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🇰🇼 「クウェート政府奨学金」(クウェート大学留学)の解説

2024年1月27日

※2024年2月5日加筆修正
※2024年2月12日再修正

注意

本記事は、クウェート大学に留学している学生が個人的に執筆したものです。
公的なアナウンスではない、ということをご了承下さい。

正確な情報については、
在クウェート日本国大使館HP
https://www.kw.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00261.html

独立行政法人日本学生支援機構のサイト
https://ryugaku.jasso.go.jp/index.html

などをご確認ください。

そのうえで、本記事では奨学金の応募などにまつわる体験談をお伝えします。



クウェート政府奨学金

はじめに

先日、在クウェート日本国大使館HPに、2024-2025年度の「クウェート政府奨学金留学生」の募集案内が掲載されていました。

https://www.kw.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00261.html

↑ 在クウェート日本国大使館のページ

募集案内によると、「以下の書類データを準備・作成し、2024年3月10日(日)までに下記宛先へ提出すること。」とのことです。

2023-2024年度は7月に提出でしたので、昨年に比べてだいぶ時期が早まっていると思います。

クウェート政府奨学金とは

中東のクウェート大学に1年間留学するプログラムです。その名の通り、クウェート政府が募集しています。

学部ではなく、留学生用のランゲージセンターに所属して正則アラビア語(フスハー)を勉強することになります。

留学生に対しては、毎月100KD(クウェート・ディナール、1月時点でおよそ4万7,000円)が給付されます。
長期休暇(冬休み)明けには、書籍代として更に100KDが給付されます。

そのほか、
・授業料
・寮の諸費用(家賃、水光熱費その他)
・寮での3食の食事

無料です。原則的に渡航費用も無料です(私は無料でした)。
ほとんど出費することなく、留学できます。

書類・面接選考の体験談

応募時期

本奨学金への応募は、在クウェート日本大使館経由で行います。

2023-24年度は7月初旬が応募書類の提出〆切でした。
その後、7月中旬には面接も終わりました。
(私たちはコロナ終了後初めての留学生でしたので、時期が遅かったのだと思います。)

24-25年度は3月10日が〆切で、3月中には選考が終了したようです。

以前は3月書類提出、6月面接ということもあったようです。

書類について

英文の書類を筆頭に、手間がかかりました。
提出時間の2時間前に、泣きながらサイゼリヤでパソコンを打つ事態にならないよう、余裕ある行動をお勧めします。

私は英語の能力もアラビア語の能力も高いわけではありません。その旨を正直に記入しました。
また私の場合、信頼がおける大学の先輩に添削をお願いしました。

それと、「最終学歴(高校以上)の卒業証明書のコピー(英文)」の用意に時間がかかった記憶があります。
高校などへの連絡はお早めに。

面接について

これはあくまで、私(非アラビア語専攻)の個人的な経験です。
他の学生は違う質問をされたのかもしれませんし、2024年度は形式が変わっているかもしれません。

zoomにて、大使館担当者の方と一対一でお話しました。
和やかな雰囲気の面接だった印象があります。

日本語でいくつかの質問に応答しました。海外での留学経験や、新環境への適応力などを問われた記憶があります。

アラビア語での自己紹介や、英語を使った応答(自己アピールと志望動機・アラビア語を勉強したい理由など)などもありました。

他にも(どのような質問をされたのかは失念しましたが)サークル活動やボランティア活動などの課外活動、「新しい環境に挑戦した経験」などを日本語でお話しした記憶があります。

大学生活での取り組みを整理し、簡単な事柄は英語やアラビア語で表現できるようにしておけば、万全かと思われます。

私は特に準備をしていなかったので、何回か言葉に詰まりました。

またアラビア語に関しては、きわめて基礎的な語彙や文法しか使えませんでした。
英語についても、何度かつっかえた記憶があります。

もっとも、過剰に語学力不足を恐れる必要はないと思います。

私は海外留学経験はありませんし、アラビア語専攻でもありません。英語も得意ではありません。

しかしそれでも受かったあたり、英語能力についてはほんとうに、「日常会話程度」ができれば良いのではないでしょうか。
英語に多少の苦手意識があっても、挑戦してみるのはアリだと思います。

アラビア語については、「できれば絶対受かるし、できなければ必ず落ちる」というわけではない気がしています。

大切なのは、1年間の留学をやり遂げる意志・熱意を示すことではないでしょうか。


またzoomでの面接というのは、独特なものがあります。今となって思い返せば、事前に練習しておくべきでした。

倍率については、わかりません。
ただ、奨学金の人気や知名度が上昇しているそうです。少なからぬ人数が応募したのではないでしょうか。
「応募すれば簡単に受かる」とは言い難いと思います。

