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今更だけどおれもニンジャスレイヤーTRPG:ソロ版をやってみたのだが(後編の「序」)

(前回の投稿)

ドーモ、グエンです。ここは何のページですか?去る二月六日、忍殺公式アカウントによって開催された二回目の❝簡単なソロプレイアドベンチャー❞……そのリプレイを物語風味に仕立てて、同好の士に読んでもらってスキをいただき(超重要)逆噴射プラクティスも行おうというアブハチトラズな試みだ。おれの筆が遅いあまりに、このページを投稿している間に三回目の開催通知が来てしまった。

だが今回は、あくまで二回目のアドベンチャー、そのリプレイだ。リアルタイムで参加できなかったので有志によるまとめサイトを大いに参考にさせていただいた。ありがとうございました。

※察しの良い読者諸兄はタイトルで不穏さを感じ取れたかもしれない。そう、三回に分けた構成になりそうである。前置きが長くなったが、今回の記事そのものが任務の前置きみたいなものだ。それではサンシタニンジャの七転八倒を御覧に入れよう。

光る、唸る、そして飛び回る鬱陶しいダイスにおれの眠りは妨げられた。こいつはモーターロクメンタイ。おれの小さな相棒だ。こいつが騒ぐということは、おれに仕事が舞い込んだということだ。二日酔いで痛む頭を押さえながら、IRC端末を確認する。メッセージは2件。一つは我らが上位者、ソニックブーム=サンからの新たなる任務についての概略説明。もう一つは、さっきまで一緒にサケを飲んでいた旧い友人からの───、私的な通信だった。
#UBUKATA:私は先に帰る。お前にコーヒーを淹れてやれないのが残念。
頭痛が悪化しそうなメッセージだ。そして眠りに就く前の記憶が鮮明に甦って来た。未公開株券データを奪えなかったおれは、一縷の望みを捨てずにUNIXデッキそのものを事務所から奪ってハッカーである旧友の家に転がり込んだのであった。

「……お前の仕事はヒキャクだったのか?」

それから必死に頼み込んでUNIXをハッキングしてもらい、おれは十万円相当の未公開株券データを無事に手に入れることが出来たのだ。
問題は、そこからだった。

「それじゃあ、仕事の話をしようじゃないか」

おれと友人の取り分は50:50ということで話がついた。ブラックマーケットで売りさばいても、UNIXデッキなど一万円が関の山であろう。その五倍の金額が俺の懐に入ってくる。持つべきものは友だ。次の言葉を聞く瞬間までは、おれはそう思っていた。

「そこから諸経費を引かせてもらうぞ」

友人のアジト───、つまりデッキと回線を使用した「設備使用料」で一万円。使い捨てファイアウォールの実費として一万円。ビズの口止め料として一万円。粗大ゴミと化したUNIXデッキの処分費として一万円。おれの手元には一万円しか残らなかったのである。その後、一緒にスシを食ってサケを飲んで前後不覚(不穏当な日本語だと思う)に陥ったところで、このビジネスホテルに放り込まれたらしい。慌てて財布を確認する。クローンヤクザを仕留めて手に入れた一万円と、分け前の一万円は手付かずで残っている。念の為にフロントに電話を入れてみると、「料金は既にお連れ様から頂いております」とのことだった。ヤツにもユウジョウが残っていたか。……とりあえずフロに入ろう。任務のことを考えるのは、それからにしようと思った。
#ATOUDA:不覚を取ったが、次は無い。

(続く)

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