその子供的には欲しい言葉なんだと思います。

例えばあなたが、熱でフラフラになってる時に頭が痛い、と訴えて、その返事が「あ~、そのくらいの熱なら大丈夫。私なんてもっと熱あっても普通に仕事したよ」と返されて良い気がするはずがありません。

ただ単純に自分の気持ちを受け止めて欲しいんだよ!慰めて欲しいんだよ!

と思いませんか。

子供と言えど、人間は人間、皆同じ。

まずはその状況にどう感じているのか、本人の気持ちに寄り添う事で、自分の感じ方は間違ってないんだ。と安心させてあげられる事が大切なんだと思います。






シンガポールにも児童館のような場所を作りたい!という思いから育児支援コミュニティKidsPriorityCafeを発足し日本に帰国後も主催運営しています。頂きましたサポートは有り難く運営費に使わせて頂きます🙏また、コラボ希望も随時受け付け中!お気軽にご連絡ください😃