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上京転職支援のスタート #2

自身の就職活動での失敗経験や周囲の転職ニーズから人材紹介事業で起業することを決めましたが、当初は地方から東京への上京転職支援を考えていました。

上京支援を考え始めたきっかけ

上京支援を考えるきっかけは、鹿児島でMRとして働いていた同級生との会話です。友人は大学を卒業後に大手製薬会社に入社して、九州エリアに配属となり、鹿児島でMRをしていました。全国転勤は理解の上で入社したものの、想定以上に都市から離れたエリアだったことや将来的なキャリアアップを考えた時に20代の若い期間を地方で過ごしていいのだろうか、という悩みを抱えていました。会話をする中で、転職をする場合はどんな選択肢があるのか情報提供したり、本人が興味を持った企業の社員の方をご紹介するなどのフォローをしました。また、選考におけるポイントや面接での伝え方のブラッシュアップを手伝いました。結果、希望企業から内定を獲得して上京することが決まりました。上京が決まれば、東京の不動産会社の方を紹介することでスムーズな家探しができたと喜んでもらえました。この時は事業として関わったわけではないので、金銭は発生していませんでしたが、自身の持っている知識や経験、繋がりが人の役に立ったことに喜びとやりがいを感じたことを覚えています。また、その友人の同期や鹿児島で出会った友人なども同様の悩みを抱えている、という声を聞きました。人材紹介事業を運営している企業は、当時でも1.5万社以上あったため、普通に人材紹介をやっても競合優位性がなく、埋もれてしまうかもしれないなという思いがありました。そこで、友人から着想を得た上京特化での人材紹介事業を展開していくことを検討し始めました。

業務終わりにヒアリングをする日々

最初は、その案を周囲に宣言することから始めました。起業前から書いていたブログで地方から東京への転職に関する記事を書いたり、友人・知人に積極的に自身が考えていることについて話していきました。そうすることで、身の回りで悩んでいる友人や知人をたくさんご紹介いただくことができました。また、自身の身の回りの地方で仕事をしている方にも声をかけて、状況をヒアリングさせていただきました。たくさんのご紹介をいただき、ヒアリングした方からも芋づる式で紹介いただけたため、毎日ヒアリングの予定が入りました。当時はまだ前職で就業中だったため、平日仕事終わりの21時以降スタートや土日に電話をする約束をして合計30名以上に地方で働く悩みや上京転職における悩みをヒアリングすることができました。
結果的に、地方から転職することってめちゃくちゃ大変じゃないか?という気づきを得ました。

地方で働く方の悩みについて

毎日、地方で働いている方に悩みを聞いていくうちに次のような悩みを抱えている人が多くいることを知りました。

  1. 成長スピードがゆっくりしている

  2. 東京にいる友人よりイキイキ働けていない

  3. プライベートの計画が立てづらい

1、成長スピードがゆっくりしている
もちろん会社によるのですが、地方で働く方がおっしゃっていたこととして印象的なのはスピード感です。落ち着いた風土の会社が多く、仕事がまったりしていることから働きやすいけれど、キャリア形成における不安を抱えている人が多くいました。また、人間関係も大きな変化がないため自身の成長を感じづらいという悩みを抱えている方の存在に気づきました。

2、東京にいる友人より生き生き働けていない
成長スピードと似ているのですが、地方の方は東京にいる友人、知人から影響を受けている方も多くいらっしゃいました。SNSの投稿で自分の環境との違いを感じたり、結婚式で同級生と会うと東京で働いている人と自分との間で仕事への熱中度や生き生きとしている具合が違うことに焦りを感じる方もいました。

3、プライベートでの計画プランが立てづらい
自身の将来を考えたときに地方拠点あるいは全国転勤で場所を転々としたくない、という悩みを抱えている人も多くいました。将来を考えるパートナーがいる方などは特に地方で働くことに不安を抱えていました。

ヒアリングさせていただいた方の中には、現在進行形で転職活動をしている方やすでに転職活動を終えて、東京で仕事をしている方もいました。
そこで、転職活動時の悩みについてもヒアリングをしました。

地方から東京への転職活動の悩み

また、地方から東京に転職活動をする上でも多くの悩みを抱えていることを知りました。

  1. 就活と違って一緒に進める仲間がいない

  2. 手厚いフォローをしてもらうことができない

  3. 選考調整が難しい

1、就活と違って一緒に進める仲間がいない
新卒の就活の際は、ヨーイドンで就職活動が始まるため周囲と情報共有や悩みの相談をすることができます。しかし、転職活動は同時に進める人がいることは稀です。また、地方に住んでいると、どうしても友人や知人に気軽に会いにいって話す、ということができないようでした。また、その地域でのコミュニティもないため、会社関連の人しか周りにいない方が多くいました。結果的に、転職活動に関する情報不足に陥ってしまっていました。
 
