【 Care’s World case 07 全ては繋がる。自己表現を通し、つくりだす自分たちの空間。 〜 hunka くぼやままさこさん 〜 / -後編- 】
前編では、まさこさんの現在の活動に至るまでの変遷や葛藤について伺いました。
後編では、夫の木下さんとの活動を通して、自身の中で変化してきたものや見えてきた世界について深掘りしていきます。
前編はこちら。
Care’s Worldについてはこちらから。
自分としっかり向き合える場所で、自己表現を
まさこ: 私たちは夫婦ですが、夫とは意見しながら、少しずつカタチにしているところです。
時には喧嘩することもありますが、二人とも何かしら気づけば「表現したいな」という感覚は共通しています。
「それぞれがやりたいことや想いを表現できる、誰にも邪魔されずに、まず自分としっかり向きあえる場所を作ろう。」となって今のHUNKAが生まれました。できることをやっていたら、自然とこうなった流れだと思います。
表現が思うようにいかなかった経験もあって、自分たちを確立させないと、誰とも共存できないのではないか。そんな気がしたんです。
まさこ:男女でも同志でもチームという枠組でもない。まだ言語化はできていませんが、そんな感覚がするんです。
ただ、間違いなく言えるのは、イラストも音楽も、他のことも、全て繋がっているとは思っていて。日々の中で感じる小さな違和感や、生きづらさみたいなものって、みんな何かしらあると思うんです。
それって、とても大事なことのような気がしていて。面倒くさいけど、そういうことについてよく考えてしまうんです。でもそれって、言葉だけでは伝わらないことも多い。だからこそ、いつかその場にいることで体感できるような空間を作って、表現してみたいなっていう想いがあります。
考えたことをずっと抱え込むのはきついと思いますし、そして、何より孤独感が半端ないんです。だから、それを様々な手段で表現し、吐き出しているんじゃないかなって。
でも、それは美しいモノを描くこととは違う気がするんです。自分の中にあるドロドロしたものを表現するモノは万人受けはしないかもしれません。そこを承知した上で、割り切った上で、HUNKAとして活動しています。多くじゃなくても、目の前にいる誰かと、この感覚を共有したい気持ちは強いです。
程よく迷い続けている状態だからこそ
まさこ:たまに「君たちは何をしたいの?」と聞かれることがあります。私たちの中では「何をしたい」「何になりたい」とか、そういうものじゃないと思っていて。
以前、そのように聞かれて「“したい”じゃなくて“ただ生きているだけ”です。」と答えたことはあります。強いて今答えるなら「頭の中にある景色や感覚、質感を表に出したい。形にしたい。空気に触れさせたい。」なのかもしれません。
常に迷い続けている状態なんです。でも、ありがたいことに、そんな私たちのことを「ファンです」と言ってくれる人もいます。
一人の人間のドロドロした胸の底から吐き出したモノなのに「救われた」って。本当、ありがたいですよね。
まさこ:とあるイラストのお仕事で、私が採用になった決め手が、いい意味で、どこかしら迷いを感じる線がよかったから、だそうです。それを聞いたとき「そのままの自分を出していてよかったな」と感じました。
福祉に関するイラストに携わった際に、ふと感じたことがありました。私は福祉に詳しくありません。でも、福祉が関係がない人なんていない。わかってはいるけど、どこから関わっていいやら。最初はそう思ってました。
でも、水俣病や環境問題、国際情勢、震災など“関係がない人なんていない”ということはたくさんありますし、一気には考えられなくても、まず目の前のことに関心を持ってみる。そこからかなと思います。
それは、ある意味HUNKAの活動にも近いかもしれません。程よく迷い続けている状態が続いているからこそ、日々を必死に生き、考え表現し、変化していくことで、何かしら見えてくるのではないか。その繰り返しなんでしょうし、それでもいいと思っています。
(終わり)
(前編はこちら)
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