ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第36わ「証明法の証明」
(承前)
相棒が怒りと屈辱を堪えているのが後ろ姿から伝わってくる。長居は禁物か。右手を挙げて簡潔に、丁寧に用件を告げることにする。
「そうだね。確かに、銀の弾丸も、ブッ放す為の銃も此処にある。でも……」
こちらの反応を見ているようだ。
「見ての通り、私は、か弱いシスターだ。銃を渡した途端に、君にズドン!とやられたらひとたまりも無いよ」
相棒の舌打ちが聴こえたような気がした。つまりシスターが白々しい嘘を吐いているということだろう。銀の弾丸でも倒せない吸血鬼。そう思って間違いあるまい。
「つまり、私としてはだね。君が信用の置けるニンゲンであることを証明してほしいのだ」
とんでもない無理難題だった。信用の証明。機嫌を損ねれば今この瞬間にも牙を剥いて襲って来るかもしれない圧倒的強者、人類の捕食者に対して。
「彼の信用なら私が保証します。私の命を担保にします」
「それはダメ。いくら君が❝三ツ星❞ハントマンでも、今回は例外さ」
(続く)
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