ep.7 スウェーデンの性教育施設ツアー③~子供と向き合うユース・クリニック~
皆さんこんにちは!😄
デンマークに留学していましたAiriです。
今回はスウェーデン旅パート③ということで、ユースクリニックに訪問させていただいた様子についてお届けしていきたいと思います!
パート①、パート②はこちらからどうぞ💁♀️
それではスタート‼️
UMO valluntunaへ訪問
さてスウェーデン旅も2日目、今日は朝から、ストックホルムの中心部から電車で30分ほどの場所にある、「UMO」というユースクリニックへお邪魔しました。
⭐️UMOユースクリニックのホームページ⭐️
ユース・クリニックとは?
一言でいうと、「若者のための性に関するクリニック」です。
スウェーデンでは1970年代から始まり、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)にフォーカスした身体的かつ心理的な健康の促進を目的にしている場所です。
スウェーデン全土に250ヶ所以上あり、ストックホルム内には20数ヶ所あるとのこと。(スウェーデンの人口が約1050万人で、東京都の人口は1300万人ということなのですが、東京都にあるセブンイレブンの数が244店舗らしいので、東京都内のセブンイレブンくらい身近にある感覚でしょうか。)
医学・心理学・心理社会学的な視点からのセクシュアリティと健康が提供され、助産師、ソーシャルワーカーやカウンセラー、産婦人科医からなる専門的なチームが在籍しており、対応を受けることができます。
特にこのUMOでは、以下のようなことを相談したり、支援を受けることが出来ます。
身体に関する質問(questions about the body)
性行為や恋愛関係性に関する質問(questions about sex and relationships)
避妊方法や性感染症について(protection against pregnancy and sexually transmitted diseases)
妊娠検査、性感染症の検査(pregnancy test or test for sexually transmitted diseases)
気分が良くない、落ち込んでいる際のサポート(support if you feel unwell.)
特に対象年齢は12〜22歳で、無料で利用することができるとのこと。
実際に避妊具を見せていただく事ができました。
避妊方法に関しては、IUD・低用量ピル・避妊リング・パッチなどの種類があり、その説明や装着もこのクリニックでできるとのことでした👀。もちろん装着や利用に関する費用は無料。
UMOユースクリニックの特徴
お話を聞いている中で印象的だったことをご紹介しようと思います。
まず強調して仰っていたのは、相談に来る方(子供)の権利は絶対に守られるということです。
というのは、このような相談機関に子供が相談に来ると、往々にして保護者に連絡することが必要な状況が生まれると思うのですが、こうしたときに<本人の同意がない限り、保護者には連絡をしない>ということです。これをはっきりと仰っていました。
子供であっても1人の人権ある人間として扱い尊重するという姿勢がしっかりと存在しており、それがここのクリニックへの信頼性につながっているとのことでした。
私はこれを聞いた時、日本の現状から考えると、この姿勢が日本に広まるのはまだ少し遠い将来なのかもしれないと感じました。子供の意見を尊重し、選択を尊重するというのは、もちろん子供自身の責任や自己決定と隣り合わせの話題です。ということは、子供に適切な情報提供が叶うシステムと同時に成立させなければならないということだと思います。
充実した支援や情報収集ができる社会があるからこその子供の人権。
この相互作用を作っていかなければならないと強く思いました。
また驚いたのは、クラミジアの検査で陽性だった場合、その相談者と性的な関係にある人の情報を開示してもらい、クリニックからその関係者へ「あなたはクラミジアに感染している疑いがあるので、受診にきてください」というメール✉️が届くということ。
えーーー、そんなことできるの、と思いましたが、もちろん相談者側(陽性と分かった人)の情報はそのメールでは明かさず、しかもこれはスウェーデンの法律で通達することが定められているものなのだそうです。
確かに性感染症は一人がかかっていたらその周りの関係を持った人もうつっているはずで、通達されるのは合理的ではありますね。
その人が受診に応じなかった場合、クリニックの上部組織に報告がいき、対応が厳しくなる(家に訪問される等)に発展するそうです。
これはちょっと驚いた。😳
クリニックの雰囲気
今回、産婦人科医の方1人と助産師の方2人にお話を聞いたのですが、皆さんとてもフレンドリーで、テキパキとしつつも温かに迎えて下さった印象です。
私たちの滞在は1〜2時間ほどでしたが、その間にも訪問してくる若い方がちらほらいらっしゃいました。
ここに来る方は表情が暗いのかな🙁、とか、気まずそうな雰囲気があるのかなと思いましたが、意外と気軽な感じに足を運んでいるように感じました。クリニック兼「放課後溜まり場」?のような感じとでもいうか。
