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中央法規流 日本保育学会の歩き方#2 口頭発表編(2023年5月1日公開)

 前回のnoteでは、5月13日・14日にオンライン開催される日本保育学会第76回大会の自主シンポジウムについて、出版社の立場としての歩き方をお話ししました。今回は口頭発表について、同じような参加者としての歩き方と提案します。

保育所等における生活困難家庭に対する組織的支援

 第一のおすすめは、吉田直哉先生の「保育所等における生活困難家庭に対する組織的支援」です。中谷奈津子先生、木曽陽子先生、鶴宏史先生、関川芳孝先生と研究班を組み、毎年同じテーマで発表を続けています。
 中央法規では、2021年に「保育所等の子ども家庭支援の実態と展望」という書籍を先生方にご執筆いただいています。

 近年、地域の子育て家庭への支援必要性が叫ばれ、こども家庭庁でも「伴走型相談支援」を推進しています。本書はそのなかでも困難を抱える家庭に対して、保育所等がどのようなかかわりができるのかを研究・提言しています。
 口頭発表のハンドアウトには「子どものしつけや育児 不安、児童虐待に関することだけでなく、介護、疾病や障 害、夫婦関係、DV、不登校、ひきこもり、経済的困難、外 国籍から生じる問題等、家庭内で起こり得る様々な困難」を生活困難と定義すると書かれています。園が支援にかかわる心理的プロセスについても言及されているので、自園のスタンスを考える際にも有効な発表を思われます。

レッジョ・エミリアの歴史を知る

 続いては、イタリアのレッジョ・エミリア市の幼児教育、レッジョ・エミリア・アプローチに関する浅井幸子先生の発表、「レッジョ・エミリアの幼児教育の歴史 ―ブルーノ・チアーリとローリス・マラグッツィの関係に着目して―」です。
 レッジョ・エミリアに関する書籍について、中央法規では「保育の質を高めるドキュメンテーション 園の物語りの探究」を2021年に発行しており、浅井先生にも分担執筆いただいています。

 レッジョ・エミリアといえば、ローリス・マラグッチが実践・発展させてきた幼児教育と考えられていますが、本研究では、ブルーノ・チアーリとマラグッチとの関係に着目し、レッジョ・エミリア・アプローチのアトリエの概念・実践への影響について考察しています。
 書籍はドキュメンテーションに着目していますが、その源流には当然、レッジョ・エミリアの思想があり、日本での受け入れ・実践について触れていますので、口頭発表と合わせて参考にすることで、参加者の理解が進むと考えています。

 今回は、口頭発表について、書籍の内容と関連づけて歩いてみました。次回はポスター発表の歩き方を考えていきましょう!


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