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芥川龍之介が描いたおとぎ話「桃太郎」 桃太郎は鬼を退治したヒーローではなかった

芥川龍之介といえば、「羅生門」「蜘蛛の糸」「河童」など数々の名作を残してきた大文豪の一人です。

そんな芥川の作品の中でも、少しユニークなものがあります。
それが「猿蟹合戦」とか「桃太郎」という昔ばなしで知られる作品です。
いわば芥川版の「猿蟹合戦」とか「桃太郎」です。

昔ばなしの「猿蟹合戦」といえば、サルにいじめられたカニが仲間とともにサルに仕返しをするというストーリーです。

その後の展開を書いた芥川版「猿蟹合戦」では、仇討ちをしたカニとその仲間たちが、サルを退治した罪で逮捕され、裁判にかけられて不幸のどん底に落ちていくというストーリーになっています。

そして、芥川は「桃太郎」も書いています。
昔ばなしの「桃太郎」は、鬼ヶ島へ鬼退治をしに行く話です。

芥川版「桃太郎」も、そのストーリー展開は同じですが、登場人物のキャラクターが大きく違います。
鬼は、悪者ではなく、鬼ヶ島で家族と一緒にのんびり暮らす平和を愛する存在になっています。
逆に、桃太郎は昔ばなしに出てくるような鬼を退治する正義のヒーローではなく、平和に暮らしている鬼を理由なく征伐し、宝を全て奪い取ってしまう悪人として描かれています。

芥川は面白おかしく書いているのではなく、その時の社会を風刺した意図があるのではいういろいろな解釈がされています。


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