このクリニックも、観葉植物🪴や大きな窓、柔らかいソファやコーヒーマシンなどが備わっていて、助産師さん曰く「病院に見えないようにしている」とのことで、「あまり綺麗に整えすぎると、来る人も『ちゃんとしなきゃ』と身構えてしまう。そうならないため、雑感を残している」とのことでした。
また、LGBTQフレンドリーであるよ、誰もここはジャッジしないよということを伝えるメッセージとして、レインボーフラッグ🏳️🌈などのインテリアやカラーを取り入れているとのこと。
なんだか…この辺の感覚が本当にびっくり😳で、インテリアの優先度や雰囲気作りの優先度が高いなぁということをひしひしと感じました。
確かにデンマークで低用量ピルを受け取った時にも思いましたが、こういう「クリニックの一歩手前」みたいな場所があることの安心感ってもの凄いだろうなぁと感じました。「相談場所」でもあるというのが、若い人にとっては正しい情報が得られて信頼も置けるし、こんな場所が日本にもできたらどんなにいいだろうかと感じざるを得ませんでした。
(私がデンマークで低用量ピルをもらった話はこちら↓)
「訪問のハードルを下げる」ということには長い年月がかかっているとのことで、例えば学校との連携は必要です。その地区の中学校に訪問し、12歳程度の子供たち全員と顔を合わせる機会も持っているそうです。このクリニックの周知をするためでもあり、学校の先生にも安心してもらえるとのこと。
こうした学校を通しての周知をはじめ、SNSの活用など多くのことにトライしているとのお話でした。
Challenge:課題
最後に、ユースクリニックにおいて、今ある課題点について伺いました。
1)営業時間が短いという問題
現在、UMOクリニックは月曜日から木曜日、16:00ほどまでの営業です。ドロップインになるともっと短い時間でしか受け付けて貰えません。この営業時間の短さにより、支援が必要な若い人たちへアプローチできていないのではないかという問題があるそうです。
働いている方々のワークライフバランスや、人手の数を考えると仕方のないことかとも思うのですが、やはり休日や遅い時間に相談できるわけではないというのは若い人にとっては問題ですよね。
2)両親とのコンタクト
先ほど「子供の権利を守る」ということについて言及しましたが、それでも子供を支援していくということには保護者の協力が欠かせません。子供の問題に同保護者を介入させていくか、という双方との関わりが時に難しいとのお話でした。
まとめ
ユースクリニックは若者が守られる場所であり、守られつつも、自分の身体や気持ちに向き合い、自分ごととして選択できるような環境であると感じました。
また、働いている方々のイキイキした表情もとても印象的で、使命感を持ってこの仕事に取り組まれているんだなと思いました。
よく「信頼できる大人に相談しましょう」って日本の教育では聞くけど、実際親と学校の先生以外に関わる大人っていなくないか?と私は思ってきました。
こういう、親以外に頼れる大人がたくさんいる社会って、すごく子供達にとっては安心できるし、仕事にいきいき取り組んでいる大人が身近にいるということも、職業教育的な観点からもナイスだなと感じたりもしました。
子供をないがしろにしない、本気で人権を守る。
そういったスウェーデンの姿勢を感じられる機会となりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というわけでパート③、いかがでしたでしょうか?
この日は朝から盛りだくさんで、電車移動中に急いでバゲットのサンドウィッチをかじっていたのが良い思い出です。
ちなみに道すがら、スウェーデンのドラッグストアに立ち寄ってみました。
この上段、1番左の箱は「排卵検査薬」、その隣に「妊娠検査薬」が並んでいます。また、上段1番右の緑の箱はクラミジアの検査薬です。
こんなにたくさんの種類の検査薬があるのには驚いてしまいました。クラミジアの検査が普通に出来るんだ、、、👀
そしてこれが緊急避妊薬。このカードをカウンターに持って行って買う形式です。他のメンバーが購入するということでその様子を見させてもらいましたが、非常にスムーズに、他の買い物と同じような感じで購入していました。
今日本でも「緊急避妊薬を薬局で」という動きがあり、全国で試験的に一部のドラッグストアで販売が始まっていますが、薬剤師の前で服薬しなければならない、値段が高いなど多くの問題点があります。
自分の体の健康、選択、権利のために、避妊方法を制限するのではなくアクセスしやすくすることが、やはり大切ではないのかと感じるのです。
潤滑剤にもたくさんの種類があります。例えば1番左の「natural」タイプは、水がベースになっており、軽いゼリーのような粘度とのこと。
また、これらチューブタイプの潤滑剤、よく見ると「RFSU」のマークがついています。スウェーデン性教育協会(RFSU)は、こうしたインティマシーグッズやコンドーム等を売り上げる会社を持っており、その売り上げをNGOでの活動資金にしているのだとか。
ヒョエーーー😳、さすが天下のRFSU。資金繰りもきちんとしていて、「続けるための戦略」もしっかり持っているんですね。
この後、高校訪問・この天下のRFSU本部への訪問と、まだまだ続きます。
お楽しみに!
Vi ses☺️!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?