出願書類(第2陣)についてのお話

気が早いですが、面接選考を通過した方向けの内容です。
ここは読み飛ばして頂いても問題ありません。

健康診断書作成

「国公立系の病院(私立病院不可)で受けた健康診断(HIV、B 型・C型肝炎、結核の検査項目を含む)」というのが厄介でした。

というのも、このような条件に当てはまる病院は、そう多くはなかったからです。

2023-24年度生は、渋谷区の「日本赤十字社医療センター」や、大阪府にある「市立豊中病院」にて検査しました。

また私の場合、「健康診断の書式」を病院に持参することを、病院から要求されました。そのため、必要な項目を満たした書式をワードで自作し、持っていきました。

ただし、私の状況が来年度以降も同様かはわかりません。
大使館担当者や病院の指示をご確認ください。

犯罪経歴証明書の発行

私の場合、申請から発行まで1週間かかりました。
居住地と住民登録地が違ったため、わざわざ故郷に帰り、発行してもらいました。

お住いの自治体により状況が異なるかもしれませんので、詳しくは県警などのHPを確認すると良いと思います。

いずれにせよ、余裕を持った行動をおすすめします。

留学の印象

治安について

治安については、個人的にはかなり良好だと思います。

私は頻繁に外出しますが、スリやひったくりなどの犯罪にあったことはありません。周りの学生に被害者もいません。

シュウェイフやケイファーン、シャダディーヤ、クウェート市といった、学生が生活するエリアに関しては、それほど悪い噂を聞いたことはありません。

キャンパスの様子

とはいえ、不用心な行動はお勧めできません。

定期的に凶悪犯罪が発生しています。

またセルビーをはじめとする、いくつかの地域は治安が悪いという評判も聞きます。

(もっとも、普通の留学生活を送っていれば、治安の悪い地域に行くことは基本的にありません。)

また、かつての日本人学生がナンパの被害に遭った、という話を聞いたことがあります。
周囲の学生には、詐欺電話がかかってきた人もいます。

より詳しい内容は、在クウェート日本大使館発行の「安全の手引き」などもご覧ください。

https://www.kw.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000713.html

テロなどに関して

外務省海外安全ホームページによりますと、2023年7月19日の危険度は「全土レベル1:十分注意してください(継続)」とのことです。

とくに「クウェートでは、ISILやヒズボラ等の過激派組織によるテロの危険性があります」とのことです。

具体的にテロが発生したという話は、聞いたことがありません。
しかし、テロがいつ起こるかは分かりません。用心が必要です。

パレスチナに関するデモ活動も定期的にあります。

女子学生について

日本から、また他国からも多くの女子学生が留学しています。

正確に調べたわけではありませんが、本年度の100名以上の語学留学生のうち、半数近く、もしかすれば過半数は女子学生ではないかと思われます。

ランゲージセンター(語学留学生はここに所属します)では、男女合同で勉強します。
座席が分けられるとか、時間が分けられるとか、そういった区別も特にありません。

女子学生は、女性専用の寮で生活することになります。
女子寮のみ、門限など一部制限があります。

もっともルールを守りさせすれば、買い物や外出を楽しむことができます。

寮について

原則、寮生活です。男子は2人部屋で、女子は個室です。

ただし女子寮の場合、隣の住人とトイレ・シャワーを共有するとの話です。
男子寮は4人でトイレとシャワーを共有します。

また、近いうちに男子寮が移転するとの噂もあります。その場合、状況が変わるかもしれません。

寮には食堂があり、三食無料で提供されます。

お昼ご飯

他国の留学生について

世界各国から、10・20代の学生が集まっています。

中国、韓国、台湾からの学生が非常に多く、日本を合わせて全体の3分の1程度の学生が東アジア出身です。
文化的な共通項が多いため、仲良くなりやすいと思います。
タイとベトナムの学生も非常に多いです。

