ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第37わ「所信表明」
(承前)
またも相棒とシスターの間に険悪な空気が充満する。それにしても❝三ツ星❞とは何のことだろうか。確かに相棒は強い。吸血鬼と言っても、その強さはピンからキリまであるということなのだろうが。
「ああ、ニンゲン。信用というのは意地悪な言い方だったかもしれないね。つまり、そう、誠意を見せて欲しいということなのだよ。誠意!良い言葉だよね!」
誠意。あいにく手元に辞書が無いので正確な意味は分からないが───我ら人間が言う誠意とは往々にして───お金のことを言う場合が多い。
「それは誤解だよ!ニンゲンの言葉とは難しいものだね。より砕けた言い方をするとね、この❝ゲーム❞に対する意気込みを見せてほしいということさ!」
意気込み。これは難しいことを言う。チェスの駒に対局への意気込みを聞くようなものだとしか思えなかった。耳をすませばポーンの声が聞こえるかもしれないが。「死にたくない」とか「前衛は嫌だ」とか、そういう言葉が。
(続く)
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