ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第44わ「本当の怪物」
(承前)
俺が、お前に隠し事は出来なくなる?どういうことかと問い詰めようと相棒を見据える。その双眸。俺に渡した筈の右目が、相棒にも備わっている。
「この右目ですか?たった今、作ったばかりです。その気になれば、ほら」
相棒が両腕のシャツを捲り上げる。雪花石膏めいた白い腕に───、七色の百の目が現れた。今度こそ卒倒しそうになった。怪物に心を許した愚かな俺を、百の目玉が嗤っている。
「ダンナが受け入れてくれた私の旧い右目が見たものは、私の新しい右目にも映ります」
信じたくない。だが、それが事実であることが理屈ではなく直感として伝わってくる。冗談ではない。咄嗟に右目を手で塞ぐ。すると右目に激痛が走る。違う。右目から激痛が送り込まれている。
「隠し事は出来なくなると言ったでしょう?そういうことなんですよ」
恐怖と苦痛に、うずくまる。右目の視界が元に戻ると、痛みは一瞬で引いていった。
「素直にしていれば、痛いことはしません」
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