ウズベキスタンやタジキスタンと言った、中央アジアの学生もかなり在籍しています。

トルコの留学生は数が多く、しかもアラビア語がよくできる人ばかりです。

フランスとロシアを中心に、ヨーロッパの学生も一定数所属していますが、留学生の中では少数派です。

学部生については、アフリカ出身の留学生が非常に多いイメージがあります。とくに、ナイジェリアやセネガルなどの西アフリカの学生が主流派です。

南北のアメリカ州やオセアニア州出身の学生はほとんどいません。

寮は非常に国際的な環境であり、日常的に国際交流をすることになります。

他国の留学生とコミュニケーションを取る上で、英語ができれば何の問題もありません。

ただし一定数英語ができない留学生がいます。
その意味で、いわゆる「国際的」な環境とは少し異なります。

(アラビア語は当然として、)ロシア語・ペルシア語・中国語・フランス語などができると、英語が不得意な学生と仲良くなりやすいかと思います。

私は少しだけドイツ語ができますが、寮生活ではあまり役に立っていません。

勉強について

1日1コマ(3時間)の授業があります。授業は週に5日あります。

クラス編成については、正直に言えば「行き当たりばったり」「自転車操業」「無計画」な状態です。

現在の暫定的な編成としては、以下の通りです。
講師やテキストなどが来年度以降(というより、来学期以降)同じかは不明です。

クラス1:初心者レベル
入学時点でアルファベットすら知らなかったレベルの学生から、ある程度文法・語彙力がある学生まで、幅広くいます。

1学期は、ジョージタウン大の「アル=キターブ パート1」というテキストを使いました。

3か月で8割がた(300ページ以上)が終わりましたので、かなりのペースかと思います。

https://press.georgetown.edu/Book/Al-Kitaab-fii-Tacallum-al-cArabiyya-with-Multimedia-2

かなり評判の良い講師が担当です。

講義の雰囲気については、以下の記事をご覧ください。



クラス2:中級者レベル
講師独自の教材を使って学習します。
人文的な内容のテキストが配布されます。

入学時点から日本の文法書を一通りマスターしていて、四技能全てがある程度できるレベルの学生が多いです。 

講師のやる気がないので、授業は週4日しかありません。

しかし講師や授業の質そのものは、優れているとされています。

講義の雰囲気については、以下の記事をご覧ください。

クラス3:アラブ圏で以前から生活していたレベル

大学院生やアラビア語圏で以前から生活していた学生のような、かなり高度な学習者が多いクラスです。ハーフィズの学生も所属しています。

小説を使ったり、「アル=キターブ パート1」を使ったりと、いろいろなことをやっているらしいです。
講師と授業中にどれだけ話せる関係性なのかにより、能力向上に差が見られるそうです。

講師が好きな学生と嫌いな学生で別れます。

以上が編成です。

正直な話、体系だったカリキュラムがあるわけではなく、講師の裁量で授業が進みます。そのため、このシステムは合う人と会わない人がいます。

留学する前に、他の語学留学プログラムの情報収集も行い、他の大学との比較検討をすることを推奨します。

「アラビア語教育のノウハウや講師の質については、あまり高いレベルではない」と評価する学生もいます。

物価について

基本的に、日本の物価と大差ないかと思います。

留学生活で関係がありそうなもので、日本との違いが顕著なのは以下の物品です。

日本より安価なもの

・タクシー代
例えば10キロ乗っても、1000円もかかりません

・飲料水
2リットル×6本入りで150円程度です。
ちなみに水道水は飲めません。

・携帯電話回線の契約料
私の契約は、毎月「300GBのインターネット通信・300分の通話」が可能なプランです。
この膨大な通信量にもかかわらず、1月あたり3000円以下の契約料です。

ちなみに、WhatsAppというアプリがメジャーであり、普通の電話機能を使うことはまずありません。

日本より高価なもの

・外食一般
一食につき最低でも2、3000円程度はかかる印象です。
もっとも、寮では3食出るので、あまり問題ないかもしれません。
また、肉や野菜の値段は日本と大差ありません。

・衣服
ファストファッションであっても、値が張ることがあります。
無印良品のシャツが1万円以上しているのを見た時は、衝撃を受けました。

クウェートの冬はそれなりに寒いです(日本の11月くらいの印象です)。なにより、夏場に尋常でないほど冷房が効いています
日本から秋冬用の服を持参することを推奨します。

とは言え、「労働者向け」の衣服は数百円で購入できます。デザイン性を気にしなければ、出費を抑えることもできます。

※下記の「留学についての記録」も併せてご覧ください。

留学についての記録


最後になりますが、クウェート大学留学を記録したサイトのリンクを貼っておきます。
記入漏れなどあるかもしれませんので、ご自身でも調べてみてください。

2023年度留学生以前の情報

★在クウェート日本国大使館HP「クウェート政府奨学金留学生体験記」

https://www.kw.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000094.html

★Haruna さんのnote

★祐太のクウェート生活(仮)
https://yutabro.exblog.jp/

★13-14年度生のブログ①

★13-14年度生のブログ②

★14-15年度生のブログ

★ハンニバル佐藤 さんのブログ

2023-2024留学生の情報

★Arabian neki (YouTube)

↑ vlogです

★ラーイドのnote

↑ アラビア語と日本語併記のブログです。

★中東侍(YouTube)

↑ 私のルームメイトのYouTubeチャンネルです。

★おもち(YouTube)

☆スーク・ムバラキーヤ(代表的な市場です)

☆寮の様子


カール・レーフラー の note

↑ わたくしのnoteです。(いいね、フォローお願いします)

何かあれば、この記事のコメント欄まで。
それでは。

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