今更だけどおれもニンジャスレイヤーTRPG:ソロ版をやってみたのだが(前編)

ドーモ、グエンです。とにかくタイトルの通りだ。とにかくおれもやるだけやってみよう、そう思った。プレイ自体はリアルタイムで済ませていた。だが、それを他のヘッズのように鑑賞に耐えうるような物語に仕立てあげることが出来るだろうか───?おれは二の足を踏み続けていた。日頃のモンキージョブで疲労していたこともあるかもしれない。だが、やるのだ。人形が人形を壊す話とか、吸血鬼が吸血鬼を殺す話ばかり書いていたが、少し立ち止まって、新しいことを始めてみるのは悪くない。そう考えたのだ。長いアイサツは終わりだ。概要は本家にマルナゲする。

とにかく、そういうことだ。
そして、これがダイスを振って作成したニンジャだ。

ニンジャ名:ノーマーシー
【カラテ】:4
【ニューロン】:2
【ワザマエ】:4
【ジツ】:0
【体力】:4
【精神力】:2
【脚力】:2
装備など:オーガニックスシ

ジツが0だ。特殊能力に因んだニンジャ名を幾つか考えていたので、実は結構ショックだった。カラテとワザマエが、そこそこあるのは救いだった。装備はスシだ。スシはどこに装備するんだ?ニンジャ名の「ノーマーシー」は本人の「無慈悲に生きたい。ニンジャならば、かくあるべし」という願いが込められている、という設定にした。(忍殺wikiで軽く検索した結果、同名のニンジャは居ないようなので一安心だ。少なくとも、今のところは)そして初期サイバネは無しだ。弱点を補える装備を自分で選択できるなら飛びついていたことだろう。それに加えて、借金は無視できないリスクだ。ニンジャでも堅実にならねばならない時もある。とにかく、冒険を始めよう。

ビズの現場は、ツチノコ・ストリート。魔都ネオサイタマでも屈指の暗黒街(治安レベルは最悪)だ。ニンジャになる以前のおれなら、名前を聞くだけで卒倒していたことだろう。ましてや、ヤクザの事務所に忍び込むなど。おれに課せられた任務はUNIXをファッキングして、何やら重要な機密を盗むことらしい。テックの話はサッパリだ。おれにはハッカーの旧い友人がいる。電子戦の要諦、あわよくば強力な武器を授けてくれるかもしれないと思い、自分がニンジャになったことは伏せて任務の前に立ち寄ったのだが。

「そうかい、これでも食らいな」

かつての友人から投げ渡されたのは、パックされたオーガニックスシだった。赤、白、黄色が食欲をそそる。このスシを食えば、おれもUNIXと互角以上に戦えるということなのか。

「イディオットめ。私はハッカーだぞ?自分の商売道具を他人に与えるバカが居るか?」

それは大凡、商売に使う道具に縁が無いおれには言われてみるまで実感の湧かない真理であった。成程、おれだって自分の手足を他人に貸したりは出来ないものだ。

「そもそも急にやって来て一体、何だ?仕事の話か?だったら聞いてやってもいいぞ。昔のよしみだ、前金は半額でいい」

仕事の話をされると困る。おれがニンジャになったことも隠し通せなくなる。何でも無い、近くに来たので立ち寄っただけだ、久しぶりに顔を見たくなったのだと言い訳を並べ、友人宅を辞することにした。本当にすまない。おれが生きて帰れたら、一杯おごらせてくれ。
浮遊するダイスの声で意識が現実に戻って来る。これが、おれの現実だった。重金属酸性雨、雑居ビル、そして散弾銃を構えて立ちはだかる守衛。

(※出目は6,4,6,3でした)

スリケン、それを死の星と呼ぶ者もいる。ここでハイクでも詠みたい気分だ。「死の星が/ヤクザの額に/生えていた」───しかし、何の感慨も湧かなかった。物騒な武器を持った物騒な見張りが倒れる。やはり重要な宝物が守られているのだろう。それだけが、おれの心の慰めになった。

(※選択肢は2、出目は4,1,1,2でした。かなりアブナイ!)

気を取り直してビルの中へ。当然ながら、正面玄関は施錠されている。そこに横たわる死体を漁れば対応する鍵が手に入るかもしれないが、それは最後の手段にしたかった。何より、おれにはニンジャの力がある。さっきのようにスリケンを生成する要領で、クナイダートを作るのだ。どこまでも細さと長さを追求した、針のようなクナイダート。こいつを鍵穴に差し込んで、あとは己の第六感に任せてカチャカチャする。とにかくカチャカチャするのだ。手ごたえあり。解錠される音を聴覚が捉える。雑居ビルの玄関が俺を迎え入れた。ニンジャの聴覚が深夜の冷蔵庫めいたUNIXの唸り声を確かに捉えた。目当ての部屋は近い。電算室だ。

(※出目は2,4,2,6でした)

突撃してきたクローンヤクザをサイドキックで悠々と迎撃する。伏兵は居ないようだが、モタモタしていれば増援が来るだろう。ブッダは許してくださらないだろうが、両手を合わせて死体の懐を漁って戦利品を頂戴する。

(選択肢1を選ぶも出目は3,3で失敗しました。ヤンナルネ!!)

気が重い。問題のUNIXだ。こいつをファックすればいいのは理解している。とにかくログインパスワードの入力を要求されるより早くキーボードを叩いて質問を繰り出す。返答が出力される。質問、応答、質問、応答、質問、応答。……ダメだ!「ゼン・ドライブ」作戦は失敗だ。おれのタイピング速度と付け焼刃のメソッドでは目の前のUNIXには敵わないことが痛い程に理解できた。遂にディスプレイにはパスワードの入力画面が表示された。終わりだ。生体LAN端子、あるいはウイルス入りフロッピーでも用意できれば、この難局も突破できたかもしれないが。カラテとワザマエだけではどうにもならない現実が、おれを打ちのめした。
サイレンの音が聴こえる。いつも最後の詰めが甘いのは、おれがニンジャになっても治らないらしい。落ち込むのはアジトに帰ってからだ。儲けは少なかったが、無傷で済んだのは幸運なことだった。これで借金など抱えていたら、どうなっていたことか。ネオサイタマの月が、インガオホーを免れた俺を静かに見下ろしているように思えた。

……以上が今回のリプレイだ。パッとしないニンジャがパッとしない結果を残した。サンシタとは、そういうものだ。この後、彼はメンターや、同期のニュービーにも後ろ指を指されて肩身の狭い思いをするのかもしれない。それでいい。他人の失敗を嘲笑うヤツはネオサイタマで死ぬ。装備にスシがある理由、モータル時代の旧友の話、「商売道具など無い」と描写した後に錠前をピッキングする場面にぶち当たってからの解決法など、もう少し解像度を下げて(文字数を減らして)読みやすさ重点しても良いような気はする。とにかく、おれのニンジャは生き残り、次のクエストに挑む権利が与えられた。そちらも近日中にnoteに投稿する予定だ。機会があれば、またいつか。

~オワリ~

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