2、手厚いフォローをしてもらうことができない
当時はコロナウイルスの蔓延前で、今ほどオンラインでの面談や面接が当たり前の世の中ではありませんでした。そのため、たとえば鹿児島の方が転職相談のためにエージェントに登録すると「詳しくは福岡(博多)のオフィスで面談をしましょう」と言われることもあるようでした。

3、選考調整が難しい 
選考調整の難しさも深刻でした。前述した通り、面接をオンラインで実施することが当たり前ではないため、1次面接から東京に行く必要がありました。現職中の方だと、選考のために何度も有給を取って上京することは非常に難しいです。複数社の選考を同時に進めて、東京に来るタイミングで一気に選考を受けられたらいいのですが、上手に調整することができず、結果的に5回以上東京に行ったという方もいらっしゃいました。体力的な負担もそうですが、金銭的な負担も非常に大きいものでした。退職してから東京に拠点を移して転職活動をしている方もいましたが、離職扱いになるため、選考の難易度が上がってしまったという声もありました。

上京転職事業の開始(2017年)

業務後のヒアリングを経て、実際に地方で悩んでいる方の存在を確かめ、地方から東京への転職をする際の不について確認ができました。そこで地方から上京する方をリモートで転職支援しようと決めて、「リモート転職」というLPを作成して公開しました。

LPを作成することも初めてだったのですが、制作会社の方とのやり取りを重ねてページを作成しました。また、個人のブログや友人・知人の紹介からで上京する方と接点を持ち始めました。しかし、それだけだとお会いできる人数が少ないため、上京転職LABOというオウンドメディアを立ち上げて、記事を量産しました。SEOで生計を立てていた友人にコンサルを依頼し、インターンシップとして助けてくれていた学生とともに記事の執筆に励みました。

人材紹介会社との業務提携

人材紹介のビジネスモデルは、転職する方からお金をいただくのではなく企業から紹介料をいただく流れとなっています。そのため、転職したい方との接点作りだけで無く、紹介先企業を獲得する必要がありました。双方の基盤を同時並行的に確立することは難しいと考えて、いくつかの人材紹介会社と業務提携をさせていただきました。自身は転職者の集客と面談、面接対策を担当して、提携するエージェントの方に求人紹介と選考応募をお任せするような座組で複数者と契約をしました。売上が折半になるのですが人的リソースが大幅に不足していた当時の動き方としては有効だったと考えています。提携していただいたエージェントの方からは様々な学びを得ることができました。また、提携するエージェントの方のご厚意で東京や福岡、大阪で共同イベントを開催することもできて、非常に貴重な経験となりました。

国家資格キャリアコンサルタントの取得

前職の上司からの勧めで国家資格キャリアコンサルタントという資格取得を決意しました。取得するためには学校に通う必要があり、講座の費用が約28万円。試験の受験料が約4万円必要のため、合計30万円以上の出費でした。また、費用がかかるだけでなく、105時間の座学を受ける必要がありました。資格取得については、人材紹介業を営む諸先輩方から賛否の声をいただいていました。賛否というより、”否”の声が圧倒的に多く、キャリアコンサルタントの資格を取得した人は求職者への寄り添う気持ちが強くなりすぎて、人材紹介事業において大事なマッチングの視点が抜けてしまうと指摘を受けました。人材紹介事業のキャリアアドバイザーの職は資格がなくても就くことができるため、資格取得に関しては非常に悩みました。実際にキャリアコンサルタントの資格の取得のための学習の中に企業理解や求人理解など、マッチングにおけるカリキュラムはほとんど存在しなかったと記憶しています。ただ、自身は当時26歳で社会人としてもピヨピヨだったこともあり、”国家資格キャリアコンサルタント”という肩書は少なからず有効だと考えました。そこで、キャリア支援する方からの信頼を買いに行くことを目的として資格取得を決めました。結果、前職時代に人材業界に身を置いて感じていたことを体系的に理解することができましたし、資格取得の学習の中で有効だと考えて作成したツールを今でも活用しているため、自身にとっては非常に良い意思決定だったと考えています。

おわり

振り返ってみると、最短で売上を最大化する方法とはかけ離れた手段ではありましたが、一歩ずつ自身の思いを形にしていくことができました。

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