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「みどりのひと」


人格の形成、人の成りかたは色々である
未就学児に絵本や知育玩具を買い与える際、記載されている対象年齢のものを与えるべきである
彼等は年齢に応じた知識と知恵をその折々のタイミングで取り入れ、箱に詰める
びっしりと中身の詰まった箱を階段状に積み上げ、彼等は成長するのである
その様な積み重ねが日々継続するのであれば、彼等は適宜成長を果たすであろう
即ち学齢期には、社会性を持ち、第二次性徴期には、異性に関心を持ちをもする
だがしかし不幸にもこのような順調な成長を阻まれてしまう例も少なくない
彼等の何割かは故あって箱にものを詰めその箱を積む作業を、何としても継続出来ぬ状況に陥るのだ
朝は朝とて起きて学校へ行くことが出来ぬ
成長に伴う循環器系の調節の不具合が生じる為である
決して彼等のメンタルの脆弱のためなどではないが、あたら学齢期を寝て過ごし社会との繋がりを失ってしまう
ところがこれも成長の1パターンであり、恰も蝶が蛹の時期を持つ様に、堅い殻の中でグシャグシャしている間に自然の熟成という恩恵が天からか何処からか訪れ、或いは出来ぬという体験が忍耐と客観視をもたらす為か
彼等の多くは通常の場合より大きく成長し広い世界に羽ばたいて行く

以上2パターンの人の成りかたについて書いたが、最後はみどりのひとの場合について書いておく
みどりのひとたちについては例外的な状況が多いようだ
彼等は集団に馴染まない為、幼稚園は大抵の場合脱走する
保育園も図書館のお預かりルームもモンティソリ系の育児サークルも脱走
そして全く持って意外なところで発見される
お隣の屋根を直しに来ていた大工さんの軽トラックの下だとか〜当然のことだがこの場合、大工さんの帰る夕方に軽トラの駐車していたアスファルトの上で寝そべっているところを発見される〜或いは、ジメジメした神社の縁の下とか
反対にずっと高いところにいる場合もある
ある子供などは本棚の一番上の段に上手くひっ詰まって1日隠れ仰せたらしい
親から又は周囲の大人たちから庇護される存在である筈の子供がその庇護者から随時逃げ回っているのだからやりにくい
親によってはすっかり匙を投げてしまう
中にはその子を憎み、罵り、忌み嫌う親さえあらわれる
みどりのひとのこどもたちはしてやったりといえをでて、と行きたいところだが食べ物が落ちている訳でなし
現代社会では問題は内在化する
太古の昔、みどりのひとのこどもたちはみどりのひととして生きるのみであったであろうに
さて、ここでお断り申し上げておかねばならぬことがございます
みどりのひとについて語る時
漢字への変換が出来にくくなる傾向がございます
なるべく変換に務めはいたしますが、やはりひらがながちとなります由おゆるしいただきたい
話は戻る
問題が内在化した現代の家庭内で、みどりのひとの子供たちはひみつの自分をかくしていきる
はこにものをつめずはこもつまないけれど
箱にものを入れて箱を積んでいるようにおやからはみえるようにうまくやる
ほんとうのところかれらはなにもはこにしまわない
かれらははこからだすばかりだ
かれらのはこはむじんぞうにてのひらからうまれきて
そのはこからまたむじんぞうにものというものがうまれくる
みどりのひととはこどものじぶんからあらかじめそのようであるのだ
ではかれらはどのようにじんかくをけいせいしうるのか
かれらはあるときうらぐちのどまにこぼれてしまったみどりのぜりーじょうのぶったいとなって、それではおばあさんがぞうきんでふくでせふ
いえいえおばあさんなぞにみえはせぬ
おかあさんなぞにはもっとみえぬ
おとうさんにはすこしみえるがおとうさんというものはなにもしない
それだから
いっこうかまわぬ
ぜりーじょうのぶったいからじんたいへの、かっことしたじんたいへのぶっしつかをはかる
このときかれらはひととなる
あそこに座っている綺麗な緑色の青年をごらん
彼などその部類だ

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