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読書はあたたかい

本を読む。どうも、とりです。その世界では、会ったこともない筆者があたかも私の悩みを打ち消すように、私の記憶を脚色するかのように、私が求める感覚を与えるかのように言葉を連ねている。私はなにもお願いしていないし、なにも話していないのに、どこから漏れたのか不思議なほどに、私の記憶や感情に寄り添う言葉がツラツラと現れる。とても不思議だ。

私はマイペースだと、独特な世界観を持っていると昔からよく言われていた。自分勝手に動くことは避けたいし、独特もなにも各々みんな自己の世界があるでしょうと思ってはいるものの、やはりどこか周りと噛み合わない瞬間があったりしてギクリとする。けれども、そんな噛み合わなさも誰もが感じていておかしくない感覚であり、それを上手くかわす人と、ズシリと受け止めすぎてしまう人の差はあれど、みんな何だかんだで傷ついたり浮いたりしながら密着しているんだと思うと非常に愉快な気持ちになる。それは読書のなかで信憑性を持った。なぜなら、本の中には著者独自の世界観が広がっていて、ときに信じられないこともあるけれど、大方共感できる感覚が多いからだ。噛み合わなさも、もしかすると私の語彙力や表現力が足りていなかっただけで、もっとうまく伝えられたんじゃないかと考えることもできる。それがとても面白い。

実際に、私は話すことは少々苦手だが、書くこととなれば自分の気持ちをうまく表現できた気になれている。小説から映画化される作品も、やはり小説で読むのと映画で観るのとでは感覚が違う。映像表現よりも文章表現のほうが、私はリアルに感じられる。さすがにマッドマックスは映像表現で観たい。が、文章でリアルさを表現したマッドマックスがあれば是非読んでみたい。

好きな本を一冊あげるとしたら。出版社のESでことごとく目にした質問だ。本と問われれば私は写真集を挙げた。多くの人が小説や漫画を挙げるであろう項目であえての写真集、という計算をしていたわけではないが、面接官の目には引っかかりやすかったので良かったのかもしれない。では、写真集でないとしたら。ここで一冊挙げておきたい本があります。

まじで面白いので本好きの方、オードリー好きの方でまだ読まれていない方がいれば全力でおすすめしたい。小説でも自己啓発本でもなく、紀行本であるこちらの本。若林さんが一人旅で訪れたキューバの旅行記が綴られています。実体験である文章はやはりとてもリアルで、旅の感動を言語化する力が素晴らしい。写真では味わえない言葉による記録だと実感するし、読後感が最高です。

私もこんなふうに、空気や匂いを漂わせるような文章を書きたいと思った。また、若林さんの少しナナメな感覚もとても好きだ。最近読めていないんだけど、急に紹介したくなりました。


本を読むっていいなあ。心が広場だとしたら、じんわりと草花が生い茂る感覚があって、とても心地の良い風が舞い込んでくる。強く触れたい、抱きあいたい。そんな気持ちが沸き起こる昨今、読書はとてもあたたかな人との触れあいだなあ。




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