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[読書の記録] はあちゅう『恋愛炎上主義』(2014-06-14読了)

最近でたはあちゅうの恋愛本を読んだ。(※この感想文は2014年6月に書かれています

連載コラムの集合体なので一気に読めたし、面白かった。
バンバン売れているようで、多くのアラサー女性にとって支持され、共感を呼ぶ内容ではあるのだろう。

私も読んでいて、そうだよなー、と思うところはたくさんあり。
特に、ある意味平凡ですが、本書全体を貫く20代後半の男女の恋愛と結婚に対する意識の違い、という部分には大いに共感した。

男はまだまだ口説きたい。ワクワクしたい!
女子だってきっと口説かれたいはず!
と、ここまではon the same pageだが、女子側の結婚・出産までの逆算はどこまでも堅牢かつ、堅実なワケで。

という感じで、登場するのは女子会トークでよくあるネタばかりなのだけれども、誰しもが普段考えている平凡なことをクリアに文章化することができるっていうだけではあちゅうの才能だなと思う。

ただ、もちろんはあちゅうといえば
帰国子女→慶応/カリスマブロガー→電通
というこれ以上ないリア充キャリアで、今は売れっ子中の売れっ子ライターであり半分、というかほぼ芸能人なわけですね。
そして本書中に登場する、はあちゅうを取り巻く人たちも、男女問わずメディア、広告、商社、銀行あたりで働いてものすごく稼いでいて、自分に自信があり、結果としておモテになっている。

というわけで、これがパンピー向けかどうかというといまひとつ問題があるというか、どこにでもいる女子目線で書かれているとはいえないと思うんですよね。
こうした極めて文化/社会/経済資本力の高い人々の恋愛語りを読んでも、やはり極めて限られた人口層の話をきいている感じがしてくるのは否めない。


基本的に女性向けに書かれているのは大前提として。そして男も読んでおもしろいしためになるな、とは思うが、私のような凡庸な負け組一歩手前の男が読むと少なからず凹むと思う。
はあちゅうは本書中で自分も含めた周りの女性たちのことを直接/間接的に、金と色を兼ね備えた「バリキャリ女子」「Aランク女子」などとラベリングしているが、こうした女性たちは当然男に求めるものもはっきりしていて、ハイレベルなわけで。。。

自分たちが求めているレベルに達していない男を見下してる感じはするのね。「日本社会にも間違いなく身分階級が存在する」と言い切っていますし。
われわれ競争社会に生きる人間は、何かとランク付けが好きである。
はあちゅうは特に毒舌系なコラムニストではないと思うけど、少なくとも人をランク付けることに躊躇いがないことが、人気の理由のひとつかなとは思いました。

しかしこのような人物が影響力を持つことは必ずしも社会善ではなく、ジェンダー間の内戦を助長するような作用を持つと思います。


いやもう、正直に申しますと、ある元カノを思い出してしまうんですよねwwwwww
アラサーバリキャリ女子の価値観はここまで似るのかと。成功者としての自覚と、人を格付けする視座な。

少し前の自分なら、何も考えず楽しくヘラヘラ読めた気がします。これが世間様に向き合ったあとに生まれるルサンチマンなのだろう。

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