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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第101わ「天秤の均衡は再び」

(承前)

「……別にね?私もですね?ニンゲンの血を啜ることに対して罪悪感なんて毛頭ございませんけどね?」

相棒が何かを言い出そうとして、それを果たせずにいる。俺に何か要求があるのだろうか。それが何なのか皆目見当は付かないが。

「罪だの罰だの、知ったことではございませんけどもね?空気中に散るだけのダンナの体温をですよ?少しでも私に移してくれる間ぐらいはですね?ニンゲンの血を吸うのは我慢できそうな気がしなくもないんですよ、ええ」

相棒が今、さらりととんでもない譲歩を俺に提示したような気がした。俺が体温を分けている間は、この街の人間を無差別に襲わない、ということか。それ程までにハントマンの冷え性は辛いのか。家にいる間は暖房を点ければいいだけの話ではないのだろうか。あと、厚着すべきだと思う。

「分かりました。今までも、これからも、私はニンゲンの返り血を湯水のごとく浴びることで存分に暖を取ることにしますね……」

待て。

(続く)

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