ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第4わ「大いなるゲーム」

(承前)

終わりの見えない悪夢が始まった。夜は明けても俺の心に光が差すことは無かった。両親が書き置きを残したまま家に戻らない。文面からは「出張」「関西方面」「支社のヘルプ」の単語が拾えたが───、今の俺には状況が呑み込めそうにない。床に落ちたままの携帯電話がやかましく鳴動しているのを感じて意識が現実に引き戻される。ゲームマスターからのメッセージ。

おはよう!良い朝だね!気分はどうかな?ご両親のことなら心配いらない!
君の❝ゲーム❞に巻き込まれないように手は打ってある。説明していなかったかな?

うん。説明されてない。

近世以降、人間社会は吸血鬼の貴族であるところの我々「ハントマン組合」が共同管理しているのだよ。ニンゲン。組織。土地。資源。軍隊。そして国家も例外ではない。何もかもが権利書という名の❝カード❞に付随する、ボードゲームの❝トークン❞のようなものさ。

なるほど、完璧な説明だ。

我々を楽しませてくれ、人間。

続く

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